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秦野赤十字病院 ロボット手術3月から導入 前立腺がん・直腸がんでより繊細な手術可能に
地域医療支援病院としての役割を担う秦野赤十字病院(秦野市立野台1の1)。患者のQOL(クオリティオブライフ)を上げるため、新しい技術を積極的に取り入れているほか、昨年は新たな結石破砕装置の導入や血管撮影室の増設など、施設の刷新にも努めてきた。そして今回、新たにロボット手術を導入。3月からは手術も開始される予定だ。ロボット手術について、泌尿器科の植木貞一郎医師(同科部長)と笠原亮医師(副部長)、外科の片山雄介医師(第二外科部長)に話を聞いた。
前立腺がんの全摘手術に有用
泌尿器科でロボット手術導入に向け中心となって動いてきた笠原医師は「泌尿器科では前立腺がんでロボット手術を用います。器械の先端が自由に曲がるので、腹腔鏡手術と比べてより細かく正確な手術が可能です」と話す。全摘手術であっても細かく神経や筋肉を剥離したり止血したりできるため、機能の温存が図れるようになる。そのため、患者の体の負担を少なくする”低侵襲化”が可能となるほか、男性の性機能を残せる可能性も高くなるという。
「しかし、どれほど良い器械を導入しても、病気が進行してしまっては治すことは難しい」と話すのは植木医師だ。早期発見・適切治療の基本として、植木医師は”前立腺がん検診”の受診を強く勧めている。年々前立腺がん患者数が増加している一方で、検診の普及は進んでいないのが現状。「前立腺がんは初期段階では自覚症状がほとんどない。検診なら初期でもわかるので、ぜひ一度は受けてほしい。もし手術が必要となっても、地域の医療拠点として適切な治療を行っていきます」と話した。
難関な直腸がん手術にも対応
外科でロボット手術が活用されるのが直腸がん手術だ。「直腸はとても狭い骨盤内で手術を行うことが多いが、ロボット手術の導入でミリ単位での手術が可能となります」と片山医師。排泄を行う上で重要な直腸は、いかに機能を温存できるかが手術後のQOLに関わってくる。「より腫瘍をきれいに摘出することで、再発の防止にもつながる」と話す。
現在、大学病院やがん専門病院の外科では、症例によってロボット手術と腹腔鏡手術を使い分けている。同院の外科ではがん専門病院と同等の医療の提供をモットーに手術を行ってきたという。「今後は当院でも両方の術式が可能になり、先進的な医療の提供につながる」と話す。
また、県内でも行っている施設が少ないという「経肛門的直腸間膜切除術(TaTME)」を取り入れている片山医師。TaTMEとは通常の腹腔からの操作に加え、肛門からも腹腔鏡と鉗子を挿入し手術を行う術式のこと。これにより永久人工肛門を作らず肛門をできるだけ温存することが可能となり、同院では4年間で約50例の手術を行ってきた。
手術は同時に2チームで腹腔鏡手術を行い、この術式ではロボットを使用していない。「今後もロボットの長所、腹腔鏡の長所を考え、病状に応じた適切な術式を行っていきたい」と話した。
地域との連携強化
地元クリニックや開業医との連携を強化するため、普段から関係性を密に情報交換を行っている同院。紹介患者も年々増加するなか、3月から始まるこのロボット手術の導入は、”地域の中核”を担う病院としての役割をさらに強化していくことになるだろう。
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