鶴巻温泉駅近くの里山「あわいのもり」で2カ月間キャンプ生活を送っていた登山家・西川史晃(ふみあき)さんが5月20日、北米大陸最高峰のデナリ(マッキンリー)に向け出発した。遠征を前に5月18日には、支援者や地域住民らも参加した壮行会が行われた。
30歳の頃、失恋をきっかけに友人と日本百名山の一つである筑波山に登ったという西川さん。登頂した際に見えた景色に感動し、「日本にある百名山に全て登りたい」という思いから山に登るようになった。その約2年半後、「日本最後の秘境」と呼ばれている北アルプスの雲ノ平に挑戦。「最初は無理だと思っていましたが、行こうと思えば行けるんだと実感しました」と語る。この経験から、自身には登ることができないと考えていたエベレストも「計画を立て、現実とのギャップを埋めることができれば登ることができるのでは」と思うように。2017年には、世界7大陸にある最高峰の登頂制覇を目指す「チームセブンサミット」を立ち上げた。
17年に登頂したキリマンジャロ(アフリカ大陸・5895m)を皮切りに、18年にエルブルース(ヨーロッパ大陸・5642m)、19年にコジオスコ(オーストラリア大陸・2228m)に続き、20年にアコンカグア(南米大陸・6959m)に登頂し、成功。22年には、念願だったエベレスト(アジア大陸・8848m)登頂を達成した。「エベレストに登ると宣言してから、2468日目に頂上に立った」と西川さん。「登山経験も人脈もない所からのスタートだったが、ついにここまできたんだ、と思いました」と当時を振り返る。
昨年12月にはヴィンソン・マシフ(南極大陸・4892m)の登頂に成功。残すは7大陸最高峰最後にして最難関と言われているデナリ(北米大陸・6194m)ひとつとなった。「一番難しいと言われているデナリ登頂は一人で挑戦します。準備している段階から楽しいです」と笑顔を見せる。
「無事に帰って来て」
デナリ遠征を応援する壮行会が5月18日、西川さんが2カ月間テントを張った、里山「あわいのもり」で開催された。
もともと丹沢や大山をよく登っていたという西川さん。「鶴巻は歩いて山に行けるし、景色もいい。温泉に入ることもできますしね」と魅力を語る。秦野に滞在している間、世話人を務め、里山再生の会「あわいのもり」代表の山口修平さんの誘いもあり、鶴巻が国内トレーニングの拠点となった。
壮行会には、山口さんや地域住民ら15人が参加。今回、初めて西川さんと会った人もおり、バーベキューを行いながら今まで登頂した際の話や、これから登るデナリについての話などで交流を深めた。「無事に帰って来てくれることが一番」と声を掛けられた西川さんは、「美味しいイノシシ肉をありがとうございました。猪突猛進で頑張ってきます。帰ってきたら温泉に入りたいですね」と述べた。
西川さんは5月20日に日本を出立し、6月24日まで遠征を行う予定だ(登頂は6月中旬頃を予定)。
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