「どんどこどん」「てんつくてん」――。古くから祭りや儀式などで演奏され、日本人の魂に刻まれてきた”和太鼓の音色”。豊かな響きと力強いリズムはもちろん、演奏者の動きや表情もその魅力のひとつだ。ここ秦野市には、そんな和太鼓の演奏を市内外に届けている創作和太鼓集団がいる。6月8日(土)に行われる「秦野観光和太鼓」の自主公演を前に、同団体の軌跡や魅力、当日の見どころなどを取材した。
秦野観光和太鼓は、市の観光振興や地域の活性化、PRのため2000年6月に発足。指導団体に「太鼓集団 鼓粋(こすい)」を迎え、和太鼓の基礎知識の習得から市内外の各地のイベントへの出演、各種コンクールや大会への出場などの活動を行う。現在会員は約40人。未就学時から80代まで、老若男女全世代から集う。
演奏する楽曲は、同団体を指導する鼓粋の会長・加藤修さんが作曲したものが大半を占める。秦野をテーマにした楽曲が多く、秦野観光和太鼓の代表曲の一つである「山河」は、丹沢や水無川をモチーフに作曲。「稜線」は山並みを、「華宴(かえん)」は火起こしをイメージして作られているという。
確かな実力と実績
発足から今年で24年、大会の受賞歴も豊富だ。「総務大臣杯 日本太鼓ジュニアコンクール」で全国大会に出場し特別賞を受賞、「総務大臣杯 日本太鼓シニアコンクール」にも出場し特別賞を受賞している。
出演は秦野市内の祭りなどのイベントはもちろん、市・県・国の垣根を越えて活動する。2008年には、秦野市の友好都市・韓国坡州市を訪問し「坡州ジャンダン豆祭り」に出演。東日本大震災後は、宮城県・南三陸町や岩手県・陸前高田市を訪れ、演奏で被災地を鼓舞した。2019年にはラグビーワールドカップのイベントで横浜臨港パークのステージに出演している。
2020年は創立20周年の年だったが、コロナ禍の影響でイベントへの出演機会が減少した。2022年からは、2年遅れの創立20周年記念公演を開催、クアーズテック秦野カルチャーホールで毎月第1土曜日に開催される「サタデーフェスティバル」に出演するなど、活躍の場を取り戻している。
「公演は見るごとに新鮮」
叩いて音を出す和太鼓は、奏者の感情や感性がそのまま音楽になる「素直な楽器」だと指導者の加藤さんは言う。「同じ曲でも、演奏する人によって違う曲に聞こえることもあるくらい」。
秦野観光和太鼓は、公演ごとにメンバーを変え楽曲の編曲なども行う。また、曲と曲の間に繋ぎの演奏を入れるようにして、公演中に音が途切れないよう工夫している。奏者と曲の構成・アレンジに変化をつけるため、一つ一つの公演が唯一無二の演奏となるのだ。
加藤さんは、「さまざまな年代の人が集まり、ここまでの規模で活動していることこそ、秦野観光和太鼓の魅力。今や、秦野になくてはならない太鼓チームになっている」と太鼓判を押す。
「このチームは”家族”」
実は、秦野観光和太鼓の会員のほとんどが全くの素人、未経験者から練習を始めている。
現在代表を務める前原景子さんは、発足当初からのメンバーで、初心者から始めた1人だ。ひばりヶ丘出身で、幼少期から地域の鎮守・曾屋神社の「乳牛二番組(ちゅうしにばんぐみ)」が演奏する祭囃子に憧れていたという。「歴史ある団体で格式が高いイメージがあって。当時は『自分も太鼓やりたい』とは言い出せなかったんです」と振り返る。「いつか和太鼓を演奏したい――」。そう思っていたところ、秦野観光和太鼓が発足し、加入することに。加入から20年以上、出産や子育てのため何度か休会を挟んだが、一時活動を離れても復帰しやすい雰囲気があるのだとか。「太鼓の演奏が楽しいのはもちろん、どんな人でも受け入れてくれる家族のような温かいチームであることが魅力です」と笑顔を見せる。
見ごたえあるステージ
「秦野観光和太鼓 第11回自主公演」は6月8日(土)、クアーズテック秦野カルチャーホール大ホールで開催される。開演午後2時(開場30分前)から。入場無料。
当日は3部構成で太鼓演奏を披露。第1部は発表会形式で曲ごとに解説を交えながら演奏が披露される。第2部は、「太鼓集団 鼓粋」やジュニアコンクールで受賞したOB・OGも有志で駆け付け演奏する。第3部では、ライブ形式で次々と曲が披露される予定だ。
また、その他にゲストとして市内のよさこいチーム「えん舞連」、「ひろはた小町」、「よさこいゆきみ」、「胡蝶連」の4チームも迎える。前原代表は「よさこいチームとの共演で、よりいっそう華やかな公演になると思うので、ぜひお越しください」と来場を呼び掛けている。
秦野観光和太鼓への加入・支援、自主公演に関する問い合わせは一般社団法人秦野市観光協会【電話】0463・82・8833へ。
秦野版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
|
|
<PR>