南矢名在住上田悦子さん 神奈川文化賞を受賞 女流義太夫 65年
市内南矢名在住の上田悦子さん(芸名・竹本駒之助・77)が女流義太夫(語り手)として伝統芸能の普及に貢献したことが認められ、無形文化財の分野で県から神奈川文化賞を受賞することが決まった。11月3日(土)に神奈川県民ホールで贈呈式が行われる予定だ。
この賞は県と神奈川新聞社が共催で実施しているもので、毎年、文化の向上発展に尽力しその功績顕著な個人または団体に対して贈られるもの。
義太夫とは中世に端を発し、江戸時代に発展した伝統芸能、浄瑠璃の一種。舞台では三味線を伴奏楽器とし、義太夫が物語を語る。
上田さんは義太夫節発祥の地、兵庫県淡路島生まれ。幼いころから義太夫節に親しみ、13歳の時から稽古を始めた。それでも初めのうちは現在まで続けることは考えていなかったという。
転機が訪れたのは18歳の時。今でも心から慕うという師匠の竹本越路大夫と出会い、この道に「目覚めた」と話す。以来、稽古と舞台に明け暮れる日々を送り、1999年にはその実力が国から認められ、女流義太夫では国内唯一の人間国宝(国指定重要無形文化財保持者)の認定を受けた。
神奈川文化賞の受賞にあたり「いただいて終わりではない。いただいた上で、現役であり続けなければ」と芸への想いをそれまで以上に深めている。
師匠は11年前に他界。また、現在ただ1人の女流義太夫の人間国宝であるため自分を注意してくれる人がいない。年齢を重ねれば体力も落ち、また芸も落ちるという。しかし、「それを芸に出したら見に来てくれた人に申し訳ない。自分に対しては妥協せずに厳しくしないと」と自らを律し、現在でも稽古に舞台にと現役を貫いている。
芸歴65年を迎えた今でも満足のいく舞台は今までに1度もないという。しかしそれを糧にして、芸の道を切り拓いてきた。上田さんは「受賞にはびっくりしました。ここまでこられたのは周りの人や家族、見に来てくれるお客さんのお蔭です。この道に携われて本当にありがたいです」と周囲への感謝を話した。
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