住民票戸籍 不正取得を本人通知へ 秦野市 6月から新制度
秦野市では、住民票の写しや戸籍謄本・抄本等が第三者によって不正に取得されたことが明らかになった場合、その旨を本人に通知する「本人通知制度」を6月1日から開始した。同制度は全国約370の自治体が実施しており、県内では藤沢市、相模原市、鎌倉市、伊勢原市に次いで5番目。
この制度は不正発覚型。弁護士や司法書士等の特定事務受任者や第三者が、住民票の写しや戸籍謄本・抄本を不正に取得し、これが刑事事件などで判明した際、横浜地方法務局から秦野市に偽造された請求書の番号、弁護士、司法書士などの請求者氏名及び所属する弁護士会などに登録されている会員番号等が通知される。市戸籍住民課は、住民票の写し等を交付した際の請求者の資料と照合し、当該不正取得が認められたときに本人に通知する。
不正取得の防止を目的に、弁護士等による請求を事前にすべて本人に通知すると、正当な職務上の請求等をも通知してしまう懸念もあるため、通知は事後に行う。
本人への通知は簡易書留にて行われ、内容は、交付した証明書の種別及び通数、戸籍の表示(本籍及び筆頭者)又は住所、被請求者氏名及び住所(法人の場合はその名称及び所在地)、不正取得した者の氏名及び住所、交付年月日の5項目。
同制度は、現行法には明文化されておらず、現在は個々の地方自治体によって行われている。秦野市では住民票写し等の不正取得に係る本人通知事務要綱の規定により実施している。
発端となったのは2011年のプライム事件などの住民票・戸籍謄本等不正取得事件。探偵会社から取得を依頼されたプライム法律事務所が、所属する司法書士の職務上請求用紙を偽造するなどして、全国の市町村から1万枚以上の戸籍・住民票の写しを不正に入手した。プライム事件での逮捕者は実刑判決(執行猶予付きを含む)が出ている。 秦野市でも同事件を含む8件の不正取得が認められ、本人に6月6日付で通知書類が発送された。
現在、同課で把握している不正取得の多くが文書による交付請求だ。同課では、交付の際、被請求者の身分証明や書類に不備がないかなどをよく審査した上で交付しているというが、前述事件のように実在する司法書士、弁護士などの名義で請求されると、不正と見抜けない場合もあるという。
住民票の写しや戸籍謄本・抄本等を不正取得され、不利益を被った際の相談は市広聴相談課などで受け付けている。
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