フジ・プロダクト(株)の会長を務める 陶山 富之(すやまとみゆき)さん 上今川町在住 74歳
富士を仰ぐ挑戦者
○…「なるべく豪華に祝いたい」。9月に控える新工場の開所式の準備に追われる。プレス金型の加工で信頼を勝ち取り、船舶用部品分野の開拓や海外進出にも成功した同社で、創業者として強いリーダーシップを発揮してきた。前身の「有限会社富士製作所」に富士の名を冠したのは、「自分の名前の『富』と、日本一の山・富士山にあやかりたかったから」という。
○…戦時下、幼少期を山北町で過ごした。「御殿場線を狙う空襲は、恐ろしかった」。戦後は懸命に働く両親の背中を見て育った。当時、実家から見上げた美しい富士山が、今も脳裏に焼き付いている。
○…高校卒業後、秦野の日鍛バルブに入社し、学費を稼ぎながら夜間大学に通った。卒業と同時に、同僚の将美さんと結婚。新居から毎朝一緒に通勤した。生産管理部門で働くうち、下請け会社の経営者のひたむきな姿勢に刺激を受け、26歳で独立。二男に恵まれ、夫婦で休みなく働いた。
○…「くよくよせずに、スパスパ決めることが、毎日を楽しむコツ」。仕事もプライベートも、思い立ったら、すぐ行動。休日の朝、テレビで中継される美しい街並みや自然の景色を観れば「よし、行こう」の一声で妻を連れ車で出発。「週に1回は旅行。その場の思いつきで海外に連れていかれたこともあるのよ」と将美さんは隣で苦笑いする。全国の神社仏閣で集めた御朱印は2500個。「地名を耳にすれば、その土地の美味しい食べ物や良い景色を思い出せる」と微笑む。
○…「楽天家でストレスはなんにもねえんだ」と笑う。交友関係は広く、仕事で出会った人と家族ぐるみの付き合いになることも多い。そのあふれ出るエネルギーは、規則正しい生活から。毎朝5時に起床し、7時半には出社。息子たちに社長の座を譲ったあとも「90歳までは会長職をやるつもり」と意気込む。自身の目指す人生の「富士の頂点」を仰ぎ、挑戦は続く。
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