「第37回全国中学高校教員による英語弁論大会」が2015年11月15日に東京都新宿区四谷で行われ、秦野市渋沢出身の小泉香織さん(千葉県浦安市在住・30歳)が最高賞の文部科学大臣賞を受賞した。この大会には全国から予選を通過した教員10人が出場した。主催は(一財)国際教育振興会、後援は文部科学省、(公財)日本英語検定協会、米国大使館など。
出場者は、異文化交流や英語教育などをテーマに、7分以内のスピーチをした。英語での質疑応答の後、メッセージ性や原稿の内容、表現方法などを基準に審査が行われた。
小泉さんのテーマは『How can we ”teach” the language that connects people?(人を繋ぐ英語を育てるために)』。「英語が人を繋ぐこと」を教えてくれた亡き祖父とのエピソードや、教え子たちが英語を自身のコミュニケーションツールとして使い成長していく話を交えながら、教師が生徒を信じ、英語を自由に使う機会を設けることの重要性について訴えた。
出場へのきっかけをくれたのは生徒だった。2015年、体調不良で5カ月間休職した後、不安を抱きつつ教壇に復帰した際、自分の授業に耳を傾け懸命に学ぶ生徒の姿に心を打たれた。「この子たちのために英語教師としてどうあるべきか、自分の考えを発信したい」と出場を決めた。
最高賞を受け、「生徒の姿を伝える内容での受賞なので、彼らの頑張りが認められたということ。これからは自信を持って教壇に立てます」と喜びを語る。
人を結ぶ架け橋に
渋沢小学校5年生のときに家族とオーストラリアを旅行し、「自分の気持ちや意見を英語で伝えたい、世界についてもっと知りたい」と思うようになった。
その後外交官や国連職員に憧れ、早稲田大学国際教養学部に進学。在学中にイギリス留学も経験した。
しかし、イギリスで目の当りにしたのは、日本やアジアに対する強い偏見だった。「何よりも辛かったのは、日本について誤解されていることを痛感しながらも、自国について説明できない自分の力不足だった」と振り返る。
留学を経て、夢は「国単位ではなく、個人としての人と人を結ぶ架け橋になること」に変わった。大学卒業後ホテルニューオータニに就職し、外国人利用客の担当として奮闘。やりがいを感じながらも、英語で意志の疏通が十分にできない日本社会の現状を目の当たりにし、「日本と世界の架け橋になる人を育てたい」と教師への道を志した。
「英語を使える日本人を育てたい」
大学院で教員免許を取得した後、2年前から有数の進学校である渋谷教育学園幕張中学校・高等学校で教鞭を執る。
現在担当する中学2年生の学級では、独自の教育方法を展開。授業の中で隣の席の子と自由に会話をする時間を設けたほか、授業以外の時間もできる限り生徒に英語で話しかけるようにした。すると、生徒から英語で話しかけられたり、子どもたち同士が英語で会話をする場面が自然に生まれたという。
「海外の人とコミュニケーションをとることの楽しさ、人生を豊かにしてくれることを伝えることで、英語を学ぶ意味を感じとってもらい、世界への扉を開く手助けができれば」と話す。
秦野版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>