新東名高速道路の建設に伴い、発掘調査が行われている秦野市菩提の「菩提横手遺跡」で6月10日、見学会が開かれ、多くの参加者が現場を訪れた。昨年12月から調査が実施されているこの現場では、古墳時代後期の円墳が3基見つかっており、見学会前日の9日にも石室(遺体を葬る部屋)の中から新たに束付きの直刀や鉄鏃(てつぞく)(やじり)が発見された。参加者は掘り出されたばかりの遺物や古墳を間近で見学しながらスタッフの説明に耳を傾けていた。
同遺跡の発掘調査を行っている(公財)かながわ考古学財団によると、古墳の遺物は埋葬直後またはそれ以降に盗掘されることが多く、この遺跡のように多く残っていることは珍しいという。
3基の中で最も大きいものは1号墳で直径16・4m。1、2号墳は石室が良好な状態で見つかり、特に1号墳は埋葬時に近い状態で発見された。天井をつくるために上からのせた「天井石」も残存し、重さ400〜600kgの大きな石は葛葉川から運ばれてきたとみられている。また、2号墳の石室からは人骨の一部が見つかったという。
市内では現在11カ所で調査が進む。近年、富士山噴火後に畑を大規模に復旧した痕跡が全国で初めて横野の現場で発見されたほか、既存の歴史を1万年以上更新するような市内最古の遺物も蓑毛から発見されている。同財団の三瓶裕司さんは「ここ数年で秦野の歴史は大きく変わった」という。
発掘調査は一般的に大規模な開発工事の前に行われるが、秦野はこれまで開発自体が少なく調査があまり行われてこなかったという。三瓶さんは「古墳の持ち主(権力者)が治めていたムラもまだ見つかっていないが、今後の調査で発見される可能性はあります」と話している。
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