秦野市立大根中学校で1月18日、東海大学「熊本復興支援プロジェクト」の学生メンバーらによる防災授業が初めて行われた。同大では2018年1月から、放課後に同中学校の生徒をキャンパスに招き、教員や学生ボランティアが防災に関する体験活動の場を提供してきた。
「熊本復興支援プロジェクト」は2016年の熊本地震の後、被災地でボランティア活動を行いながら、現状や被災者の声を全国に届けることを目的とした報告会や防災教室などを開催してきた。
今回の授業のねらいは、地震発生時の困難に対し、限られた物を工夫して対処する柔軟性や応用力、他者との協働などを学ぶこと。「地震で友達が家具に挟まれたら?」「食料を運ぶかばんの代わりになるのは?」などの問題が出され、生徒はズボン、新聞紙、ロープ、金属バットなどのアイテムを使い、震災時の課題を乗り切る方法を仲間と考えた。
最後に学生たちが被災地の様子を写真で紹介すると、クイズで湧いていた教室が静まり、真剣な面持ちに。学生らは「大人と違い、中学生の皆は地元にいる時間が多い。いざという時、皆が回りで困っている人の力になってほしい」と訴えた。
プロジェクトリーダーの中川蘭夢(らむ)さん(同大3年)は「責任感を持って、災害時の対応について学んでくれたと思う」と手ごたえを感じていた。
防災を体験で学ぶ「ESD塾」
防災教育は従来の教科で取り組むには限界があるため、社会的問題解決への体系的な思考力や柔軟性、コミュニケーション力等を育成する「ESD(持続可能な開発のための教育)」による体験学習が専門家によって研究・実践されている。
東海大学の二ノ宮リムさち准教授らは東京農工大学の降旗信一教授が実践するESDを参考に、同大に近い大根中の生徒を対象に「ESD塾」を企画。1年前から放課後に生徒をキャンパスに招き、国語・数学・英語の補習に加え、学生と大根地区を歩きAEDや公衆電話など災害時に役立ちそうな物を見つける探検ゲームや、チーム対抗の防災クイズ大会等を行ってきた。
「今回のように中学校の授業時間を頂けるのは貴重。これまでの関係づくりの中で実現した企画だった」と二ノ宮准教授。大根中の松本和信校長は「生徒にとって東海大生は身近な存在。学生が授業のため準備を重ねてくれた事に感謝している」と話した。
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