6月秦野市議会第2回定例会一般会計補正予算で小・中学校のICT環境整備事業費5億8700万円が可決され、市内の全小・中学生約1万2000人にタブレット端末を導入することが決まった。新型コロナによる休校などの影響から学習環境のICT化を加速し、来年4月の本格運用を予定している。
全児童・生徒へのタブレット端末整備は、国が昨年打ち出した「GIGAスクール構想」に基づき秦野市でも計画されていた。当初は今年度中に全小・中学校の無線LAN工事を終わらせ、来年度から3カ年で順次タブレットを導入していく予定だった。
しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う休校で、全国的にICTを活用した在宅学習支援体制の構築が急務に。その後の緊急事態宣言に伴い、国がICT化を進める自治体への財政支援を打ち出した。
国の動きを受け、市教育委員会では2月25日に「教育の情報化基本方針」を策定。計画を前倒し、今年度中に全小・中学生へ端末を導入する運びとなった。
段階的運用に手ごたえ
秦野市では2014年度から2カ年で、各小学校に試験的に1台ずつタブレットを導入。2016年度には特色ある学校づくり研究校(モデル校)として、上小学校に40台を整備した。
この実践結果を受け、2017年度にパソコン教室を廃止し全小学校に1クラス分(約40台)を導入。翌年度には中学校にも取り入れられた。
授業では各教員が工夫し、資料作成やスクリーンへの投影、児童・生徒との情報画面共有など活用。例えば理科の実験では結果をスクリーンや教師、他のタブレットと共有できる。また、文字だけでなく写真や動画を使い実験結果をまとめられるなど、学習の幅が広がっている。
渋沢小学校の荒谷舞(あらや まい)教諭は「6年生にもなると、大人よりタブレットを使えるようになっています。操作技術は大人になっても使えるし、これで発表することで社会でも役立つプレゼン能力が養えるなど利点があります」と話す。また、リアルタイムで全体を把握できる、作業の時間短縮になるなど教員へのメリットもあるという。
現場と連携し推進
タブレット端末選定は現在進められており、各校の無線LAN工事は今年度中の終了を予定。端末確保と回線契約完了ののち、接続テストと設定を行い来年4月に本格運用を開始する。
タブレットの管理については家庭学習への活用を想定し、学年に紐づけることで1年間同じ端末を各児童・生徒が持ち続ける体制を考えている。機種選定や運用方法については、教育現場や現場を管轄する教育研究所と連携し、協議していく。
「ICT化が加速すれば、オンライン教育が身近になるなど教育の幅が広がります。今後は導入当初の教員の負担を軽減する支援体制構築も検討していきます」と、市学校教育課では話す。
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