秦野市では市内里山地域における鳥獣被害の状況を調査するため、ドローンによる空撮画像データを用いた被害対策地図を作成した。これを活用し地域住民と協力して対策を講じたところ、一定の効果が得られたという。
秦野市内では耕作放棄地の増加や里山での活動減少に伴い、シカやイノシシ等による農作物の被害や道路への飛び出しによる事故が発生している。また、ヤマビルによる観光客への被害や山中での餌の減少による人里でのクマの出没なども大きな課題になっている。
この中で昨年、野生生物の出没場所(痕跡)や、耕作放棄による藪や放棄果樹の位置、地域防護柵や罠の設置状況をより明確にするため、ドローンで撮影した画像を繋ぎ合わせた地図を重点取り組み地域に選定された蓑毛、横野、柳川・八沢の3エリアで作成。市が持つ情報や現地調査の結果を落とし込み、現状の見える化を行った。
状況が明確に
作成した地図を踏まえ勉強会を行い、現場調査で防護ネットが正しく張られていないなど誤った被害対策が見られたことを伝え、正しい知識を講義。住民を交えた対策計画作りも実施した。
また、空撮写真を用いた詳細な状況図が作られたことによって、野生生物の侵入経路や薮化して餌場となっている耕作放棄地の位置が明確になった。見える化したことで周囲の畑への被害の説明も容易になり、地権者への事情の聞き取りや説得もスムーズに進むようになった。
住民と意識共有
具体的な対策としては正しく張られていない防護ネットの張り直し等を行ったほか、地権者の許可を得たのち住民と協力して藪や放棄果樹の伐採も実施。場所によっては人の背丈をはるかに超えるほど生い茂っている場所もあったという。さらに相乗効果として、自主的に事業者に依頼を行う動きも見られた。
各地での対策後、仕掛けたセンサーカメラやドローンなどで調査したところ、侵入する動物の減少や、入ってきてもすぐに引き返す動物の姿が見られるなど効果が出ている。この成果は2回目の勉強会で、住民にも共有された。
「これまで肌感覚だった状況がはっきり見えたことで、それぞれのエリアが抱える課題が明確になりました。やることがはっきりしたことで、解決に向け住民の意識に一体感が生まれたことが大きい」と市農業振興課。
今後は専門業者や地域住民と連携し正しい知識を共有することで、対策力の底上げを図り獣害に強い地域づくりを目指す。「現状は3地域だけですが、今後はこの取り組みを市内の他の地域にも広げたい」と話した。
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