登山シーズンを迎えている表丹沢。昨今のアウトドアブームや新型コロナの落ち着きなどを背景に、登山客が増加している。一方で全国的な状況と同様、秦野警察署管内でも山岳遭難事故が増加傾向にあり、同署山岳遭難救助隊では登山者に向け注意喚起を行っている。
秦野警察署によると、同署管内での2022年の山岳遭難事故は32件36人と前年より4件5人増加している。事故の状況は疲労が13件(前年4件増)と最も多く、次いで道迷い8件(同2件増)、転倒7件(同3件増)、滑落・転落4件(同1件増)。ケガ人も増加しており、特に重傷者が増えている。
これらは登山の基本を守っていれば防げたものが多く、道迷いが滑落へ、疲労から転倒へつながるなど、小さなことが大きな事態につながる傾向にあった。
今年に入ってからも増加傾向は変わらず、5月末時点で昨年同時期より6件多い16件の山岳遭難事故が発生。同署では事前の準備と登山届けの提出徹底を呼びかけている。
全国・県も同様
山岳遭難事故は全国的にも増加傾向にある。6月15日に警察庁が発表した昨年の概況では、統計の残る1961(昭和36)年以降最多となる3015件(前年380件増)。遭難者は3506人(同431人増)で、目的別では登山が77・8%を占めている。
これは神奈川県内も同様で、2022年の山岳遭難事故は過去最多の151件。遭難者は175人となった。また、神奈川県警によると今年5月末の暫定速報値でも前年より増加しているという。傾向として60代が多く、久しぶりに登山を再開した経験者が遭難するケースが散見された。
準備と下調べを
表丹沢の玄関口・大倉のアウトドア拠点YAMA CAFEスタッフによると、準備不足で山を訪れる人が多く見受けられるという。よくあるのがコース状況・気温・所要時間・事故事例などの下調べ不足や、明らかな軽装など装備不足、新品装備で身を固め道具の使い方を熟知していなかったり昔使った古い道具を点検していないなど。
「山では不測の事態があるし天気の急変もある。ライト、非常食、着替え、防寒アイテム、地図、雨具、トイレや山小屋で必要な現金(小銭)は最低限揃えて欲しい。今は100円ショップで買えるものもある」と同店スタッフ。「自分の体力や体調を把握するのも大事だし、時には途中で引き返す勇気も必要」と注意を促した。
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