地元秦野市をはじめ近隣の人たちが楽しめる各種展示などを行い、秦野の芸術・文化の振興と発信の場としての一翼を担っている「丹沢美術館」(秦野市寿町6の19みどりやビル2階)。イオン秦野ショッピングセンターすぐそばという訪れやすい立地から、多くの市民に親しまれている。
丹沢美術館は、昨年急逝した露木順三氏が1988年に設立した私設の非営利美術館。当初は東田原にあった同氏の自宅の一部を改装した展示スペースだった。
記念すべき第1回目の展示会は、下園功氏の「人形展」。これ以降、油彩・水彩など絵画や木版画、写真、彫刻、陶芸、書からコンサート、映画、演劇、舞踏など様々な分野の延べ300人近くが芸術活動を展開してきた。
美術館はその後、1998年に今のビルの3階に移転し、2000年に現在の場所となった。
若手育成の場に
同美術館は館長を務めた露木氏をはじめ、開館当初から共に活動していたアーティストを中心に構成されていた「支援委員」が企画・運営を行ってきた。「空間プロデュースから考えて欲しい」と個展を中心に行い、時には作家同士の化学反応を期待するグループ展も開催。ここには露木氏の「来場者とのコミュニケーションを大切にし、作品への理解と親しみを深めて欲しい」という思いがあった。
また、「若手作家の支援」という側面も持ち、発掘してきた地元の新人作家の初個展も多々開催。ここで自信をつけた人、来館者の誘いで銀座で個展を開いた人、フランスへ渡った人など、丹沢美術館から羽ばたいたアーティストも少なくないという。
新たな美術館へ
開館から35年。館長だった露木氏の逝去をきっかけに、今年1月から丹沢美術館は新たなスタートを切った。「この場所をなくしたくない」という思いから、会員アーティストが中心となり運営委員会を設立。同委員会が企画・運営に携わり、アーティストたちの理想の場所をアーティスト自身で作り育てる「新しい美術館の形」を模索していく。
丹沢美術館は会員アーティストだけでなく、秦野市とその近隣在住の作家なら、誰でも気軽に利用することができる。また、運営委員会では新たなアート会員や賛助会員など、地域の文化振興に賛同してくれる人の協力も随時受け付けている。
個展の開催やアート会員・賛助会員への入会など美術館への問い合わせは、二次元コードからアクセスできるホームページ内にあるメールまたはLINEへ。
「丹沢」に込めた思い
丹沢美術館の創設者で、館長を務めていた故・露木順三氏。株式会社みどりやの代表取締役や秦野市議会議員などを務めた同氏は、自身も油絵やデッサン画など芸術作品を創作するアーティストとしての顔を持っていた。美術館が毎年開催している「ハート展」に必ず自身の作品を出展し、晩年は立体物制作にも意欲的だったという。
口癖のように文化と表現の大切さを口していたという露木氏は公立美術館建設を目指し、「丹沢を見渡せる白亜の美術館にしたい」という夢を抱いていた。その思いを表すように同館の封筒や名刺には、露木氏の描いた丹沢の山並が使われている。
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