堀山下在住の山田信弘さん(74)は、2022年から八沢で茶室造りに取り組んでいる。現在完成が近づき、あとは水屋の製作を残すのみとなった。11月には完成を記念した披露会を予定しているという。
山田さんは元左官職人。人生で様々なことに「挑戦」し、夢を叶えてきた。2009年に挑戦したのは、飛行機造り。自作の飛行機が大空を飛ぶ姿を夢見て、2人乗り飛行機キットの製作を開始した。約3年かけて完成させ、申請などをクリアし実際に操縦するなど、還暦を過ぎてからも夢を叶えている。
今回挑戦したのは茶室造り。当初は和室を造ろうとしていたが、「茶室はプロの職人集団の中でえりすぐりの人が造るもの。より難しいことをやりたくなった」と話す。
八沢にあった自身の事務所のベランダを撤去し、増築する形で茶室の製作を開始した。
趣ある佇まいに
目指すのは、見る人がわびさびを感じる趣のある茶室。木材は事務所裏の民家の解体時に譲り受けたものや、近隣の山の所有者から許可を得て切り出したものを使用している。「ガラス戸は70年前のものを再利用している。ひずんでいるガラスが味があって良いんだよ」と笑顔を見せる。
電気を通さず、自然光のみを取り入れた茶室内で、特に目を引くのが床の間だ。床板は築80年ほどの鎌倉の和風別荘のものを再利用し、床柱に使っている木は山から切り出したものだという。「この木を足に落してけがしちゃったんだ。それも思い出だね」と作業中のエピソードを語る。床柱に接続する木材は、足柄の山の地層から採取したという10万年前の埋もれ木。知り合いが10年間かけて掘ったものを譲り受けたという。
そんな自身のこだわりと思い出が詰まった茶室が、もうすぐ完成する。完成後の活用方法を聞くと、「実は茶道を習うのはこれからなんだ。これまで『動』の生き方をしてきたから『静』の分野も知りたいと思って。来た人を思いっきりもてなしたい」と話す。茶室の披露会は、11月ごろを予定している。
「飛行機を造った時もだけど、挑戦をしなければつながれない人と知り合えた。それが何よりの財産だね」と熱い眼差し。次の目標として掲げるのは、自作の飛行機を自身で操縦しアメリカ大陸を横断すること。「まだまだ挑戦したい。興味は尽きないね」と満面の笑みを浮かべた。
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