11月9日は「119番の日」。消防に対する正しい理解と認識を深めると共に、防火防災意識の高揚、地域ぐるみの防災体制の確立を目的に1987年に制定された。11月9日(土)から15日(金)までは「秋季全国火災予防運動」も行われる。今回、「119番の日」を前に、火災予防運動に関する啓発、秦野市消防本部・消防署の取り組みや職員、消防団などについて取材した。
秦野市の状況
火災が発生しやすい時季を迎えるにあたり、火災予防思想の普及を図る「秋季全国火災予防運動」。秦野市の火災状況を見ると、出火件数はここ数年で増加傾向にある。
2024年は、9月末現在で総出火件数が32件。昨年同月と比べると1件減とほぼ横ばいとなっている。内訳を見ると、建物火災が23件、車両火災が1件、その他の火災が8件。「空気が乾燥している」「暖房機器などのほか、火を使用する機会が増える」といった出火につながりやすい冬季を迎えるにあたり、これからの時季は特に注意が必要となる。
住警器の点検を
建物火災でカギとなるのが「住宅用火災警報器(住警器)」だ。住宅用火災警報器は、火災によって発生する煙を感知し、音や音声で警報を発して火災を知らせる機器のこと。新築・改築の住宅では2006年から、既存住宅では2011年から設置が義務付けられている。
秦野市消防本部予防課では「みなさんの家に設置されている火災警報器がいつ設置されたものか、この機会に確認してほしい」と話す。警報器は火災を感知するために常に作動しているため、その寿命は10年とされている。設置後10年を経過した警報器は本体の交換が推奨されており、同課では「いざという時に『あなたとあなたのご家族を守る』ためにも、正常に作動するよう適切な維持管理をしてほしい」と呼びかける。
死傷者が65%減少
同課によると、住宅用火災警報器を設置している住宅と設置していなかった住宅では、被害状況が明らかに異なるいうデータがあるという。
警報器の設置状況別に見た秦野市の住宅火災の被害状況は、2023年から過去10年間を分析すると、警報器を設置していなかった住宅火災1件当たりの建物損害額は10年平均で約384万6000円。これに対し、警報器を設置していた場合は約94万6000円で、設置されていなかった住宅と比べて、損害額は約75%減少している。
また、死傷者の発生状況においても同様に、設置済みの場合は、未設置の場合に比べて死傷者の発生が約65%減少するという結果が出ているという。
取り付けを支援
秦野市消防では、65歳以上の高齢者や障害者世帯など、自分で警報器を取り付けることが難しい場合、消防職員が設置を手伝うという取り付け支援を行っている。
取り付け費用は無料だが、住宅用火災警報器の用意は申込者自身が行う。申し込みは同課【電話】0463・81・5240(平日午前9時から午後5時)へ。
※詐欺に注意/消防職員が取り付けを行う場合は事前連絡の上、消防職員である身分証明書を携帯している。不審な場合は身分証の提示を求めるか、同課へ連絡を。
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