タウンニュースは、2017年の年頭にあたり、古谷義幸市長にインタビューを行った。3期目の任期も残すところ1年となった市長は取材に答え、昨年1年を振り返るとともに、新しい年を迎えるにあたり「市民が一緒になって楽しめるイベントを企画し、まちを健康に、元気にしたい」と力強く話した。(聞き手・本紙編集長・須藤一成、野口康英)
―2016年を振り返り、感想をお聞かせください。
市長/丹沢山麓秦野盆地の地下には芦ノ湖の1・5倍に当たるおよそ2億8千万トンの地下水があると言われています。1985年には秦野盆地湧水群が環境省認定の名水百選に認定されております。私たちの宝であるこの水が、かつて汚れてしまった時期もありましたが、先輩たちの努力により、甦ることができました。本市では、地下85mから115mまでの水源地を選定し、汲み上げた水でペットボトル「おいしい秦野の水〜丹沢の雫」を製造・販売しています。2016年にはこのペットボトルが環境省主催のコンテストで日本一となり、これが引き金となって、4月から9月の合計販売本数は、前年に比べて約5倍になりました。
また、5年をかけて整備を進めてきた「カルチャーパーク」は昨年3月、ようやく整備が終わりました。公園内はバリアフリーで、施設ごとに駐車場を完備し、子どもからお年寄りまで、誰もが楽しめる憩いの場に生まれ変わりました。4月には井戸からくみ上げた地下水を利用した「せせらぎ水路」も完成しました。この水は災害などの非常時には生活用水として利用できます。さらに公園内にはバラ園もオープンし、68種類、約970株のバラが多くの市民の皆さんの目を楽しませています。
6月から7月にかけて撮影された映画「じんじん秦野編(仮題)」は、今年の春には公開予定です。この映画は、秦野の豊かな自然が舞台となった映画です。市民750人以上が応援団として登録されていて、私自身も応援団長を務めています。全国にわがまちの魅力を知ってもらうチャンスと捉え、シティプロモーションにつなげていきたいと思います。
―秦野市が進める人口政策については?
市長/「住んで良かった」「住み続けたい」「住んでみたい」と思ってもらえるためには、職場と住居が近い、交通の利便性が高いなど、まちの魅力向上が必要です。本市は市内4駅からは都心へおよそ1時間。また2020年度には新東名が開通予定で、これにより市内には2本の高速道路と3つのインターチェンジを有するまちとなり、まさに「神奈川県西部の陸の玄関口」と言えるようになります。さがみ縦貫道を経由し、中央道や圏央道との広域アクセスが飛躍的に向上することが見込まれるため、まちづくり・ひとづくり・しごとづくりの観点から大きな期待を寄せています。この好機を決して逃すことなく、地域産業の活性化を始め、観光・農業振興に取り組んでいきたいと思います。
人口減少下でのまちづくりは、「コンパクトシティプラスネットワーク」が理想と言われます。本市は元々盆地に集約された「箱庭」のようなまちです。4駅を中心にコンパクトなまちが形成され、「わがまち秦野」の魅力のひとつになっています。今後は秦野駅北口周辺や鶴巻温泉駅南口周辺の整備を進め、住環境の向上に努めていきます。
昨年11月に、若いご夫婦や子育て世帯を対象とした定住化促進住宅「ミライエ秦野」の入居募集を始めましたが、12月15日現在で全57戸中すでに33戸に申し込みをいただきました。この住宅に住み、市内にマイホームを購入する際には、最大で60万円の助成金もあります。ぜひお申込みいただきたいと思います。
―商工会議所などの団体を始めとした民間との連携についてはどのようにお考えでしょうか?
市長/まず、商業施策では、商店街にある空き店舗を活用して開業した人へ補助することや、商店街が実施するイベントなどへの補助を実施しています。他にも、創業支援事業として秦野商工会議所や金融機関と連携し、市内における起業希望者を支援してきました。
また、昨年は8月11日の「山の日」にちなんで、市民や商業者などが「山盛り・感謝イベント」など趣向を凝らした企画を行い好評でした。今後も様々な分野で地域経済活性化のため民間との連携を深めていきたいと思います。
―昨年大山が日本遺産に認定されました。大山を核とした広域連携を含めた観光行政についてはどうでしょうか?
市長/表丹沢は、年間で50万人以上が訪れる、本市を代表する観光資源です。登山口のひとつである大倉には、県立秦野戸川公園があり、公園利用者と登山者を合わせると、その数は年間で100万人近くになります。一方、大山にアクセスできる蓑毛やヤビツ峠にも、年間20万人を超える方々が訪れます。今後は大山が日本遺産に認定されたことを踏まえ、さらに積極的に情報を発信し、誘客につなげていきたいと思います。また、伊勢原市、厚木市と連携し、小田急電鉄や大山観光電鉄、神奈川中央交通などの交通事業者のほか、各市の観光協会や学識経験者などで構成する「平成大山講プロジェクト」で、交付金確保のための共同提案などに取り組んできました。
その他、本市独自の施策としては、2016年度から18年度にかけて、国の「地方創生推進交付金」を使い、まずは鶴巻温泉駅と大山をバスで結ぶ実証運行に取り組みます。本格運行が実現すれば、温泉組合や地域の商業者との共同により、大山からの観光客を鶴巻温泉に呼び込み、地域の活性化につなげていきたいと思います。
―これまでの古谷市政を振り返るとともに、2017年の抱負をお願いします。
市長/2010年の第61回全国植樹祭や、2013年の全国報徳サミットなど、全国規模のイベントを市民ぐるみで開催することができたのは、まちの活性化につながる、大変意義深いことだったと思います。
また、大根川ポンプ場やクリーンセンターの建設など、生活環境の整備を進めたこと、一昨年、新東名高速道路の秦野サービスエリア(仮称)にスマートインターチェンジを設置することが決まったことも大変重要なことです。その他にも学校校舎の耐震化やトイレの改修、小中学校の全ての教室への空調設置など、教育環境の整備、地域実践型の防災訓練の実施や防災協定の締結などの安心・安全対策などにも取り組んできました。
2017年には表丹沢野外活動センターの「いろり棟(昔の生活学習館)」やクリーンセンターの隣に建設中の入浴施設「名水はだの富士見の湯」をオープンし、おおね公園の多目的広場の再整備に取り組むなど、住みよいまちづくりを進めます。そして、何よりも、今年は、皆さんが一緒になって楽しめるイベントを実施し、まちを元気にしていきたいと、いろいろ考えています。その一つとして、自治体対抗で競う市民総参加型のスポーツイベント「チャレンジデー」への参加を考えています。工夫を凝らして、こどもから高齢者まで楽しめ、みんなで元気に、健康になれるようなイベントにしようと思います。秦野たばこ祭は記念すべき第70回の開催となりますので、例年以上に楽しみです。映画「じんじん秦野編(仮題)」の公開を生かしたシティプロモーションも市民の皆さんと一緒に展開したいと思います。一年を通じて秦野市を盛り上げていく年にしたいですね。
―本日はありがとうございました。
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