横須賀・三浦版【10月4日(金)号】
巨大な流木から菩薩像を制作する山田さん。粘土細工や絵画など多彩な作品を展示する(©橋本忠)

くろば亭山田さん 初の木彫展、独学の境地 きょうから三浦市内2カ所で

 三浦市三崎にあるマグロ料理専門店「くろば亭」を営む山田芳央さん(76)=人物風土記で紹介=がきょう10月4日(金)から市内2カ所のギャラリーを会場に初の個展「みえてきた!」を開催する。長年独学で学んできた彫刻作品を中心に、陶芸や書、ペン画など多彩な表現方法による約千点を展示。主催する実行委員会では「アーティストとしての顔も持つ親方の真髄に触れてみて」と来場を呼び掛けている。

 流木や端材からかたどられた観音像や不動明王。コミカルな表情を浮かべる粘土細工のシャーマンや魚。一つとして同じものはなく、それぞれが異彩な存在感を放つ。

 幼少から絵や工作が好きで、趣味で嗜んできたという山田さん。40年ほど前、流木や朽ちた木を使った作品を残した江戸時代の仏師、円空の作品に感銘を受け、以来独学で腕を磨いてきた。

 これまで料理人として腕を振る傍ら、10カ国を巡り、陶仏や石仏、木仏、仏教曼荼羅などを研究。仕事の合間をぬって創作に没頭してきた。三崎の複合施設「うらり」1階に展示された木彫作品「曼陀羅ぼっち」は縦1・2m、横2・8m、重さ800kgにもなる大作で、2018年に県内最大規模の公募展「県美術展」でも入選した。

 今回の作品展は、山田さんと長年親交のあるカメラマンの橋本忠さんや市内でギャラリーを運営する吉井大輝さん、伊原夕紀子さんらが実行委員会形式で企画。これまで作りためてきた作品に新作を加え、市内2会場での同時開催が実現した。

 作品は流木の木目や文様、亀裂など本来の風合いを生かして造形を浮かび上がらせる。山田さんは「持ち味を生かすのは料理も作品づくりも通じる。作品からエネルギーを感じてもらえたら」と矜持をにじませた。

 10月28日(月)まで。会場は「HANPAもろいそ」(諸磯1879の3)と「イハリウムコアジロギャラリー」(小網代1240の1)。開館は午前10時から午後6時。問い合わせは伊原さん【携帯電話】080・5002・7759、吉井さん【メール】taiki@onesplace.or.jp。

優勝メンバーの松村さん(右)と猪股さん

PCスクールsmile ロボット競技で世界一 中学生2人組で初の頂点

 小中学生が対象の国際ロボット競技会「ユニバーサルロボティクスチャレンジ2024」の世界大会が9月22日に大阪府で開かれ、横須賀市日の出町のプログラミングスクール「Smile」から出場した松村拓実さん(逗子開成中3年)と猪股(いのまた)陽向(ひなた)さん(公郷中2年)がロボット競技・アドバンス部門で優勝した。決勝は世界8カ国22チームの出場があった中、スクールとして初の頂点に輝いた。

 同大会は世界中の小中学生がロボットの製作・プログラミング技術を競い合う国際競技会で松村さんと猪股さんは2人1組のチームとして出場。競技はフィールド内に置いたブロックを自作ロボットで運搬し、決められた場所に制限時間内でどれだけ積み重ねられるかを競う。事前に設定する運搬ルートのプログラミングが高得点を取る上で鍵となる。

 縦に長いつかみ機を考案するなど機体の形状にも工夫を凝らした同チーム。一度により多くのブロックを運べるようになり、日本予選(動画審査)を1位で通過した。

冷静な判断力光る

 世界大会はライバルらと一斉に実演を開始する方式。2回の実演機会のうち、1回目はルートを読み取るセンサーの不調でロボットがコースアウトを繰り返し失敗に終わったものの、機体の調整を素早く行い、結果的に同日最多数のブロックを積み上げた。松村さんは「センサーの値や部品の交換など、僅かな調整で全体に影響が出るので、チェック作業は大変だった」と振り返った。

2人の相性が奏功

 同スクールで指導を担当する丸山祐花さんは「本番中は手助けができない中、2人でよく冷静に対処できた」と臨機応変な対応を称賛。「プログラミング力に優れた松村君と空間認識能力に富んだ猪股君の相性が良かったのでは」と勝因を分析した。

 昨年の出場では2位に終わった松村さんは「最後の挑戦で優勝できてうれしい。高校でもロボット製作を続けたい」と今後の活動にも意欲を見せた。猪股さんは「夏休み返上で準備した甲斐があった」と達成感をにじませた。

きょう10月4日から三浦市内2会場で作品展「みえてきた!ヤマダヨシオ展」を開催する 山田 芳央さん 三浦市三崎在住 76歳

「三浦の円空」ここにあり

 ○…「お前、何になりてぇんだ」。アトリエに置かれた巨大な流木に語り掛ける。じっと見つめると木目や節が神仏の表情に「見えてきた」。眠る形をすくい取るようにノミを振るい、掘り起こしていく。彫り過ぎず、削り過ぎず。路傍の石や木の根、布切れにも命を吹き込み、新たな価値を生み出すのが自らの真骨頂。「無駄なく使う。料理も、作品も」。確たる信念が口をついた。

 ○…「雷に打たれたようだった」。独学ながら彫刻歴は40年以上。あるとき、デパートの展覧会で円空仏を観て衝撃を受けた。元々仏像は好きだったが、流木や朽ちた木で荒々しく彫られた存在感に圧倒され、「こんな彫刻があるのか」。権力者のためではなく、全国を行脚し、貧困や飢餓に苦しむ土地の民のために祈りを込めてノミを振るう。仏像制作の真髄に触れた思いがして自らも嗜むように。以来、円空は心の師。素材と対話し「円空だったらどうするか」と自問を繰り返しながら制作に向き合う。

 ○…父はかつて日本一とうたわれたマグロ漁師だった。幼少の頃、船酔いする姿に「お前は漁師に向かない」と”三行半”を突き付けられ、料理の道に。飲食店を渡り歩いて修行を重ね、23歳のとき、くろば亭を開店した。「無駄なく命を使う」は当初からの信条。骨や皮、内臓など余すことなく活用し、うまく食わせることにかけては右に出る者はいないと自負する。息子と孫に店を任せ一線からは退いたが、その精神は今も健在だ。

 ○…歩みを止めない生き様はマグロの生態にもどこか重なる。病を抱え昨年は死の淵をさ迷ったが、再び創作の場に帰ってきた。素材の声を聴き、形に。造ることに全精力を傾け、食べる人、観る人に全ては託す。迷いのない美学が光った。

名向小で体験授業 真珠のふしぎに興味津々

 真珠を通して三浦の海の豊かさ、自然の大切さを学ぶ特別授業が9月26日、名向小学校の5年生を対象に実施された。三浦産真珠の再生に取り組むNPO法人小網代パール海育隊(小パール隊/出口浩理事長)が協力。

 児童らは小網代湾で養殖したアコヤガイから真珠を取り出す「浜揚げ」を体験。外套膜から白く輝く真珠が出てきた際は児童らから歓声が上がった。その後、母貝の身にメスなどで傷をつけ、真珠のもとになる他の貝の核と細胞片を埋め込む核入れ作業も体験。貝の構造や真珠ができる過程を学んだ。

 核入れを行った貝は授業後に海へ沈められ、一回り大きくなった真珠は卒業記念品として児童に贈られる。

開票後、支援者らに向け結果を報告する小泉氏

小泉進次郎氏 自民党総裁選で3位 新人事で選対委員長に

 9月27日に投開票された自民党総裁選挙で、小泉進次郎氏(43)=衆院11区=は全体3位の得票数にとどまり、決選投票への進出は叶わなかった。30日には石破茂新総裁のもと、選挙対策委員長に就任した。

 小泉氏は9月6日に総裁選への立候補を表明。「長年議論ばかりを続け、答えを出していない課題に決着をつける」と訴えた。開票後、支援者らに向けた報告会では「想定した決着とは異なるが、このチームで総裁選を戦えて良かった」と振り返った。

 地元からは落選を惜しむ声と、今後の活動に期待を寄せる声が上がる。自民党の田中洋次郎県議は「刷新を訴えて支持が広がったことは、今後自民党が変わっていく中で大きな力になると思う。総裁選で掲げていたことをこれからの役割の中で進めてほしい」とコメント。三浦市で小泉氏を支援する「三進会」代表の加藤隆史さんは「国会に若い風を吹かしてくれることを期待していただけに残念。再度挑戦することがあれば全力で応援したい」と話した。

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あす不登校相談会 横須賀市本町で

 不登校の小中高生や中退者、保護者らを対象にした不登校相談と進路情報説明会が10月5日(土)、横須賀市立総合福祉会館(本町2の1)で開かれる。午後1時から4時。

 県や三浦半島各市町の教育委員会やフリースクール、通信制や定時制の高校などが会場に窓口を開設。不登校に関する一般的な相談を受け付けるほか、進路選択の参考情報も提供する。予約不要、当日直接会場へ。

過去の体験会の様子

親子でセーリング体験 シーボニアマリーナで11月

 優雅に”海上散歩”はいかが――。

 親子向けのセーリング体験会が11月2日(土)と16日(土)、リビエラシーボニアマリーナ(三浦市三崎町小網代1286)で開かれる。小学生と保護者が対象で、10月15日(火)午前9時まで参加を受け付ける。

 県の主催。東京五輪セーリング競技が江の島(藤沢市)で開催されたことをレガシー(遺産)と位置づけ、県民に広く競技の魅力に触れてもらおうと企画した。県内4カ所の開催で、同マリーナでは「ハンザ級」と呼ばれる初心者向けのヨットを使い、インストラクターの指導を受けながらセーリングを体験する。

 参加無料。各日午前10時〜正午と、午後1時〜3時の2回(受付開始は20分前から)。定員各回10組20人で応募多数時は抽選。

 問い合わせは県スポーツ課競技スポーツグループ【電話】045・285・0797。

医師が語るがん経験 ”赤ひげ先生”招き19日講演

 野村内科クリニック(横須賀市林)の野村良彦名誉院長=写真=による講演会「医者が癌になって気付いたこと」が10月19日(土)、横須賀市産業交流プラザで開かれる。午後1時から3時。

 野村氏は横須賀市民病院呼吸器科科長を経て1995年に同クリニックを開院。2013年には全国都道府県の 「地域に密着して人々の健康を支えている医師」に贈られる「第2回赤ひげ大賞」を受賞した。

 当日は自らの胃がん経験を通して気づいたことについて講演。主催する「よこすか・やすらぎの会」では「日本人が2人に1人ががんにかかる時代。病気に対する理解を深めて」としている。

 参加費800円。先着48人(当日受付)。問い合わせは同会、佐藤さん【携帯電話】080・3007・6826。

米海軍強襲揚陸艦「ワスプ」の制作に挑んだおおなみ会メンバー

忠実再現 米艦船「ワスプ」 模型愛好家集う展示会

 横須賀を拠点に活動する模型サークル「おおなみ会」が主管を務める「第12回艦船模型合同展示会」が10月5日(土)・6日(日)の両日、横須賀市文化会館(深田台50)で開かれる。

 合同展示会は全国の模型愛好家が2年に一度、自慢の作品を持ち寄って披露する国内最大規模の催し。前回は大阪で開かれている。今回は200人の愛好家が参加を表明、艦船を中心に飛行機やヘリコプターなど約500点が飾られる。

 おおなみ会では個々のメンバーが出展するほか、チームによる合同作品として72分の1スケールのアメリカ海軍強襲揚陸艦「ワスプ」を展示する。全長3・6mある大型模型で艦船の設計図を取り寄せて、形状や配置の忠実な再現に挑み、約10人のメンバーが分業して取り掛かった。完成版は初披露となる。5日は午前11時から午後5時、6日は午前10時から午後4時まで。入場無料。

空中で華麗なトリックを決める選手

BMX日本杯 迫力のトリックに歓声

 国内トップクラスのライダーが集うBMXフリースタイル「マイナビ JapanCup Yokosuka」が9月26日から3日間、横須賀市平成町のうみかぜ公園で開かれた。全日本フリースタイルBMX連盟(JFBF)と市の共催。

 ジャンプ台を用いた技で難易度や完成度を競う「パーク」と、平らな舞台で独創性のあるパフォーマンスを披露する「フラットランド」の2種目が行われ、トリックが決まると会場は歓声で包まれた。

 男子パーク・エリートでは、パリ五輪BMXフリースタイル男子パークで5位の中村輪夢選手(22)が1位に輝き、横須賀在住の大和晴彦選手(22)は同部門で8位に入賞。横須賀学院小5年の浜田琉瑠選手はガールズ10〜12歳の部で3位にランクインした。

 大会は市と同連盟が2022年に締結した連携協定に基づくもので3回目。今年は天候不良のため27日が中止になったものの、3日間で約9千人が来場した。

ピンク一色 乳がん検診啓発 神歯大でライトアップ

 乳がんの予防や早期発見のための検診を啓発する10月の「ピンクリボン月間」に合わせて、神奈川歯科大学(横須賀市稲岡町)は1日、昨年12月に竣工した同大キャンパスセンターをピンク一色に染めるライトアップを実施した。

 「あなたとあなたの大切な人を乳がんで失わないように願いを込めて」をスローガンとするピンクリボンかながわの運動に賛同の意を示して協力。視覚でメッセージを発信した。

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よこすか浦賀病院 ”地域の病院”にできる事 能登半島地震へ義援金

 よこすか浦賀病院(横須賀市西浦賀)は、9月24日、同院で8月に開催したチャリティーイベント中に集まった募金額2万4505円を元日に発生した能登半島地震の義援金として日本赤十字社神奈川県支部へ寄付した。

 8月のイベントには2時間ほどで100余名が来場。募金を目的に訪れた来場者もおり、同院の高橋民雄顧問は「市民の関心も高く、大変ありがたい」と振り返った。

 募金の寄付は同院初の試み。同院の清水良介副事務長は「地域のかかりつけ病院として、何ができるのかを考えて、今後も継続的にこういった活動を続けていきたい」と展望を話した。

三浦市内の公園などで練習を積む

マリーンズ三浦 強打線で勝ち上がる シニアソフト大会で初優勝

 健康増進や仲間・生きがいづくりを目的とした60歳以上の「健康スローピッチソフトボール」チームのマリーンズ三浦が9月14・15日に都内で行われた「日野原重明カップ」で初の優勝を果たした。

 米国で考案され、日本でも愛好者が増えている競技で、一般的なソフトボールよりも大きい14インチを使用し、投手は下投げで山なりの投球を行う。

 同チームは「明るく楽しく健康に」をモットーに2018年に創立。現在会員は35人で平均年齢は73歳のシニア層が中心。市内の公園などで週に2回練習を積み大会に挑んでおり、主に高齢男性の健康維持、地域における居場所づくりに一役買っている。

 今大会は、68歳以上で構成される「オパール7」のトーナメントに出場。4試合で本塁打を10本以上放つ強打線で勝ち抜いた。監督兼選手として10番レフトで出場した山田朋康さん(77)は、「長打力のある選手を交互に配置することで、どこからでも点が取れるオーダーにした」と采配に満足気。「でも一番は、みんなで打って守る全員野球が功を奏した」と日ごろの練習の成果を振り返り、笑みをこぼした。