横須賀・三浦版【10月11日(金)号】
池田代表(右)と発案者の一人の窪田さん

みちくさラボ 学校にヤギの癒しを 県の公募事業で最優秀賞

 ヤギとのふれあいを通じて、地域課題の解決に取り組む市民グループ「みちくさラボ」(池田陽子代表=人物風土記で紹介)がこのほど、県の「子ども・若者みらい提案実現プロジェクト」で最優秀賞を受賞した。小中学校に1カ月、ヤギと飼育道具一式を貸与する案で、採択による事業化が決定。今後、学級崩壊や不登校などの解決に役立てていく。

 同プロジェクトは子どもの意見を県の施策に反映させるため、県内の6〜29歳を対象に実施。年齢区分で3部門を設け、7月の書類審査に計102件の応募があった。

 みちくさラボは、若者部門(19〜29歳)に応募。プロジェクト名は「ヤギが待ってる!行きたくなる学校プロジェクト ヤギの学び舎1か月留学システムの導入」と題した。

 同団体が飼育しているヤギの「くり」と「メイ太」の2頭を希望する小中学校へ1カ月間レンタル。子どもらによるエサやり体験やふれあいを通じ、不登校児や学校に居づらさを感じる生徒らが「行きたくなる学校」を目指していくという。

 県の審査では先進性や独自性、実現性などの基準で、事業化に値すると評価された。

 代表の池田さんは、「眺めるだけでもほっとするヤギがもたらす癒しや元気を子どもたちに感じてほしい」と事業化による効果を期待する。

大学生が発案

 みちくさラボは、横須賀市根岸町の一般社団法人Miraie(ミライエ)内を拠点に活動。ヤギの出張授業やイベント派遣、JR久里浜駅前の草刈り活動など、ボランティアを含めた約30人で事業を展開している。

 プロジェクトの発案者は、グループに在籍するボランティアの大学生3人。メンバーの窪田あかりさん(武蔵野大4年・横須賀市在住)はきっかけについて、「小学生の時は校内に動物がいて、自然とふれあえる空間があった」と回顧。「動物を介在させることで学級崩壊や不登校など、外部からのアプロ―チで問題を解決できる糸口になるのでは」とアイデアを練り上げたという。

 導入後の学校では、基本的に同団体のスタッフや地域の飼養者が飼育を行い、受け入れる学校の負担を極力減らす。

 「子どもたちが休み時間を過ごすときの選択肢の一つになれば」と池田さん。ヤギがゆっくりと草を食むように立ち止まり、子どもたちが心を休める手立てになればと願いを込めた。

衆院選11区 3氏が出馬意向 10月15日公示、27日投開票

10月15日公示、27日投開票の日程で行われる衆議院議員選挙神奈川11区(横須賀市・三浦市)の立候補予定者が固まった。8日現在までに出馬の意向を示しているのは、前職の小泉進次郎氏(43・自民)、新人の爲壮(ためそう)稔氏(71・共産)、新人の初鹿野(はじかの)裕樹氏(47・参政)の3氏。12日間の選挙戦に向け、各氏が準備を本格化させている。

 小泉氏は現在5期目。自民党が下野した2009年の衆院選で初当選し内閣府兼復興政務官、党農林部会長などを経て、19年に安倍政権の環境相として初入閣した。

 9月27日に投開票された同党総裁選では9人中、3番目の得票数を獲得。新たな党役員人事では党4役の選挙対策委員長に就任した。

 10月7日に横須賀市役所で開かれた記者会見では、自民党の政治とカネを巡る問題を念頭に「初当選以来の厳しい逆風の選挙。今までで最も地元に入れないと思うが、SNSなどを活用し、地元の皆さんにも思いを届けたい」と決意を述べた。

 爲壮氏は横須賀市東浦賀在住。現在、神奈川みなみ医療生協で監事を務めている。

 43年間、医療や福祉の現場に従事してきた経験を生かし、ケア労働の人材不足解消や全ての労働者の賃上げ、7時間労働の法制化を掲げる。広島県出身の被爆2世。「命を守る医療と命を奪う戦争は相容れない。核兵器廃絶、戦争をなくし命と平和を守る」と出馬の動機を説明する。消費税減税や再エネ100%の導入なども訴えている。

 初鹿野氏は三浦市初声町在住。2022年まで約23年間、警視庁の警察官指導者として現役警察官に柔道などを教えた。退官後、23年4月の葉山町議選に出馬し落選。現在は会社顧問を務める。

 経済対策では消費税廃止や再エネ賦課金やインボイス制度の廃止を主張。教育では子ども1人あたりに予算をつける仕組み作りなどを掲げる。「子育て世代を呼び込み横須賀三浦を盛り上げていきたい」と意気込む。

ヤギを学校へレンタルする事業をスタートする「みちくさラボ」代表の 池田 陽子さん 横須賀市池田町在住 50歳

「ほっとする」届けたい

 ○…ヤギの出張授業や市街地での草刈り活動など、昨年5月にみちくさラボをオープンして以来、ふれあいを通じて、目指してきたのは「みんなが優しくなれる空間」。このほど県の事業化に採択された「ヤギが待ってる!行きたくなる学校プロジェクト」では、ヤギを介在させることで心の安らぎや生徒の居場所を提供する。

 ○…千葉県出身。有り余る「ヤギ愛」は、幼いころ、通学路の脇で飼育されていたヤギとの出会いに起因する。学校へ向かうのが憂鬱な日も会うのを楽しみに乗り越えられ、親に渡すのをためらう少し残念なテストの結果やプリントなどを食べてもらううちに「全てを受け入れてくれた感じがした」。ヤギの底知れぬ魅力に取りつかれ、「将来は動物に囲まれて暮らすのだろう」。そう確信していた。

 ○…しかし大人になり、気が付けば社会の荒波にもまれ、仕事に追われる毎日。思い描いていた将来像との乖離に悩む日々を送った。横須賀へは夫の長期出張を機に15年前に移住。転機が訪れたのは月刊誌の編集をしていた40代半ばの時だった。子育ても一段落すると、ふつふつとヤギ愛が再燃。資格も知識もない状態からのスタートだったが、「やりたいことをやらず死ぬ間際に後悔したくない」。信念が足を動かした。

 ○…それからすぐに、1年間動物病院のアルバイトで経験を積み、「愛玩動物飼養管理士」を取得。時には牧場で飼育を習い、時には民家でヤギを飼う人に疑問や質問をぶつけた。そうすることで生まれたネットワークから飼育場所も見つかった。「イベントをすると高齢者から子どもまで多くの人がヤギを中心に話してくれる。そんな優しい光景をこれからも作っていきたい」

海辺の自然再生を報告 横須賀で高校生サミット

 海辺の自然再生に取り組む高校生の活動を紹介する「高校生サミット」が10月12日(土)から14日(祝)の3日間、神奈川歯科大学大講堂(横須賀市稲岡町82)で開かれる。NPO法人海辺つくり研究会、NPO法人共存の森ネットワークの主催。元日本テレビアナウンサーで同志社大学助教授の桝太一さんが司会とモデレーターを務める(12日と14日)。

 魚の産卵や稚魚の成育の場として、海藻の一種で群落を形成するアマモが重要な役割を果たしている。これが経済成長に伴う沿岸地域の開発などを理由に全国で急速に消失。"磯焼け"と呼ばれる海洋生物の減少や生態系の変化をもたらしている。今回のサミットでは、全国20校の高校生がアマモ場の再生活動に取り組む事例や自然再生、生態系の保全に向けた研究成果を報告する。13日(日)の午後2時30分から地元を代表して神奈川県立海洋科学高校の生徒が登壇する。

 活動アドバイザーとして、海辺つくり研究会の理事長の古川恵太氏、同会理事で日本テレビ系列「THE! 鉄腕! DASH‼ ─DASH海岸─」にレギュラー出演中の木村尚氏らを迎える。参加無料でオンライン配信もある。申し込み・詳細は左記のホームページ(【URL】https://amamo-summit.net/)を確認。

アマモ生育 底室に着目

県立海洋科学高校

 横須賀市長坂にある県立海洋科学高校では、付近の小田和湾のアマモ場再生に取り組んでいる。同校で育成している小田和湾産のアマモ株の苗を植栽に使用しているが、種の発芽率の低さを課題としていた。そこで土壌である海の底室に着目し、発芽率の向上と生長に適した条件について検討してきた。その研究成果を発表する。

講演後、児童とふれあう田村さん

体幹機能障害の田村さん 当事者と触れて知って 剣崎小で講演

 三浦市教育委員会による人権教育の取り組みの一環として10月3日、四肢体幹機能障害のある田村一輝(いつき)さん(25=金田在住)が母校の剣崎小学校で講演を行った。全校児童や保護者のほか、市内各校の人権教育担当者が集まり、講話に耳を傾けた。

 介護職員初任者研修など、これまでに市内各所で講演を行ってきた田村さん。今年度で閉校になる母校での登壇を希望したところ、市教委と同校の協力で実現した。

 講演で田村さんは「階段の移動や体育の授業では、同級生や先生に助けてもらっていた」と同校時代を振り返ったほか、「車いすを押す時は進行方向を事前に教えてほしい」など「当事者でなければわからないこと」について児童らに説いた。講演後、「車いす使用者について、子どもたちに身近に感じてほしかった。学校の近くで見かけたときは気軽に話しかけて」と笑顔で話した。

三浦市三崎 海を知る、海で遊ぶ 海の駅をPR「海業フェスタ」

 マリンレジャーや水産加工品の販売など海を中心とした地域交流の拠点である「海の駅」をPRするイベント「海業フェスタ@みうら・みさき海の駅」が10月13日(日)、三浦市三崎のうらりで開かれる。時間は午前10時から午後3時。(株)三浦海業公社の主催。

 同イベントは「海を知る、海で遊ぶ」の2つのテーマで構成。三浦市が誇る名産品であるマグロの種類や豆知識の紹介のほか、遠洋漁業基地として栄えた三崎の歴史と街並みの変遷を伝える写真展が関東学院大学法学部木村ゼミの協力で開かれる。船舶調査や海底調査などの分野で導入が進む水中ドローンの操縦体験も神奈川県立海洋科学高校の生徒がサポートする形で実施。楽しみながら学べる。

 夕陽に照らされた富士山を洋上から眺める「にじいろさかな号 サンセットクルーズ」などもある(午後4時45分から5時15分/先着60人)。

 特別企画として、FMヨコハマの番組「まんてんサンデーズ」にお笑い芸人の安藤なつさんがゲスト出演する公開生放送(午前10時から11時33分)と、吉田英男三浦市長とじゅんいちダビッドソンさんがトークゲストを務める「海の駅公開収録」(午後1時から3時)が行われる。

「私版浦賀名所八選」 浦賀エルマーレで木版画展

 東浦賀の東岸渡船場前にあるカフェ「エルマール」で2019年に72歳で逝去した木版画家の中川健二さん(葉山町)の遺作展が開かれる。会期は10月19日(土)から27日(日)。中川さんはかつてこの場所にあった「ギャラリー時舟」で個展を開いた際に浦賀の街並みを気に入り、「私版浦賀名所八選」のタイトルで絵葉書を制作=写真。今回はその作品とともにモノクロの木版浦賀八景を展示する。正午から午後5時。月・火曜定休。

イベントの告知ポスター

10月26日三崎港 「芋煮とロック」2年ぶり音楽祭

 山形県の郷土料理「芋煮」と野外音楽イベントを掛け合わせた「芋煮ロックフェスティバル」が10月26日(土)、三浦市の「うらり交流広場特設会場」(三崎5の3の1)で開かれる。

 山形県出身の國井久嗣さんら有志4人が立ち上がり、2013年に相模川河川敷で初開催。翌14年、うらりに会場を移し、2年ぶり8回目の開催を迎える。

 今回も90年代の音楽シーンを彩ったスリーピースロックバンド「サニーデイ・サービス」の曽我部恵一さんを始め、DJやついいちろう、Darthreider & The bassons、笹口騒音ハーモニカ、kiss the gambler、かもめ児童合唱団の計6組が出演。秋風が頬をなでる会場で、食と音楽が特別なひと時を演出する。

 午前11時開場、午後8時閉場。入場無料だが、「芋煮サポート寄付金制度」を取り入れており、2千円からの支援金を受け付ける。詳しくはイベントホームページへ。

横須賀刑務支所 刑務作業品を販売 10月19日に「矯正展」

 横須賀市長瀬の横須賀刑務支所は10月19日(土)、恒例の「横須賀矯正展」を実施する。同支所と久里浜少年院、(公財)矯正協会刑務作業協力事業部の主催。

 刑務作業の重要性や現状などについて広く周知するため、全国各地の刑務支所・少年院で催されている矯正展。実際の刑務作業について知ることが出来るほか、受刑者が製作した「刑務所作業製品」=写真=の展示・販売も行われる。

人気石けんも販売

 今回も同支所で製造され、衣類などのしつこい泥汚れ、油汚れに強いと人気を博している石けん「ブルースティック」を販売。今年は60本入りの「箱売り」も解禁する。うどんやパスタなどの乾麺(横浜)、木箱(佐賀)、焼き物(山口)など、各地の刑務支所で作られている製品も並ぶ。

 市立横須賀総合高校の演奏や地域の事業者による飲食・物販ブース、普段は入れない刑務所内部のツアーも実施される。

 午前9時30分から午後3時。問い合わせは同支所046・842・4977。

三浦市がハラスメント調査 職員2割「経験ある」 第3者窓口設置検討へ

 三浦市の約2割にあたる職員が上司や同僚などから「ハラスメントを受けたことがある」と回答したことが、このほど市が実施したアンケート調査で明らかになった。見聞きしたと答えた職員も半数以上にのぼった。

 調査は5月13〜22日に実施。一般職の概ね過去3年間の案件を対象とし、336人中7割近い230人が回答した。

 49人が市職員からハラスメントを受けたと回答。130人が見聞きしたことがあると答えた。市職員間で最も多かったのは部下に対する過度な叱責や過大な要求といったパワーハラスメントで103人。セクシャルハラスメントが13人、妊娠・出産・育児休業ハラスメントは11人だった。

 一方、行為者への抗議は9人にとどまり、50人が「何もしなかった」と答えた。防止策に必要なことでは7割を超える164人が十分な調査や処分を求めた。

 市では今回の結果を受け、研修や該当事案の調査を継続するとともに第三者相談窓口の設置を検討するとしている。

ソレイユの丘で長井民謡に興じる住民ら(同会提供)

横須賀市長井 記憶つないで伝統復活

 「あれよ長井の荒崎浦にゃ 鳴戸黒潮どんとうつ」--。

 かつて横須賀市長井で踊られていた「長井民謡」が同地域の活性化部会によって9月28日に長井海の手公園ソレイユの丘で行われた「長井まつり」で復活を遂げた。

 「そういえば長井民謡ってあったよね」。昨年8月に催した祭りの盆踊り後、同会のメンバーが発した何気ない言葉をきっかけにして復活に向けた活動がスタート。長井民謡はかつて、長井小学校の運動会の時に踊られており、主に口伝で伝承されてきた歴史がある。そのため同小学校で踊られていた期間や振り付け、そもそも何年に作られた歌かなどの詳細な記録は残っていないが、地域住民によると少なくとも20年ほど前までは踊られていた。

 メンバーらは住民や小学校、町内連合会などで振り付けを覚えている人や歌詞の情報を数カ月にわたり収集。そんな中、1974年に同小学校が校歌などとともに発行した冊子の中に長井民謡の歌詞が見つかった。その後、メンバーの知人宅から当時のレコードも発見され、音源をデジタル化した。

 振り付けは小学生の時の断片的な踊りの記憶を頼りにつなぎ合わせ、地域のダンススクール「Vrillant」の指導者である杉本未優さんに新しい振り付けを依頼。杉本さんは「足の動きを少なくすることで大人から子どもまで踊りやすくした」と生まれ変わった踊りの特徴を話す。

 28日のお披露目では、当時を懐かしむ大人から子どもまで、多くの人がやぐらを囲み、一新された長井民謡を楽しんだ。長井地域運営協議会の泉澤泰範会長(70)は、「これを機に長井の伝統を再確認し、大切にしていきたい」と話し、民謡を郷土愛の醸成にも活用していく方針だ。
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青年八日会 丸山氏迎えてワークショップ

 青年経済人で組織する「横須賀青年八日会」(木浪康介会長)は11月11日(月)、世界の危険地帯や犯罪多発地域を取材するジャーナリストとして知られる丸山ゴンザレス氏=写真=を講師に迎えてワークショップを開く。

 極限の環境で培われたリスク管理や意思決定、リーダーシップ力などをビジネスに置き換えて考察。サバイバルしていくためのヒントや発想を丸山氏の経験から学ぶ。

 会場はヨコスカ・ベイサイド・ポケット(横須賀市本町3の27)で時間は午後7時開始。定員150人。参加費2千円。

 問い合わせは【携帯電話】080・4452・4471(林さん)。

成果発表後、RUN伴実行委員らとトークセッションを行う生徒ら

「発症しても社会の一員」 高校生が認知症を考える

 総合的な探究の時間で認知症に関する研究に取り組んでいる県立横須賀高校2年生は10月5日、認知症啓発キャンペーン「RUN伴三浦半島」のキックオフイベントで研究の中間発表を行った。

 同校ではグループごとにテーマを設定した学習を行っており、同研究にはNTT人間情報研究所が協力。同日は村木志帆さん、吉良優花さんが登壇し発表を行った。

日常で理解を促進

 「当事者と話すことで理解がさらに深まる」と話した村木さん。若い世代へ向けた啓発にSNSを活用するアイデアを述べた。吉良さんは研究の中で得られた「認知症は職場で気づく/気づかれることが多い」という知見から、「発症しても社会の一員であるために、職場での認知症の理解促進が必要なのでは」と発表。社内研修等で活用する「認知症カルタ」の導入を提案した。

 生徒らは研究を進め、来年3月に校内で成果発表を行う。

協定書を交わす田中副市長と平川組合長(右)

ペット同伴避難の一助に 市と遊技場組合が協定

 災害時にペット同伴で避難できる体制を整えようと横須賀市は10月3日、横須賀・三浦遊技場組合(平川雄大組合長)と防災協定を締結した。加盟する郊外型の店舗が駐車場を開放し、自家用車での滞在を支援する。

 災害時にペットと避難所で過ごす場合、市では他の避難者への配慮のためケージに入れ、生活空間を分ける必要がある。一方で、飼い主にとって離れ離れになることが精神的な負担になるケースもあり、同伴避難のあり方が課題だった。

 協定には計12店舗が参加。うち郊外型の8店舗が駐車場を開放し、滞在時トイレや水も提供する。被災状況などにもよるが、最大1200台程度が収容可能という。

 この日、田中茂副市長は「行政対応だけでは限界があり、民間事業者の協力は不可欠。大変ありがたい」と謝辞を述べた。平川組合長は「微力ながら災害への備えに協力したい」と話した。

 協定では駅近くの10店舗が一時滞在施設として帰宅困難者を受け入れる内容も盛り込んでいる。
表彰台に上がるギャンビルさん

三浦市菊名のギャンビルさん 射撃競技で日本一に

 三浦市菊名在住のギャンビル・ウイリアム・海音さん(星槎高校3年)は9月28日、大分県を会場に行われた「国民スポーツ大会」(旧国民体育大会)の10mエアライフル少年男子30発立射において、初めて日本一に輝いた。

 ライフル射撃は約4・5キロの競技用銃で鉛球を放ち、10m先の大きさ0・5ミリの的の中心部を狙う。円状の的の中心部に近いほど得点が高くなり、1射の最高得点は10・9点となっている。

 全国から集まった精鋭23人で本選を戦い、その中の上位8人で競うサドンデス方式の勝負を勝ち抜き、247・5点を記録。ギャンビルさんは「全国の上手な選手と真剣勝負が出来て、良い経験になった」と振り返った。

 昨年の国体の決勝戦では、銃の部品の不具合で成績を落とし優勝を逃した。今大会では入念な整備と調整を繰り返し、大会に臨んだ。

 ギャンビルさんは翌29日に行われたエアライフル少年男子60発立射にも出場し、3位にランクイン。今大会で金・銅の2つのメダルを獲得した。

音楽会に先駆けミニコンサートで演奏を披露する斎藤さん(=9月28日、本町のコースカベイサイドストアーズ)

レフレール斎藤さん 障害の垣根なく鑑賞を 19日にバリアフリー音楽会

 障害の有無や年齢に関わらず音楽を楽しめる「小さき花の音楽会」が10月19日(土)、横須賀市本町のヨコスカ・ベイサイド・ポケットで開かれる。手掛けるのは同市出身で兄弟ピアノ連弾デュオ「レ・フレール」の斎藤守也さん(50)。「生の音楽に触れて心を軽くしてもらえたら」と来場を呼び掛ける。

 9月28日は本町の商業施設で「星に願いを」や人気アニメのテーマソングなど、子どもたちにも馴染み深いピアノ曲を次々に披露。来場者は体を揺らしたり、手拍子を打ったりして楽しんだ。音楽会の告知を兼ねて共催する横須賀芸術文化財団が企画した。

 音楽会は2018年から全国で開いており、横須賀では昨年に続いて2度目。息子に障害があり、通院時に演奏した経験がきっかけで、ライフワークとして病院や施設での演奏を続けている。

 掲げるのは「心のバリアフリー」。通常のコンサートとは異なり、演奏中に声を出したり、動いても良い。会場には車いすやマットで鑑賞できるフロア席を設け、手話通訳や歌詞のスクリーン投影、補助犬の入場などのサポートも用意した。

 「音楽は心の解放。苦労や生きづらさを抱える人も安心してコンサートを楽しんでほしい」

 午後2時開演(1時30分開場)。高校生以上3千円、4歳〜中学生1800円。問い合わせは横須賀芸術劇場【電話】046・828・1602。

神奈川県選挙管理委員会の衆議院議員小選挙区別選挙人名簿登録者数と在外登録者数より試算

本紙が試算 「1票の格差」県内で1.5倍に 次期衆院選

 10月15日公示、27日投開票の日程で行われる衆院選で、神奈川県内の「1票の格差」は最大で1・5倍となることがタウンニュース社の調べで分かった。県選挙管理委員会の9月2日時点の衆議院議員小選挙区別選挙人名簿登録者数と在外登録者数を基に試算した。

 今回の衆院選は全国的な「1票の格差」を是正する「10増10減」の新たな区割りとなり、神奈川県は2増の20区で実施される。「1票の格差」は、選挙区によって有権者の数が違うため、議員1人を選ぶ票の価値に差が生じる問題のこと。

 県内で最も登録者数が多いのは15区(平塚市、茅ヶ崎市、大磯町)の45万3601人。最も少ないのは7区(横浜市港北区)の29万9595人で、「1票の格差」は最大で1・51倍となる。言い換えると県内では7区の1票が最も重いといえる。横須賀市と三浦市が該当する11区は36万人4295人で1・245倍だった。

前回より格差拡大

 前回2021年の選挙で「1票の格差」を有権者数で試算したところ、旧15区(平塚市、茅ヶ崎市、大磯町、二宮町)と旧4区(横浜市栄区、鎌倉市、逗子市、葉山町)間で1・42倍だった。試算上、新区割りで県内格差は広がることになる。

【選挙人名簿登録者と有権者】「選挙人名簿登録者数」は、選挙人名簿に登録されているすべての人の数。この記事では国外に在住する「在外登録者数」も含めて試算した。「有権者数」は、選挙人名簿登録者のうち、投票当日にその選挙で実際に投票ができる人を抽出し、失権者、基準日以降の死亡者など投票できない人を除いた数。

三浦青年会議所 秋の三浦海岸を堪能する オータムフェス初開催

 飲食や直売ブース、ステージイベントが楽しめる「オータムフェスin三浦海岸〜五感で楽しむ秋のひととき〜」と題した催しが10月13日(日)、三浦海岸で初めて開かれる。主催は三浦青年会議所。京浜急行電鉄株式会社の共催。

 今年度から海の家の開設が見送られた同海岸。観光の一大コンテンツを失ったことによる地域経済の縮小に歯止めをかけることと、秋季の海岸活用イベントが少ない点に着目し、7月頃から構想、企画した。同イベント実行委員長の鈴木翔太郎さんは1千人以上の動員を目指しているといい、「日本全国で一番盛り上がる10月の砂浜にしたい」と意気込んでいる。

 同イベントでは、地元飲食店などによる約20の飲食ブース、三浦の新鮮な秋の収穫物や加工品の直販ブース、ショベルカーの試乗体験などが楽しめる。そのほかDJやダンススクールによるステージ、目玉として、『香水』の楽曲をリリースして名を轟かせたシンガーソングライター瑛人さんの特別ライブ(午後7時25分から)もある。

 時間は正午から午後8時(直販・体験ブースは午後5時まで)。雨天中止。入退場自由。

interview 平松廣司 商議所会頭×駒林和 商議所青年部会長

「若い発想で自由に企画」「まちづくりの楽しさ示す」

──「産業フェス」は今年で3年目を迎える横須賀商工会議所の一大イベントです。

平松 横須賀市が開催していた「産業まつり」を引き継ぐ形でスタートし、昨年は約4千人の来場がありました。「商工会議所による文化祭!」をスローガンに、地域の事業者の商品やサービスのPRの場を設けるとともに、市民が交流を深める機会となることを目指しています。地域の活力を高めるためには、その土地に暮らす人の参加意識や一体感が不可欠です。商議所は地元の経済を支える個人事業主や中小企業の経営支援を主な役割としていますが、地域全体を元気にすることも使命だと考えています。そのための事業を数多く打ち出しており、産業フェスを通じて商議所の活動を知ってもらいたいと思っています。

駒林 今年は5千人の集客が目標です。横須賀市が目指しているまちづくりの方向性や新しい可能性を取り入れながら企画しています。上地克明市長が「音楽のまち」を掲げていますが、それを具現化するようなイベントが先ごろ三笠公園でありました。横須賀出身のミュージシャン、RUEEDさんが主宰したレゲエ祭です。2日間で4万2千人の来場があり、音楽を通じた集客や多世代交流の姿を示してくれました。そうした機運を私たちも後押ししたいと考えており、RUEEDさんを迎えてライブを行います。

──若い世代が力を発揮する場所なのですね。

平松 産業フェスの企画立案と運営は商議所青年部が主導しています。毎年パワーアップしており、横須賀の経済を託していく若い経営者の皆さんの新しい発想でまちを動かして欲しいと願っています。仲間と力を合わせて一つのプロジェクトを成し遂げることで、多くの気づきや学びが得られるはずです。横須賀に楽しい場があること。これを次世代の子どもたちに体感してもらうことも大切です。

駒林 産業フェスを商議所青年部の”看板事業”に位置付けたいと考えています。これだけの規模のイベントを運営するには、多くの人の協力が欠かせません。実現に向けた関係調整が必要であり、主体的に係わることで多くの学びがあります。企画力を鍛えるトレーニングにもなっています。ここで得た経験や人脈が本業の発展や成長にもつながると確信しています。だからこそ今回の産業フェスを成功させたい。まちづくりに関わる楽しさを示したいですね。

商議所女性会 不用なおもちゃ回収 リユース協力呼びかけ

 横須賀商議所女性会では、使わなくなったおもちゃを海外の子どもたちに受け継ぐ「おもちゃリユースプロジェクト」の活動を応援している。

 横須賀市と不用品買取事業者の(株)エコランドが連携して取り組んでいるもので、おもちゃを再利用することでゴミの削減と貧困地域の子どもたちの支援につなげる。

 産業フェスでは、会場内に専用ボックスを設けておもちゃの回収を行う。正常に使える状態のものに限る。絵本・CD・ひな人形・日本人形・電源が必要な楽器やゲーム機・ゲームソフトは不可となっている。

 産業フェス終了後の10月21日(月)から25日(金)の期間、横須賀商議所2階でも持ち込みに応じる(午前9時から午後4時)。

 詳細は同女性会事務局の大井さん【電話】046・823・0402

エンタメ全開! 横須賀商工会議所の文化祭 地場産業のPRと市民交流の場

 横須賀商工会議所に所属する会員企業が一致団結して手掛けるイベント「よこすか産業フェス2024」が10月19日(土)、横須賀市平成町の同商議所特設会場で開かれる。地場産業のPRと市民交流の機会を設けることで地域の活性化を図る狙いだ。

 産業・食・音楽・スポーツ・エンターテイメントのすべての要素を詰め込んだ多世代が楽しめる文化祭。今回で3回目を数え、昨年は約4千人の来場者を集めた。

 今年はエンタメ要素をさらに強めてパワーアップ。地元ダンスチームのステージアクトにミュージカル、大道芸、ライブペイント、レゲエライブと盛りだくさん。

 商議所会員企業の優れた製品や技術、特徴的な商品、サービスを展示紹介するブースには50社が出展。その場で購入することや説明を受けることができる。屋外にはキッチンカーが勢ぞろい。絶品グルメとともに酒類の販売もある。

 フェス当日の総合司会を同商議所の特命職員を務めている吉本芸人「イシバシハザマ」の石橋尊久さんと相方のハザマ陽平さんがコンビで担当。2人がネタを披露するお笑いライブも楽しめる(午前11時)。

 開催時間は午前10時から午後4時。雨天決行(※荒天時は屋外ブース一部中止)。入場自由。

 詳細は下記の特設サイトを参照。

廃ボードに新たなデザインを加えてアート作品に

ライブペイント 6時間ぶっ通し 廃ボードをアート作品に

 話題のアートバトル「筆ロック」を主宰する田ノ岡高志さんが手掛けるライブペイントイベントは、11月に横須賀市の津久井浜海岸で開かれるウインドサーフンワールドカップ(W杯)の応援企画として実施される。

 役目を終えて廃棄されるウインドサーフィンボードをキャンバスに見立てて作品に昇華させる。アートの力で新たな命を吹き込み再生させるユニークな試みだ。挑むのは気鋭の若手アーティスト5人。独自の画風・画法を持つ面々が産業フェスの会場で、パフォーマンスも交えながら作品の制作過程を見せていく。来場者が「横須賀の海」をテーマに、自由に描くことのできるボードも用意。5人のアーティストの完成作品とともにW杯の会場に飾られ、写真撮影スポットとして機能する。大会終了後は北下浦地区の施設や店舗にも期間限定で設置される計画。

 ライブペイントは屋外特設会場で午前10時から午後3時50分まで。

三笠公園に2日間で約4万2千人を集めたライブ。ステージに立つRUEEDさん

「音楽のまち」「レゲエのまち」体感  RUEEDアコースティックライブ

 三笠公園を熱狂の渦に巻き込んだ「横須賀レゲエバッシュ」のあのステージの興奮と一体感が蘇る──。

 横須賀出身のレゲエミュージシャン、RUEED(ルイード)さんが産業フェスに初見参! 熱いレゲエサウンドをしっとりと聞かせるアコーステックスタイルのライブでイベントの最後を締めくくる。

 「地元愛」を公言してやまないRUEEDさんに、同世代である横須賀商議所青年部のメンバーが出演を懇願して実現したスペシャル企画。「未来への種蒔き」を掲げるRUEEDさんの想いをあらためて感じる場になりそうだ。同青年部では、地域活性化のキーワードである「音楽のまち」「レゲエのまち」を一緒に盛り立てていくという。開始時間は午後3時10分。

「みゅーまる」コンサート

 音楽(music)と動物(animal)を組み合わせたオリジナル劇を届けるNPO法人「みゅーまる」=写真=によるファミリーコンサート。親子で楽しめる内容で音楽を通じて命の大切さを伝える。

 屋内3Fステージで午後2時開始。

航路の概略図(東善寺蔵)

OGURIをあるく 〜小栗上野介をめぐる旅〜第19回 アメリカ編【3】文・写真 藤野浩章

 アメリカへの海路は、実に過酷だった。

 太平洋を渡る航海技術を日本人は身につけていなかったために米海軍の水兵が乗り込んでいたが、結局のところ、操船はほぼ米軍が行っていたという。咸臨(かんりん)丸に乗ったブルック大尉の日記によれば「日本人は全員船酔い」。37日間の航海のうち6日ほどしか晴れなかった、という過酷な航海で、特に艦長の勝海舟(かつかいしゅう)はほぼ船室から出てこなかったという話は有名だ。それもそのはず、米海軍でも経験したことがないほどの猛烈な時化(しけ)が続き、全滅の可能性すらあったのだ。一刻も早く船を降りたいと日本人の誰もが願う中で、幕府の「異国船打払(うちはらい)令」はあまりにもひどい仕打ちだ、と身にしみて思ったという。

 さて、この咸臨丸には後に勝を痛烈に批判することになる福沢諭吉(ゆきち)や、通訳でジョン万次郎(まんじろう)も乗っていた。彼はペリー来航時にも通訳を担当する予定だったが、米国のスパイではないかと疑われて叶わず、今回は満を持しての渡米だった。

 スパイと言えば、小栗も米国側からスパイではないかと疑われた。「目付(めつけ)」という旧来の役職が"スパイ"と翻訳されたのだ。「監察」と言い換えて誤解は解けたが、小栗は渡米前、実にスパイさながらの調査をしていた。彼は前年からブルック大尉と頻繁に会うなどして、太平洋航路はもちろん米国の地理、気候、習慣などを事細かに調べ上げていたという。航海中はご多分に漏れず船酔いに苦しめられたというが、好奇心旺盛で責任感あふれるこの準備はこの後、存分に発揮されることになる。

 苦難の航海の末、一行はようやく北米大陸に到達する。