八王子版【11月7日(木)号】
耕作機で土を耕す参加者=はちぷろ提供

高月町 米づくりの歴史つないで NPOが初の体験ツアー

 都内最大級とされる八王子市高月町の田んぼ。良質な水環境に恵まれた室町時代から続く伝統の稲作だが、生産者の高齢化や廃業、次代の担い手不足など、抱える課題は全国と変わらない。そんな地元の田んぼを守ろうと今年初めて、NPO法人はちぷろが「モニターツアー」を行った。

 「はちぷろ」は、日本酒・高尾の天狗などの酒米づくりを通じて八王子を盛り上げようと活動する団体。毎年、田植えと草取り、稲刈りをメインイベントとし、日本酒愛好家や農業に興味がある会員が参加している。

 そんな「はちぷろ」が新たに企画したモニターツアー。「今回は年間を通してもっと深く農業を知りたい人に集まってもらった。新規就農者の発掘や観光事業化など、高月の稲作が続くために、いろんな可能性を試したかった」とツアーを企画した同法人代表理事の西仲鎌司さんは話す。

 西仲さんは今回のモニターツアーのため、市の助成金を利用し稲刈り機や田植え機などの農機具を購入。声掛けに応じた約10人が3月の土づくりから始め、4月には種もみを撒く苗づくり、5月は用水路の掃除である掘さらい、田んぼの土をならす代掻きなど、農作業の地味で大変な部分も体験。途中、稲穂が実り始めるとイノシシに荒らされるという洗礼も受けつつなんとか収穫までこぎつけた。ツアーの目玉として、9月の稲刈り日に酒造見学と実際に日本酒を味わう機会も提供し、年間を通したモニターツアーは終了した。

 今回、農家として全面的に協力したのは、高月町で米や酒米、花苗やパッションフルーツ苗などを育てる石川農園の石川研さん(71)。石川さんは「豊かな生態系があって、美味しい米ができる高月の田んぼは東京都や八王子市の共有財産だと思っている。農業者だけではこの田園風景は守れない。いろんな人に見てもらって、いい所を教えてほしい」と話す。

持続可能な田んぼとは

 農林水産省の統計調査によると2020年の八王子市内の田耕地面積は51ヘクタール。このうち高月町は21ヘクタールを占める。石川さんの体感では、高月町では年に1人くらいのペースで米農家が減り遊休農地は徐々に増えているという。遊休農地が増えると害虫や害獣の住処となり地区全体での稲作継続が難しくなっていってしまう。

 高月地区は開発を控える市街化調整区域として地域計画策定のためのモデル地域になっている。土地所有者にアンケートを行い、生産者が減っていく10年先の田んぼをどうするか、住民や行政が共に話し合いを行っている。石川さんは「いかに持続させられるかを農家も真剣に考え始めた。いろんな可能性があるはず。外の視点からも宝物を見つけてもらいたい気持ちだ」と話していた。

「てくポ」をPRする市高齢者いきいき課の職員

八王子市 「てくポ」で最優秀賞 アプリ活用した健康施策

 スマートフォンアプリを活用した八王子市の健康施策『てくポ』(八王子てくてくポイント)が、10月30日に港区で開催された日本健康会議2024の「健康でいられる地域・まちづくり表彰」の官民連分野で、最優秀賞を受賞した。

 同表彰は高齢者の外出や社会参加につながる自治体の優れた取り組みを称えるもので、経済界や医療団体らで構成される日本健康会議が今年度創設。「官民連携」「通いの場アプリ活用」「まちづくり」の3分野の事例を、厚生労働省を通じて全国の自治体から募集していた。今回、最優秀賞に選ばれたのは、官民連携分野の八王子市のみ。

行動がポイントに

 てくポは、スマホアプリによるポイント制度を活用して、60歳以上の高齢者の「身体活動」「栄養」「社会参加」の習慣化を応援する市の施策。株式会社ベスプラ(本社=渋谷区、遠山陽介代表取締役)が運営する健康維持アプリ『脳にいいアプリ』を活用し、利用者が「歩く」「食べる」「脳トレ」などの健康活動や「ボランティア」などの社会参加をするとポイントが付与され、たまったポイントは市内の協力店で買い物に使用できたり、PayPayポイントに変換することができる仕組み。高齢者の健康増進や介護予防に加えて、地域経済の活性化にもつながるサービスになっている。

登録者数約1万人

 市は高齢者が自ら健康づくりに取り組むツールとして、2021年からてくポの実証実験を開始。現在約1万人が登録している。

 今回の受賞を受けて、遠山代表取締役は「この成果は、共に取り組んでいただいた八王子市役所の方々と、日々アプリをご利用いただいている皆様のおかげ。今後も自治体と連携し、地域の健康推進に貢献してまいります」と話した。

 また市担当課は「全国の数多くの取り組みの中から最優秀賞をいただき大変光栄。これからも時代の変化をとらえた健康づくり施策を模索し続けていきます」とし、「まもなく1万人の節目を迎える『てくポ』。まだまだ面白い企画を考えていますので、これからもよろしくお願いします」と登録を呼びかけている。

 アプリに関する質問はサポートセンター【電話】03・6732・8568(平日9時〜18時)。

第89代八王子税務署署長に就任した 澤井 勝美さん 明神町在勤 60歳

税務業、適正公平さが信条

 ○…毎年、国税庁では11月11日から17日までの1週間を「税を考える週間」と定めている。7月に署長に就任してから、掲げるは「納税者の利便性向上」「事務の効率化」の二枚看板。電子申請(e-TaX)はだいぶ市井に浸透してきたように感じるが、申告時のマイナンバーカード活用など、「便利さをもっと知ってほしい、わからないことがあれば相談に来て」と熱を込める。

 ○…北海道出身。友人が税務職員の採用試験を受けるのを見て、「家族に内緒で」受験した。合格を一番によろこんだのは母親だ。以前働いていた下宿屋に税務職員が暮らしていたらしく、そのしっかりとした立ち居振る舞いから「我が子もああなってほしい」と思っていたそう。そんな母の願いもあり、札幌の税務大学校での研修を経て、武蔵野税務署などで業務に従事。約40年間、適正公平さを胸にいそしんできた。

 ○…仕事人生のなかで、東日本大震災発生時の混乱は今でも胸に残る。被災地に思いを馳せながらも、4日後には確定申告の期限が迫っていた。安全面に異状はないか、当時在籍していた東京国税局の管轄84署を15人の担当職員で手分けして駆け回った。「あんなに大変だったことはない」。数日後から始まった計画停電でフロアの照明が消えたときは、ソーラー電卓を使うのに、日光が射す窓際に職員らで集まったという。

 ○…子どもが八王子の学校に通っていたこともあり、今回の就任には縁を感じる。一方で、昨年までは単身赴任で大阪生活。休日は京都や奈良まで足を伸ばし、ダイエットがてら御朱印巡りを趣味にしていたことも。「八王子も神社仏閣が多いそうですね」。そろそろ、再開しようかと思案中だ。

多摩養育園福祉まつり

 社会福祉法人多摩養育園(足利正哲理事長)が11月10日(日)、「福祉まつり2024〜未来へつなごう地域の輪〜」を開催する。会場は同法人が運営する養護老人ホーム楢の里・光明第三こども園・卜山庭園の敷地内(楢原町971)。入場無料。午前10時から午後3時30分まで。

 今回で16回目となる恒例イベント。今年は「あなたに会えてよかった」をテーマにたくさんの催しが行われる。特設ステージで開会式を行った後、10時30分から模擬店やあそびの広場、体験コーナーがスタート。多摩美術大学による似顔絵や山野美容芸術短期大学によるハンドマッサージ、アローレ八王子によるサッカーストラックアウトなどもある。また、イベント内の買い物で補助券を3枚ためるとガラポン福引会にも参加できる(補助券1枚=100円の買い物が必要)。

 主催者は「さまざまな世代の方が楽しめる企画が盛りだくさんです。皆様にお会いできることを楽しみにしています」と話している。

 臨時駐車場は台数に限りがあるため、公共交通機関での来場を推奨している。問い合わせは同実行委員会事務局【電話】042・623・3388。

検査キットを持つ白圡会長(最後列中央左)と井上園長(その右隣)

東RC 視力検査キットを贈呈 北野ひなた保育園へ

 八王子東ロータリークラブ(白圡保成会長)が10月29日、北野ひなた保育園(井上雅弘園長)に小児用の視力検査キットを贈呈した。これは同クラブが行う奉仕事業の一環で、子どもの弱視や斜視を早期発見しようという取り組み。九州に拠点を置く一般社団法人みるみるプロジェクトの協力で行われる。

 検査キットはゾウ、ウサギ、キリン、パンダが描かれた箱の真ん中に、視力検査用の記号「ランドルト環」を掲出。「ドーナツ誰が食べたかな?」と問いかけ、園児に空いた方向を答えさせる。ゲーム感覚で検査を行えるので、日常保育の中で気軽に何度も検査を行ってほしいという狙いがある。

 同クラブのメンバーで眼科医の近藤義之さんによると、近年子どもの近眼や斜視は増加傾向にあるが、子どもの弱視は早期に発見すると改善できる可能性が高まるという。同園には今後、同プロジェクトの眼科医や視能訓練士が訪れ、検査を行う予定。

 井上園長は「すばらしい活動だと思った。子どもの発達と視力の関係が深いことは現場にいるとよくわかる。早期に発見できるのはありがたい」と話し、白圡会長は「今年から正式事業として行っている。キットの存在を市内でもっと広めていきたい」と話した。

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娘の宮久保和美さんと父の加園和男さん

はちおうじ職場訪問 親子・夫婦でプロ運転手 八王子交通事業(株)

 八王子市内の職場を紹介する「はちおうじ職場訪問」。第1回はタクシー事業を営む八王子交通事業(株)を訪れた。同社は近年、女性活躍を謳い採用に力を入れてきたところ、親子や夫婦で務める人が増えたという。

◇  ◇  ◇

 親子で運転手として務めるのは父の加園和男さん(75)と娘の宮久保和美さん(49)。加園さんはこの道50年のベテラン運転手。そんな背中を見て育った和美さんはタクシー運転手に憧れていた。10年ほど前に入社を相談した際には「男社会だから」と止められたが、今年に入りもう一度入社の意志を伝えると「女性ドライバー募集してるよ」と歓迎された。

 加園さんは勧めた理由を「会社も変わったし、いいかなと。昔と比べて女性が増えて雰囲気が柔らかくなった」と話す。今年7月に入社した和美さんは現場を経て「普通に働きやすい。運転も接客も好きなので楽しい」と話す。和美さんは結婚して別々に暮らしているため、父と職場で会えることを新鮮に感じている。「父より長く働くのが目標の1つ」と和美さんは話している。

 夫婦で務めるのは荻原裕典さん(38)とえり菜さん(35)。共働きで1人娘を育てている。「タクシー運転手は特殊な仕事。個人の裁量が大きい。稼ぎは歩合制の部分もあるが、突発的な休みもとれる。子育てには良いなと思った」と話す裕典さん。33歳でアパレルから転職し、同社の働きやすさを実感した裕典さんは、えり菜さんにも入社を勧めた。えり菜さんは子育てをしながら正社員は難しいかと考えていたが「パートよりも安定した立場でがっつり働きたい」と決断した。

 現在2人の勤務形態は異なり、裕典さんは1日18時間、月12日稼働する隔日勤務。えり菜さんは1日8時間の週5日勤務。この組み合わせが奏功し、子育てや家事を上手く回せているようだ。「母としてワンオペ時間が少ないのはありがたい。夫婦の会話も増えたかも」とえり菜さん。

◇ ◇ ◇

八王子編集室では登場したい職場を募集中。アピールしたい特徴を書いて編集室へメールを。

一時閉園している東浅川交通公園

2月末まで閉園 東浅川交通公園

 東浅川町の東浅川交通公園で行われている改修工事に伴い、遊具部分、自転車コースともに公園全体が利用不可になっている。2025年2月末までを予定。

 市交通事業課の通知によると、改修箇所は園内のコース全面、一部緑地帯、入口付近。工事期間中は遊具を含め園内の立ち入りはできない(野球場側は通行可)。

 同公園は、模擬信号が設置され自転車などの貸出しも行っており、子どもたちが交通ルールやマナーを学ぶ場となっている。市内には清川町に清川交通遊園もあるが、同園も高速道路高架橋の耐震補強工事の工期延長のため、26年3月末まで休園期間が延びている。

輪島塗を手にする渡邉さん

被災地応援 輪島塗の伝統を後世に 市内企業が支援販売会を企画

 地震と豪雨で甚大な被害を受けた能登半島の伝統工芸「輪島塗」の文化を失くしてはならないと、現地とつながりのある市内企業が動いた。市内東中野の株式会社Duco(渡邉和子代表)は都内に職人らを招き、自ら輪島塗の魅力や現地の様子を語ってもらう支援販売会を企画。11月18日(月)から府中市内で開催する。渡邉さんは「輪島塗の持つ魅力を伝え購入してもらうことで、本当の意味での復興支援、職人の生活の立て直しにつなげたい」と思いを語る。

 漆を使った小物やインテリアなどの開発・製造販売を行う同社では35年以上、漆器の産地にある工房と親しく交流を続けてきた。その一つである輪島では今回の度重なる被災でほとんどの工房が損壊し、土砂が流れ込むなど仕事ができない状態に陥った。泥に浸かった製作途中の製品を捨ててしまおうとするなど、先の見えない状況に職人の気力が失われていることを感じ取った渡邉さんは「職人の高齢化もあり、このままでは輪島塗が滅んでしまう。それはあまりにも勿体無い。微力ながら力になりたい」と支援販売会を企画した。自身が輪島や福井の職人の元で漆塗りの修行をさせてもらったことへの恩返しの思いもあるという。「寄付では一時的な支援にしかならない。在庫を安売りするのではなく、輪島塗ができあがるまでの工程や取り扱い方、年中行事との関わりなどを解説して、輪島塗の魅力を知ってもらった上で購入してもらえれば」

御陣乗太鼓も

 11月18日に大國魂神社で復興祈祷を行い、18日から22日(金)まで府中駅前にあるフォーリス1階の光と風の広場で輪島塗の説明と販売会(午前10時〜午後8時※初日は午後2時から、最終日は午後3時まで)、19日(火)から27日(水)までミッテン府中9階で新製品を展示販売する。また20日(水)午後1時と21日(木)正午には、フォーリス前のけやき広場で輪島無形文化財『御陣乗太鼓』の特別公演も。販売品はお椀やお重、座卓などのほか、最後の工程まで終えていない中塗りや下地の「仕掛かり品」、輪島塗に使う上質な漆の原液なども並ぶ。「輪島塗は安くはないが、塗り直したり磨き直すことで何世代も使い続けることができますよ」と渡邉さん。

 問い合わせは同社へメール(nadesycco@duco.co.jp)で。

寄付品を囲む高橋代表(左)と門脇会長

高尾LC 困窮世帯の子ども支援に NPOへ食料品など寄付

 東京八王子高尾ライオンズクラブ(LC、門脇輝彦会長)は10月29日、川口町にある八王子カントリークラブで恒例のチャリティーゴルフ大会を開催し、参加者が持ち寄った食料品や文房具を、市内で困窮する子育て世帯などへの食材や弁当の配布、子ども食堂などを展開しているNPO法人dattochi home(ダットッチホーム)に寄付した。

 青少年健全育成を中心に奉仕活動を行っている同LCでは、その一環として同法人へ食材や文房具などを寄付する支援を継続的に実施している。今回はチャリティーゴルフの参加者160人が米やレトルトカレー、お菓子など約60点を持ち寄った。寄付品を受け取った「dattochiみんなの食堂」の高橋加代代表は「子どもたちが喜びます」と感謝した。

 チャリティーゴルフは毎年恒例の「楽しみながら社会貢献ができる」イベント。門脇会長は「寄付をいただいた皆様に感謝するとともに、今後もこの支援活動にご理解・ご協力をお願い申し上げます」と話している。

児童に語りかける古瀬理事長(中央)

危険な薬物乱用を学ぶ 日本健康アカデミーが出前授業

 市立長房小学校で10月18日、(公財)日本健康アカデミーが薬物乱用防止教室を開催。6年生ら約30人が参加し、講師を務めた同アカデミーの古瀬智之理事長の話に耳を傾けた。

 児童らは麻薬や覚せい剤の依存性の恐ろしさを伝える啓発ビデオを見た後、実際のデータをもとに、覚せい剤の使用開始年齢で最も多いのが15歳から24歳であることや、近年増えている違法でない市販薬の過剰摂取の危険性などを学んだ。

 古瀬理事長は最後に、友人が勧めてくる喫煙や飲酒などがきっかけとなることが多いこと、薬物に手を出さない理由を自分の中で答えられるようにすること、悩みがあったら薬ではなく人を頼ることなどを呼びかけた。

 この教室は、約25年前に市内のライオンズクラブの奉仕事業としてスタート。2012年にNPO法人 薬物乱用防止教育協会の協力で開催が継続され、2024年2月に同財団が引継いだ。市内で長年続く出前授業だ。古瀬理事長は「危険ドラッグや大麻など、時代によって薬物の種類は変わる。他人事の問題ではない。児童が危険性を知ることが大切」と話している。

チラシを持つ高橋剛実行委員長

「八肉祭」で肉料理を堪能 えきまえテラスで初開催

 市内外の飲食店が自慢の肉料理を提供するイベント「2024八肉祭」が11月10日(日)、えきまえテラス(旭町13の18)で初めて開催される。主催は八食祭実行委員会。入場無料。午前11時から午後5時まで。実行委員長を務める高橋剛さんは「飲食店はもちろん、豪華なアーティストなど、八王子を代表する方々が集まってくれた。ぜひこの日のための究極の肉料理を堪能してほしい」と話している。

 参加するのは、「もつ焼きコニー」や「肉のあかさか」「焼肉DORA」など市内飲食店を中心とした16店舗。この日のために新メニューを考案することが参加条件だったため、各店ともに普段のメニューにはない限定メニューが登場する。

 企画した高橋さんは「ありきたりなものにしたくなくて、他の飲食イベントにはないハードルを設けさせてもらった。八王子には美味しくて素敵な飲食店が多い。そのことをもっと多くの人に知ってもらいたい」と熱を込める。

 会場では音楽ライブやダンスなどのステージイベントも同時開催。ロックバンド・グッドモーニングアメリカの金廣真悟さんやラッパーのJoz Thomasさんのほか、市内のダンスチームなどが出演する。また、アローレ八王子によるキックターゲットも無料開催。来場者先着5000人に飲食店で使えるクーポン手帳もプレゼント。 「伝説を残したい」と高橋実行委員長。

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「親切な靴屋さん」 乙女ヤに出張

 「片足だけ外反母趾用が欲しい」など、履き手の悩みに合わせて靴を仕立てる靴屋「親切な靴屋さん」=写真=が11月7日(木)から30日(土)まで、八日町の洋品店内に出店する。セミオーダーメードで、注文から完成まで約3週間ほどかかる。秋の新作も登場予定。

 問い合わせは出店先の乙女ヤ本店(八日町10の8)【電話】042・622・0669。

ドリブル足し算ゲームに参加する大金選手(右)

プロ選手と楽しむバスケ 東京八王子ビートレインズ

 市内唯一のプロスポーツチーム・バスケB3に所属する東京八王子ビートレインズが10月31日、市立小宮小学校で出前授業を行った。石橋貴俊アソシエイトコーチと大城侑朔選手、大金広弥選手とスタッフら5人が講師となり、6年生3クラスを指導。バスケットボールを使ったボール遊びやドリブルをしながら出された手指の足し算を行うゲーム、シュート練習などを行い、楽しく体を動かした。

 参加した女子児童は「バスケは好きじゃなかったけど、シュートが入って気持ちよかったので結構好きになりました」と話していた。

 ビートレインズでは、「子どもたちに夢と未来を!」「バスケで八王子を盛り上げる!」というチーム理念を掲げて、シーズンを通して小・中学校あわせて約50校への訪問を実施しており、この活動には(株)スーパーアルプスのほか、今季から(株)関電工が協賛している。

メンバー全員での集合写真=FCノッサ八王子提供

1部昇格は逃す ノッサ 今シーズン2位

 八王子を拠点とする社会人サッカーチーム「FC NossA八王子」は初となる東京都社会人サッカーリーグ2部の2024シーズンを終え、2ブロック全14チーム中2位の成績を収めた。全13試合中、勝ち点35、勝利11、引き分け2、負け0、と奮闘したが、10月27日実施のTOKYO2020FCの試合結果をもって、順位が確定。惜しくも1部への昇格は逃した。1位の同チームとは勝ち点差1という結果に、ノッサ広報は「とても悔しい結果だが、来シーズンのリーグ戦に向けてしっかりと準備をして挑みたい」とコメントを寄せた。

協定書を交わした貴志常務執行役員本部長(中央左)と初宿市長(中央右)

八王子市 伊藤園と災害時協定 飲料水の確保・供給など

 八王子市は10月29日、市内にも営業所を構える株式会社伊藤園と「災害時における飲料水等の調達に関する協定」を締結した。地震や風水害などの災害が発生した際、市の要請に応じて同社が所有する飲料水等の製品が供給される。

 協定には、災害時における飲料水等の安定的な確保・供給と、各避難所に避難した市民に対する支援活動の充実を図ることなどが盛り込まれている。市が同様の協定を結ぶのは2社目。伊藤園は全国251の行政と災害時協定を結んでおり、このほど八王子市にも打診したことから今回の協定に至った。同社は今年行われた市の防災訓練にも飲料水等を無償で提供している。

環境保全にも意欲

 市役所本庁舎で開かれた協定締結式で初宿和夫市長は、普段利用している商品やサービスで災害に備える『フェーズフリー』に触れ「日頃飲んでいる商品を供給いただくことは、避難した市民にとって癒しとなり心強い」と感謝を述べた。同社東京・南関東地域営業本部の貴志望常務執行役員本部長は「世界規模で自然災害リスクが高まっている中での協定の締結をうれしく思う。要請時には八王子支店にある8千ケースの中から一定量を供給できる。地域のお役に立てれば」と話し、今後は環境保全活動などでも市と連携していくことに意欲を示した。

―連載小説・八王子空襲―キミ達の青い空 第14回 作者/前野 博

 (前回からのつづき)

 村上が、子ども達を呼び集めた。

 「こんにちは。よろしくお願いします」

 広場一杯に子ども達の声が響いた。

 品川区の南原国民学校の三年生から六年生までの児童で、元八王子村に集団疎開している百七十人が、この広場に集まっていた。元八王子村では、隣保館に三十名、ほかに百四十名が、寺院、公民館に分散して生活を送っていた。この他に、二百人が恩方村に集団疎開をしていた。

 「さあ、三年生から並んで、順番に頭をきれいにしてもらおう。みんな、お姉さん達の言うことを聞いて、行儀良く座っているんだぞ」

 村上の指示で、広場の端の木の下に散髪する場所が準備された。

 「いくつなの?」

 「九歳!」

 キミは、前に座った女の子の髪を櫛で梳いた。やはり、シラミがいるようだ。目の細かい櫛で何度も梳くと、随分シラミの卵が少なくなった。でき得る限り髪を短くしたおかっぱ頭に仕上げる。シラミ駆除の洗剤を使って、頭をゴシゴシと洗う。一人の散髪に、かなり時間が掛かった。シラミとノミは、衛生、栄養状態の良くない集団疎開の共同生活では、仕方のないものであった。

 女の子がキミの手に触れ、頬ずりした。親元から離れて、三ヶ月が過ぎているはずである。

 「お母さん、面会に来てくれた?」

 キミは、女の子を抱き寄せた。まだまだ、幼い子どもであった。母親が恋しいのだろうし、母親もこの子のことが心配でならないだろうと、キミは思った。

 「来てくれたわ。たくさん食べ物を持って来てくれた。でも、すぐ帰ったの。また来るから、いい子でいるのよと言って。もうすぐ、お母さんが来ると思うわ」

 女の子はキミの胸の中から離れると、遠くにあるバスの停留所の方を見た。

 「えつ子、さあ、次の人と交代しなさい」 

〈つづく〉

◇このコーナーでは、揺籃社(追分町)から出版された前野博著「キミ達の青い空」を不定期連載しています。