鶴見区版【12月19日(木)号】
児童たちと交流する青柳選手(中央)

阪神タイガース 青柳選手 学校訪問で児童と交流 図書カードなど寄贈も

 東寺尾出身のプロ野球・阪神タイガースの投手、青柳晃洋選手が12月13日、汐入小学校と潮田小学校を訪れ、図書カードの寄贈と児童との交流を行った。

 青柳選手が社会貢献活動の一環として地元鶴見区の小学校を訪れるのは今年で4年目。今回は区内22の公立小学校に図書カード、市立保育園4園に絵本など計80万円分の物品を寄付した。

 汐入小学校では「青柳選手と夢を語る会」と題した交流会が開かれた。児童から様々な質問が寄せられ、「夢を諦めそうになった時は?」との質問に青柳選手は「プロ野球選手になりたいと言っても自分より上手い選手がたくさんいて、『なれない』と言われ続けた。それでも、自分はなれると思い続けて練習してきた」と話し、「野球が好きで、諦めずに挑戦したから今がある」と挑戦すること、諦めないことの大切さを呼びかけた。

 その後の代表児童たちとのキャッチボールでは投げ方のアドバイスなどをしたほか、児童一人ひとりとハイタッチなどで交流を楽しんだ。

 青柳選手は「今年(のシーズン)はあまり活躍できなかったけれど、できたから寄付をする、できなかったらしないということではないと思う。僕自身が子どもたちから元気をもらえるし、地元に身近であり続けて少しでも子どもたちの記憶に残ってくれたら」と語った。

新天地に向け児童がエール

 寺尾小学校5年生の時に寺尾ドルフィンズで野球を始めた青柳選手。現在は米・メジャーリーグへの移籍を目指し、ポスティングシステム申請が大リーグ機構に受理されたことも発表された。

 潮田小学校では児童たちが「メジャーでも頑張って」と書いた横断幕を作成し、エールを送った。青柳選手は「来年どこで野球をやるかは決まっていないが、僕にとって改めて挑戦のタイミングになる」と意気込みを語った。

子ども食堂「潮見橋みんなDEごはん」の発起人として開催に尽力する 小原 眞由美さん 下野谷町在住 63歳

子どもの笑顔が原動力に

 ○…来年2月から正式に始まる子ども食堂「潮見橋みんなDEごはん」の実施に向け奔走する日々。これまで地域の高齢者向け配食サービスに携わり、「子どもたち向けにも何かできないか」と6年ほど前から子ども食堂の開催を模索してきた。今回お試し会の実施にまでこぎつけ、「何から手を付けて良いか分からなかったけれど、周りの人たちの助けもあってようやく実現できた」と安堵の表情で語る。

 ○…同地区に越してきたのは今から30年以上前。3人の娘が下野谷小学校に通う中でPTAに手を挙げた。「知ってる人もいないし、地域のことも分からないから友達が欲しかったんです」とほほ笑む。10年以上PTA活動に参加して会長も務めるなど、学校からも信頼を置かれる存在に。現在も同校で児童のサポートなどを行う「おひさま先生」活動に参加する。「休み時間の遊びにまぜてもらったりして、子どもたちからエネルギーをもらっています」

 ○…その他にも潮見橋地区の主任児童委員を20年間務めるほか、児童生徒の通学の付き添いを行うガイドボランティアとしても長年活動し、地域の子どもたちとの交流を続けている。「大変なこともあるけれど、私が楽しくできているので。地域を歩いてる時に子どもから声を掛けられたりすると、とても嬉しいですね」と笑顔で語る。

 ○…「活動が手一杯で趣味を楽しむ余裕はないですが、今は子ども食堂が一番の楽しみでしょうか」と冗談交じりに笑う。食堂の実施にあたっては区内の他食堂を巡り、様々なアドバイスをもらってきた。「お試し会で子どもたちから『美味しい』って言われるだけで元気になれました。沢山の子どもたちに笑顔になってほしいから、これからも頑張ります」

横溝屋敷で七草がゆ 1月7日

 獅子ケ谷のみその公園「横溝屋敷」で1月7日、地元で採れた七草を使った七草がゆが振舞われる。午前11時から(受付は10時30分から午後1時)。先着200人。参加費100円。当日直接受付。(問)同館【電話】045・574・1987

体験を楽しむ参加者たち=提供

地域歩いて防災学ぶ 矢向、鶴見市場でクイズラリー

 防災の知識を楽しみながら学ぶ「川のまちdeクイズラリー」が11月30日、矢向や鶴見市場地域で行われた。

 これは汐田総合病院や矢向、鶴見市場地域ケアプラザなどによる「川のまちエリア会議」が主催したもの。エリア内4カ所のポイントでクイズや体験などを行い、ゴールをめざすラリー形式。

 当日は地域住民ら約200人が参加。会場の1つとなった新鶴見ホームでは、クイズに加えて段ボールベッドの組立てや新聞紙のスリッパ作り、ペット防災についての紹介が行われた。

 他施設でも災害食の試食や認知症VR体験など様々な企画が実施され、参加者の1人は「じっくり話を聞きすぎて全部を回ることはできなかったが、楽しく学ぶことができました」と笑顔で語った。

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6Kmのコースを快走した=提供

ボート大会に全国から300人 鶴見川を快走

 NPO法人横浜市ローイング協会(弓場常正会長)が主催する「第23回横浜ボートマラソン大会」が12月1日、鶴見川漕艇場で開かれた。

 当日は晴天にも恵まれ、全国各地から老若男女約300人、61チームが参加。8人乗り「エイト」や15人乗り「チャーチボート」など様々な種目で、森永橋上流の往復6Kmのコースを息を合わせて快走した。

 弓場会長は「日頃鍛えた『技と力』を存分に発揮してもらえて良かった。多くの方に参加いただけるよう、今後もより良い大会にしていければ」と笑顔で語った。

飲酒運転を大根絶 生麦第二で啓発活動

 年末にかけて増加する飲酒運転の根絶を目指した「大根絶運動」が12月6日、岸谷3丁目交差点周辺で行われた。

 これは生麦第二地区自治連合会交通部が毎年行っているもの。周辺自治会や鶴見警察署の署員など約50人が参加した。

 参加者らは「大根絶」の語呂合わせで用意した大根170本を啓発物と共に信号待ちの運転手に手渡しながら、飲酒運転の注意喚起を行った。

カレーを食べながら談笑する参加者たち

潮見橋地区に子ども食堂 2月開所に向けお試し会

 潮田地域ケアプラザで12月7日、子ども食堂「潮見橋みんなDEごはん」のお試し会が開かれた。

 潮見橋地区の子どもや保護者、住民が誰でも気軽に参加し、「地域の居場所」として皆で楽しく過ごせる場所を目指す同食堂。発起人は、同地区で主任児童委員を務める小原眞由美さん=「人物風土記」で紹介。これまで同地区社協や住民有志が協力して準備を進め、今回のお試し会の開催に至った。正式なオープンは来年2月を目指している。

 お試し会当日には地元の子どもや保護者ら約30人が参加。スタッフの用意した甘口、辛口のカレーを食べながら交流を楽しんだほか、子どもたちには菓子や果物も配られた。

 また、楽しく過ごせる場にと、同館の一室に射的やボードゲームで遊べる場所も用意。子どもたちからも好評で、正式オープン後も続けていきたいとしている。小原さんは「地域の方々、誰でも来て欲しい。みんなでワイワイし、お腹いっぱいになって笑顔溢れる場所になれば」と語った。

 2月からは、毎月第1土曜日の正午から午後2時までを予定。参加費は小学生以下100円、中学生以上200円。予約不要で直接受付。(問)鶴見区社協【電話】045・504・5619

冬の里山体験会 三ツ池公園で1月12日

 林や池で生き物さがしを楽しむ「冬の里山体験会」が1月12日、県立三ツ池公園の田んぼ前で行われる。参加無料。

 里山の自然を満喫し、どんぐりの木を育てる下草刈り体験も。

 午前9時から正午。定員先着15人(小学生以下は保護者同伴)。申込み・問合せは同園【電話】045・581・0287。

横浜市 公共工事「週休2日」を推進 民間への浸透も期待

 横浜市は公共事業にかかる建設業の週休2日化を進めている。そんな中で25年度早期からは、発注時点で週休2日を前提とした増額分をあらかじめ組み込む方式も開始する方針という。市担当者は「まずは公共工事の週休2日を進め、それが民間工事にも広まれば」とする。

時間外上限規制とあわせ

 国土交通省は建設業の働き方改革を進めており、建設業の週休2日を推進。公共工事を中心に取り組みを広めている。また労働基準法の改正で時間外労働の上限規制が2019年から適用(中小企業は20年から)されているなか、今年4月からは建設業にも適用。働き方を社会全体として見直すことで、担い手不足にも対応したい考えだ。

 横浜市でも近年、工事現場における週休2日の確保を推進する工事を実施。23年度は公共工事2395件のうち週休2日工事は41%にとどまっていたが、「今年度からは基本的にすべての工事を週休2日としている」と市の担当者は説明する。

 週休2日を確保するためには、従来の工事よりも工期が長期化するが、「近年では夏場の猛暑などもある。そうしたことも考慮し、発注者としても無理のないスケジュールを前提に進めている」とする。

 さらに来年度早期をめどに、発注方法自体も見直す方針だ。週休2日を確保することで工期が延びると、機械の賃料や現場管理費、労務費が以前より必要になる。従来はこういった増額分について市は、予算に計上しつつも発注段階では組み込まず、工事完了後に実態を確認した上で清算する流れだった。今後はこの増額分を発注時点であらかじめ組みこむという。

「法規制がないと」

 だが、市内建設会社の経営者は「公共事業は調整してくれるようになっているが、民間の意識はまだまだ」と厳しさを明かす。「民間工事まで週休2日化するには、啓発だけでは足りず、法律などある程度強烈にやらないと実現しないのでは」と指摘した。

「フィガロの結婚」など上演 37回目のワーグナー祭

 (一社)横浜音楽文化協会が1月10日、「ヨコハマ・ワーグナー祭 新春わくわくモーツァルト」を横浜みなとみらいホールで行う。午後6時30分開演(6時開場)。

 明治初期の横浜に洋楽の種をまいた音楽家、クリスチャン・ワーグナーの功績を称え毎年開催して37回目。今年は「オールモーツァルトプログラム」としてこだわりの室内楽や歌劇「フィガロの結婚」をハイライトでお届け。全席自由一般3千円。申込みは同ホールチケットセンター【電話】045・682・2000。

読者プレゼント

 同コンサートに読者3組6人を招待。応募はハガキに〒住所・氏名・年齢・電話番号を明記の上、〒231―0033中区長者町2の5の14―2Fタウンニュース「ワーグナー祭」係へ。12月21日必着。当選者の発表は発送をもって。

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12月13日に公開される映画『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』

インタビュー 『銭天堂』が実写映画化 立野高出身の原作者・廣嶋さん

 願いを叶えてくれる不思議な駄菓子。でも、食べ方や使い方を間違えると―。人気児童書『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』(偕成社)が実写映画化され、12月13日(金)に公開する。原作者で横浜立野高校出身の廣嶋玲子さん(43)に話を聞いた。



―映画の話がきた時は?

 「びっくりするやら嬉しいやらで、とびあがってしまいました。しかも、監督は『リング』の中田秀夫監督!これは迫力があるものができるに違いないと」

―主人公・紅子さん役は天海祐希さんですね

 「最初に天海さんと聞いた時には、あんなにきれいでスマートな人が!と驚きました。そして、実際に撮影現場で拝見した時は、さらに驚きました。そこにいたのは、まさに紅子だったんです。ビジュアルだけでなく、放つオーラが紅子そのもので、感動しました」

―実際に映画をご覧になっていかがでしたか

 「一人の観客として、自分が銭天堂に誘いこまれていく感覚がたまりませんでした。役者の皆さんが素晴らしいですし、美術造形、音楽の魅力も最高でした」

―原作者としての見所ポイントは?

 「ぜひ銭天堂の店内に目を凝らしてほしいです。原作に登場する菓子や映画オリジナルの菓子など沢山登場します。『あ、これ知ってる』とか『これはどんな力を秘めているんだろう?』と、わくわくしてもらいたいものです」

出演する横浜市消防音楽隊

横浜みなとみらいホールで「避難訓練コンサート」 2月17日、5年ぶりに復活へ

 観客を実際に招いた形でコンサート中に行う避難訓練が横浜みなとみらいホール=西区=で2025年2月17日(月)に行われる。コンサート中に地震が発生したことを想定した訓練で、来場者、演奏者、ホールスタッフが協働して行う。

 訓練は同ホールが「避難訓練をもっとリアルに、観客を入れて行う」という趣旨で2007年に横浜市消防音楽隊の協力のもと始まった。今回はホールの大規模改修工事による休館期間を経て、5年ぶりの開催。

演奏中に地震が発生

 当日、同音楽隊によるコンサートの途中に地震が発生する想定だが、来場者は何曲目で起きるかは知らされない。地震発生後はホールスタッフの誘導によって避難を行う。実際のコンサートで地震が起こった場合と同様に、来場者だけではなく、出演者の避難誘導も行う。訓練終了後は、再びコンサートを楽しむことができる。

 コンサートは無料だが、公演チラシを入場口で提示する必要がある(スマートフォン等の画面提示も可)。定員は先着500人程度で、未就学児は入場不可。車いすを利用する場合は、横浜みなとみらいホールチケットセンター(【電話】045-682-2000)に電話で申し込む必要がある。

 午前10時開場、10時30分開演、正午終了予定。 問い合わせは同ホール【電話】045-682-2020。

ユニフォームを着用した子どもと度会選手(中)、山崎選手(右)(球団提供)

ベイスターズ山崎選手・度会選手 みなと赤十字病院で子どもと交流 球団が39カ所にキッズユニフォーム寄贈

 横浜DeNAベイスターズの山崎康晃選手と度会隆輝選手が12月12日、市立みなと赤十字病院=中区=を訪問し、小児病棟に入院する子どもたち約10人にユニフォームを手渡し、リハビリテーション室で交流を行った。

 ベイスターズは、球場に足を運ぶのが難しい子どもに野球を身近に感じてもらおうと、同病院のほか、福祉施設や病院計39カ所にキッズユニフォームを寄贈した。

 同病院を訪れた山崎選手は「応援してくれている人たちに勇気とエネルギーを与えられるよう頑張りたい」と語り、度会選手は「子どもたちが頑張る姿を見て、自分ももっと頑張らないといけないと思った」とコメントした。

 ユニフォームを受け取った10歳の男子小学生は「選手はいい人たちでうれしかった」と笑顔を見せ、12歳の女子小学生は「山崎選手に応援してもらったので、退院後はバスケットボールを頑張りたい」と語った。

 同日、京山将弥選手、東妻純平選手、蓮選手が障害福祉施設「みどりの家」=緑区=を訪問。施設利用者約30人と野球体験や写真撮影などで交流した。

 京山選手は「野球を通してふれあうことができて良い経験になった。活躍する姿を見せたい」と述べ、利用者の男性は「選手が来てくれてとても楽しかった。来年も頑張ってください」と日本一に輝いた選手たちにエールを送った。

子ども向けの動画(市提供)

地震火災のリスク 市が動画で啓発 子ども向けも製作

 横浜市はこのほど、地震に伴う火災の被害やリスク、対策を伝える動画を製作し、市の公式You Tubeチャンネルなどで公開を始めた。

 大地震が発生した場合、市では木造密集地域を中心に、地震に伴う火災被害が最も大きいと想定されている。動画は地震火災を自分事として捉えてもらうことを目的に、子ども向けと大人向けの2種類を作った。

 子ども向けは、キャラクターとクイズを楽しみながら防災を知ることができる内容。大人向けは、躍動感あるドキュメント調で、過去の災害事例や個人でできる対策を紹介している。

 動画は市の公式YouTubeチャンネルや市民防災センターで公開されている。今後、製作した都市整備局は防災イベントや民間企業と連携した広報活動の場、学校の出前授業などで放映していく予定。キャラクターを使ったグッズ作成も検討している。

 同局防災まちづくり推進課の米森勝行課長は「大地震の直後は市民の関心も高いが、それが継続できていないと感じている。今回の動画やキャラクターによって、若い世代や多くの方が地震火災に関心を持ってもらえれば」としている。

神奈川県青少年交響楽団

神奈川県青少年交響楽団が12月22日に県立音楽堂で演奏会

 公益財団法人神奈川県青少年交響楽団による演奏会が12月22日(日)午後1時30分から県立音楽堂で行われる。

 同楽団は音楽を愛する青少年を育てようと、1957年に「朝日ジュニアオーケストラ横浜教室」の名で誕生。72年に財団法人となり、現在の名称に。2013年に公益財団法人になった。演奏会を年2回行う。

 今回はベートーベンの「交響曲第7番」やザイツの「バイオリン協奏曲5番」などを演奏する。公募で集まった児童による演奏もあり。指揮は戸塚克郎さん、松本博樹さん。

 入場無料。問い合わせは同楽団【電話】045・324・1840。

日本ナポリタン学会会長 田中健介さん【プロフィール】1976年戸塚区生まれ。その後、南区や中区で育つ。2009年から「日本ナポリタン学会」の会長としてナポリタンの面白さを発信。ライターとしても活動し、著書に「麺食力―めんくいりょく」(ビズ・アップロード)。「はま太郎」(星羊社)、Yahoo!ニュースエキスパートなどへの寄稿も多数。大のベイスターズファン。

横浜「注目の人」インタビュー 日本ナポリタン学会会長・田中健介さん「横浜からナポリタンを通して洋食文化が広がった」

 横浜が発祥の地と言われる「ナポリタン」。横浜のソウルフードを愛する市民団体「日本ナポリタン学会」の会長を務める田中健介さんが2024年7月、ナポリタンの歴史や地域的な広がり方などをまとめた著書「ナポリタンの不思議」(マイナビ新書)を発行した。会の活動やナポリタンと横浜の関係などについて話を聞いた。

◇ ◇ ◇

――まず日本ナポリタン学会の活動について教えてください。

「横浜発祥のナポリタンを食文化として再認識し、横浜から元気な日本をつくっていくことを目指して2009年に設立したものです。現在の会員は約40人で、ナポリタンが好きなことはもちろん、横浜が好きという人が多いです。愛着を持ってナポリタンを提供している洋食店や喫茶店などを認定する取り組みも行っています」

――今回、ナポリタンに関する本を書こうと思ったきっかけは。

「2023年11月に出版社の方から学術的なものを書かないかと話がありました。それを受けて、ナポリタンにまつわる自分の見解を示せればと思い、取材を始めました」

――ホテルや洋食店、喫茶店などを取材し、どんなことが分かりましたか。

「ナポリタンはホテルニューグランドで誕生しましたが、そこで修業を積んだ人が独立して店を開き、ナポリタンがアレンジされていることが分かりました。ナポリタンの広がりは洋食文化の広がりとも重なります」

――ナポリタンを取り巻く今の状況をどう見ていますか。

「バブル期のグルメブームで本格的なイタリア料理を求める流れがあり、日本式のスパゲティ料理が影を潜めました。その中で2013年にカゴメが『日本一のナポリタン決定戦』として『ナポリタンスタジアム』というイベントを始めました。それ以降、ナポリタンをメインにして勝負する飲食店が増え、ナポリタン専門のチェーン店『パンチョ』(スパゲッティーのパンチョ)が全国的な存在になりました。一方、いわゆる『街の喫茶店』が大きく減り、いいナポリタンを出す店が少なくなったとも感じています。古くからあるナポリタンが消えつつある状況は寂しいです」

――飲食店が後継者不足で閉店する話をよく聞きます。

「後継者不足は深刻です。それでも『地元に愛された喫茶店を残したい』と20代の方が立ち上がって受け継いだ京急鶴見駅そばの『山百合』のような例もあり、いろいろな形で店が残り続けています」

――田中さんが好きなナポリタンはどのようなものですか。

「やはり、よく炒めたものですね。少し焦げ付いた感じでケチャップの旨味が出た感じが良いです」

――横浜全体に対して、どのような印象を持っていますか。

「以前は『ランドマークが見えないと、横浜じゃない』と思っていましたが、今では横浜全体が好きです。南区の中村橋から磯子区の八幡橋あたりの風景は何とも言えない魅力があります」

――今後の目標を教えてください。

「横浜の全区から認定店を出せるようにしたいです。また、全国各地にナポリタンがあり、その一部しか探っていませんが、その土地の魅力をナポリタンを通じて知る面白さを含めて提案していきたいです」