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厚木市戸室で認知症対応型のグループホームやデイサービスなどを運営する「みどりの丘」(山﨑慎也代表/株式会社ミュー)では2024年8月から、活動の一環で任天堂のゲーム機「Wii」を使ったプログラムを導入した。現在、同社のプログラム特化型デイサービス・シンフーディーファン「たいよう」「そら」「うみ」および認知症対応型グループホーム「オーババーズセキサテライト」の4カ所で実施されている。
オリジナルプログラムで脳神経細胞に刺激を
この取り組みは、山﨑代表の「他施設で導入している事例を聞いて、みどりの丘にも導入したい」という思いが発端で2024年6月から準備を始め、8月初旬に実現した。
認知症介護研修を受講した専門ケアスタッフが寄り添い、オリジナルプログラムとして歌と体操の日・ものづくりの日・絵てがみの日・美術の日・習字の日などを用意している。脳神経細胞を外部から刺激し、記憶の糸を辿って現在の生活リズムへと結びつけることが目的。今回のゲーム機を使ったプログラムは週2~3回実施されているという。
☆活動の様子を発信している同社のインタスグラム
拍手喝采でスポーツゲームを楽しむ
9月某日、デイサービス「たいよう」に訪問した。フロアでは大きなテレビ画面を囲むように、拍手喝采で盛り上がる利用者と職員の姿が見られた。この日に行われていたのはWiiのスポーツソフトを使用した「ボウリング」だ。10人の利用者が交代でボールを投じるもの。投じる前には全員の視線が画面に釘付けとなっていた。
ピンが倒れた瞬間、フロアは大きな拍手に包まれた。
ゲームを楽しんでいた男性利用者様は「元々ボウリングが好きだった」といい、「ゲームならではの楽しさもある」と笑顔。同じく女性利用者様は「ボウリングは好きだけど、もう重いボールが持てないので大変ありがたい。楽しいから、終わった後はぐっすり寝れるの」と、うれしそうに話していた。
コントローラーを見せてもらうと、独自の工夫が施されていた。
「認知症の方は同時に複数のことを行うのが難しい傾向がありまして...」と説明してくれたのは、中心になってeスポーツ導入を進める職員の太田小百合さん。操作しやすいように、ビニールテープでボタンを固定することで認知症の方も楽しめるのだとか。「皆さまが何事にも楽しそうに挑戦している姿を見れて、うれしく思います」と話す。
別日には、グループホームの入居者も利用していた。
今後は「テニス」や「ゴルフ」のほか、「サッカー」も予定しているそうだ。
「臨床美術」で症状の進行確認も
同社の1階にある「cafeこねくと」は、「たまには外に出て人と話したい」「今後のことを相談したい」など、介護や認知症などについて気軽にくつろいで話せるカフェとしオープンしている。介護福祉士やケアマネ、若年認知症専門員、公認心理師、社会福祉士などもいるので「福祉の窓口」として気軽に相談できる。ここは障がいの有無も関係ない「ごちゃまぜな交流の場」がコンセプト。散歩で一休みしたい一般の人も歓迎だという。
入口のギャラリースペースでは、定期的に作品展示を行なっている。普段から入居者や利用者、地域住民らの美術作品で彩られ、好評を博しているスペースだ。
取材で訪れた際には、同社の利用者や入居者たちが描いたかにの絵がずらりと並んでいた。これらは芸術的な創作活動やコミュニケーションを通して、認知症の予防や改善、心の問題のケアを目的とする「臨床美術」の一環だという。同条件で描いた「かに」を認知症進行度順に並べており、状態の変化をいち早く察知することを目的としている。
神奈川県オレンジ・チューターとしても活動している幸田裕介さんは「決して『認知症=絵が描けなくなる』ということではなく、絵を描く楽しみが継続できるように支援をさせていただいています。今回もたくさんの個性的な絵が並び、」と話していた。