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農業で三浦半島の経済を盛り立てよう―
若い世代の就農と三浦半島への移住を促すため、神奈川県が取り組んでいる「産農人プロジェクト」。経営感覚を身に付けた若い農業人(産農人)を育成する長期講座が今年度もスタートする。第1回の開講を目前に控えた9月21日、三浦半島の若手農家がどのような農作業をしているか、実際に作業をしながら学ぶワンデー体験が横須賀市須軽谷のベルツリーファームで実施された。参加者は大学生や社会人の10代~20代の青年7人。そのほとんどが農業初体験となった1日を取材した。
なぜ今「産農人」が必要とされるのか
「産農人」とは農作物をつくるだけでなく、市場ニーズを理解し流通させることのできるマーケットセンスを持った新しい農業人を指す造語。横須賀商工会議所の旗振りで地域の農家・加工業者・飲食店・食品メーカーが連携して、将来の農業を担う有用な人材の育成に取り組んでいる。
農業従事者の平均年齢は65歳を超え、後継者不足から廃業の手続きを進める農家も多い昨今。就農者の減少は日本の食料自給率の低下のほか、荒廃農地の増加につながるため対策は急務となっている。そうした背景から、農業に関心を寄せている若者に実際の業務に関する理解と、ビジネスとして農業を捉える取り組みとして、同プロジェクトが発足した。
産農人プロジェクトでは2018年の発足以降、農業の可能性を広げる「商品企画」「商品開発」を学びの重要テーマに位置付けている。過去にはサイズが基準に満たないものや形状などの問題で出荷できない規格外品、いわゆる未利用資源の利活用にも精力的に取り組んできた。
初めてだらけの農業体験
この日参加者が体験に訪れたのは、横須賀市の南西部・須軽谷に畑を構える「ベルツリーファーム」。カリフラワーやニンジン、キャベツ、三浦大根、長ネギなど夏と冬に種類を分けて二毛作に取り組む農家だ。江戸時代から続くこの農家を切り盛りするのは鈴木康太さん。JAよこすか葉山管内の若手農家のグループ「武山青壮年部」の中心メンバーとして所属し、農業技術の研究、独自の出荷ルートの確立などに努める。
畑に到着した参加者らは早速鈴木さんの指導の下、発芽したカリフラワーの選定・植え替え作業に取り掛かった。種子から発芽までを苗床で、ある程度成長したら本圃という本式の畑に植え替えるもので、参加者から「種から収穫まで同じ場所で育てるものかと思った」という声も。当日は9月ながら最高気温30度越えの真夏日。猛暑の中じっと畑に向き合う地道な作業は農業のリアルそのものだが、参加者らは黙々と作業を実行、午前中のうちに本圃に苗を移し終えることが出来た。
午後は生育中のニンジン畑からひたすら雑草を取り除いた。「美味しい野菜を作るにはちょっとした心遣いが大切」という鈴木さんの教えにならい、地味ながら重要な作業を黙々と行った。
農業のリアルを知って得たものは...
「国を支える一次産業に携わりたい」「新規参入がしやすいシステムを作りたい」「必ず必要な産業。進化を見届けたい」――それぞれが様々な想いで臨んだ今回の農業体験。体験を終え参加者の顔には達成感が滲む。今回が初めての農業体験だったという大学生(19)は「想像上以上にきつい作業だったが、鈴木さんの話を聞くと食材に対する見方が変わった。また参加したい」と今後の活動にも意欲を見せた。「若いうちから食の重要性・魅力を知ってもらった君たちには、これを周りに伝えていってほしい」。鈴木さんの期待の込められたエールで今回の体験は終了した。
農業のリアルを体感しながらも新たな可能性を探ることが出来る産農人プロジェクト。2024年度は10月3日(木)から翌年2月15日までの原則毎週木曜日に開催する長期コースを実施。2月15日(土)に横須賀ポートマーケットで開催する販売会(マルシェ)に向けて自ら栽培・収穫し、その野菜を使った商品を開発して販売するという一連の流れを経験できるプログラムを予定している(途中参加も可能)。申し込み等詳細は以下を参照。
期 間:2024年10月3日ー2025年2月15日 ※基本毎週木曜日9:30スタート※随時募集中!期間途中でもお気軽にご参加ください。 ※月1回程度参加できる方 日によって実習場所に変更あり。農業実習内容
対 象:10代後半・20代の三浦半島の農業に興味がある若者
内 容:2月15日(土)に実施する販売会(マルシェ)に向けて、野菜の栽培・収穫・商品開発を行う
会 場: ①横須賀市林のヨコスカアグリファミリーの農場 ②横須賀市役所地下「横須賀セントラルキッチン」
参加費:無料