日野ヶ丘町内会 路線バス新設に向け1歩 10月11日から実証運行
10月11日から12月9日までの60日間、港南区日野ヶ丘地区と上大岡駅を結ぶ路線バスを運行し、採算が取れるかどうかを調査する実証運行がスタートする。路線バス誘致は日野ヶ丘地区の住民が移動手段の確保を目的に、横浜市地域交通サポート事業を利用した取り組みだが、本格運行に向けて1日平均収入の6万5000円を確保できるかが焦点となる。
路線バス誘致は日野ヶ丘町内会(427世帯)が中心となって取り組んできたもの。同町内会の日野4丁目は急な坂が多い上に既存バス停まで遠く、65歳以上の高齢化率も平成22年3月31日時点で26・1%と高い。高齢者は日常生活に支障を来しており、交通手段の確保は喫緊の課題だ。
同町内会は19年10月に交通問題研究会(松村祥男会長)を立ち上げ、バス路線誘致に向けて活動を開始。同時期に市は、地域住民が主体となって生活に密着した交通手段を導入しようと取り組みを行う場合に支援する「地域交通サポート事業」を19年度に新設。研究会はサポート事業に登録し、アンケート調査や住民説明など4年間にわたって活動をしてきた。研究会はアンケートなどから目的地やルート、バス停の位置などを検討し、地元の合意を形成。市はサポート事業に基づいて交通計画コンサルタントの派遣や事業予定者の選定、道路環境の整備などを実施。事業予定者に名乗りを上げた神奈川中央交通(株)はルートやダイヤなどの具体的な検討を進めてきた。
バスは平日、土曜、休日を同じダイヤで午前6時台から午後8時台まで13本運行する循環路線。下野庭三田(さんた)と上大岡駅の7・35Kmを約20分で結ぶ。上りのバス停は下野庭三田、公務員住宅中央、公務員住宅東、日野ヶ丘中央、日野ヶ丘東、シティクレスト前、下車ヶ谷、吉原前、吉原下根、吉原、港南区総合庁舎前、笹下港南中央通り、関の下、上大岡駅(下りは一部バス停が変わる)。運賃は大人210円、子ども110円。PASMOなどのICカードも利用できる。
同社は採算について実証運行期間で1日平均6万5000円の収入が必要としており、期間中の不足額は市が負担する。本格運行に移行できるかは、実証運行終了後に検証するが、最低でも半年間程度はかかる見通し。同社は1日平均6万5000円の収入を超えることが本格運行の前提だとしているが、将来性を含めて判断したいとしている。
サポート事業を行っている道路局は「新たなバス路線を設置する実証運行は市内で初のケース。他のバス会社も注目しているのでは」と話す。また、今回の日野ヶ丘地区の取り組みは市内の交通不便地域が路線バスを誘致する際の試金石にもなるとして期待をかける。
松村会長は「不採算では運行できない。将来のためにもみんなで協力をして利用してもらいたい」とし、「ポスター掲示など利用をPRしたい」と話している。
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