横浜市が重症心身障害児・者(以下、重心児)の入所施設建設を港南台4丁目の市有地に計画していることを受け、予定地に隣接する港南台つぐみ団地の住民有志が6月2日、静岡県富士市にある生活事業所に通所している重心児と家族の生活を追ったドキュメンタリー映画「普通に生きる」の上映会を港南台地域ケアプラザで2回にわたり開催した。
市が計画しているのは先天的あるいは出産時の事故等で、重度の知的障害と肢体不自由がある重心児を対象とした定員200人の入所施設。2014年度の開所を目指すが、同団地の自治会は建設の賛否を問う住民投票を3月に実施し、建設反対が過半数を超えるなど計画は難航している。
一方、同団地の住民有志は重心児や施設について学ぼうと「手作り懇談会」を企画。その1人の朝日潤太郎さんは、今回の住民投票を機に「重心児について何も知らない状況では賛成も反対もできない。建設に色々な意見があって当然だが、知らないから反対するのは避けたいと思い、学ぶ機会の必要を感じた」と経緯を説明する。
これにより、3月には国内で初めて認可された重心児通所施設「朋」(栄区)の施設長・生田目(なまため)昭彦氏やその地域住民を招いて話を聞く会を開催。上映会はさらに知識を深めようと実施され、初回は満員となる50人が来場するなど関心の高さを伺わせた。
知る大切さ
この映画は、重度の障害がある子どもを持つ親達が働きかけて立ち上げた生活事業所「でら〜と」が舞台。ここに通う障害児や家族の日常生活がドキュメンタリー形式で描かれ、医学の進歩で寿命が伸びたとはいえ健常者と比べれば長生きは困難な状況にあるなか、施設で盛大に行われている成人を祝う会の様子、介護のため早期退職した父親の姿などが映し出されている。
上映後、来場した映画監督の貞末麻哉子氏は制作理由について、でら〜との運営法人から地元市議会議員向けに障害児の実態を伝えるツールとしてオファーを受けたことがきっかけだったと説明。しかし撮影を続けるうちに、「障害児の家庭でも一般家庭同様の団欒があることに驚いた。重い障害があっても人柄があり、目を覚まされることが多かった」と振り返り、「知ることが大切」と実感。より多くの人に現状を知らせようと、短期間の撮影予定が5年間にも及んだと明かした。
また、会に招かれていた生田目氏は、当初は地元から建設反対の声もありながら、現在は地域住民が利用者の介助を無償で手伝ってくれたり、近隣小学校との交流も10年以上続いていることを紹介。開所から26年が経ち、地域社会に根付いていると説明した。
一方、会場では初めて重心児の様子を知ったと驚く来場者も多く、「目が開かれた想い」「しみじみと(重心児の)お母さん達の強さに感激した」との感想が聞かれた。また、「港南台の地域住民にとって建設計画は降って湧いたような話だが、重心児を考える機会ができたのは幸せ」との声も。
同団地の住人で主催者の1人でもある成田知子さんは、「プチトマトを喉につまらせたことで障害を負った人もいた。誰にでも起きうる身近なことで、他人の話ではないと改めて感じた」と述べた。
また、朝日さんは、「自分の人生で障害がある人とふれあう場面はなく、一緒の地域で暮らすという想像力が失われていた。知らないことで障害者を特別視してしまう環境にいた」と、今後も学ぶ機会を設けていきたいと話していた。
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