4月1日からJAさがみ藤沢市果樹部会の部長を務める果樹農家 青木 徹さん 高倉在住 59歳
食えば分かる 嘘はない
○…農家になる前はサラリーマンだった。34歳で結婚を機に、「革靴」から「長靴」へ。戸惑いの連続だったが、「オヤジ」と呼ぶ義父の背中を見て、果物づくりに没頭する。「1から10まで自分の責任。でも性に合ってたよ」と目尻にシワを寄せる。
○…「スーパーでは売っていない品種や、新鮮なモノを直売所で。付加価値を付けなきゃ」。生産者としてのこだわりがそこにある。「藤稔(ふじみのり)」と並ぶ藤沢生まれのブドウ、「紅義(べによし)」の誕生も「難しい事を試行錯誤して挑戦する」自身のスタイルだった。赤色で抜群の糖度がのった「紅義」は当時、安定した生産ができなかった。そこで、調合したホルモン剤を花に注入するジベレリン処理(種無し方法)を行う。「1ミリリットル違っても上手くいかない」という方法だったが、根気良く研究した結果、綺麗な形の房と大きな粒が実った。1995年に品種登録。義父の義久さんから1字とって名付けられた紅義。今では全国で親しまれている。
○…「果実って、正直なの。サボったらその分収穫に表れる。嘘はつけないね」と舌を出す。向こう3軒両隣すべてが顧客の農家。その分、シビアなのも確かだ。こんな情勢でも、誰かがやらなきゃ果物は食卓に届かない。「こればかりは天に祈るのみだけど、藤沢の果樹農家は優秀な人ばかり。切磋琢磨して一生懸命やるしかない」と、広大な畑に目を向けた。
○…趣味はスポーツ。休日はゴルフで息抜き。奥さんとはテニスを通じて知り合った。畑に出ずっぱりだったため、子育ては放任だったが「良く育ってくれた」と家族に感謝。時には家族総出でナシ、ブドウ、ミカンなどを育てることも。夏に収穫されたフルーツを囲んで、今年の「でき」を確かめるのが青木家の団らん。娘の名前は「実る果実」で「実果」。「でも、あいつ果実が苦手なんだよ」。
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