3月11日の震災から3カ月。当日、藤沢市内片瀬地区の7カ所の避難所には1200人を超える避難者が肩を寄せていた。情報が寸断され、交通網がまひする中、地域の人と人をつなぐ組織、「町内会」の重要性がクローズアップされている。
片瀬地区・新屋敷第二町内会会長を務める杉下由輝さん(39)。市内町内会、自治会役員の高齢化が進む中、30代の会長は珍しい。昨年12月、前会長から急きょ会長職を引き受け3月、震災に直面した。
避難した片瀬小学校には、午後6時40分の段階で津波を避けるため4階の教室に300人が避難していた。避難者の中には、地元住民だけでなく観光客や新江ノ島水族館を訪れていた保育園児、引率の保育士らがいた。交通機関の復旧のめども立たなかったことから、小学校で宿泊することに。
ここで問題が発生する。学校内の備蓄倉庫内の毛布や乾パンを使うため、校長が市役所に電話で連絡を取ると「避難勧告が出ていない」ことを理由に、使用の許可が下りない。杉下さんらは、現場判断で倉庫内の物資を使うことを決める。当日、災害対策課は「津波警報にあわせて防災無線を使い避難を促した」としており、市役所内でも指示が錯綜する結果となった。
幸いにも片瀬小は停電しなかったため、倉庫近くの部屋の電気をつけ、無事倉庫の扉を開けることができた。「懐中電灯が2つぐらいしなく、停電していたら(カギ穴がわからず)開けられなかったかもしれません」。また、ストーブを使うこともできた。
一方で、子どもたちの動揺は大きかった。30〜40分かけ避難してきた保育園児らは「おなかがすいた」「トイレは」と泣き出す子も。そのとき機転を利かせたのが避難していた片瀬小の児童ら。図書室へ走り、紙芝居を披露することで落ち着きを取り戻したという。
3月11日を振り返りながら「もし、藤沢に津波が来たら」と杉下さんは話す。市の防災無線は聞こえず、仮に情報を得ることができたとしても、高齢者などの災害弱者を誰が助けるのか。「東北の津波の際、津波を知ったのは警報、テレビ、そして隣り近所の声かけ。藤沢は大丈夫か」。第二町内会は約650世帯、1600人を超える。町内会に加入していない人もいる。
「自分たちで何とかする意識、町内会というコミュニティの大切さをもう一度、見直す必要がある」。
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