メレンゲ細工の技術を伝えに3月9日、ヨーロッパへ旅立つ 鈴木 廣明さん 湘南台在住 65歳
「生きてきた証を残したい」
○…卵白を泡立て、砂糖を加えた「メレンゲ」を絞って動物や人、人気キャラクターなどを形作り、焼き固める。メレンゲの起源は1500年ごろの欧州とされるが今、現地でその職人の姿を見ることはほとんどない。「500年経った今も残っている菓子。100年後にはもっと広がっている可能性もある」。若かりしころ、メレンゲと出会った欧州に、今度は磨き上げた自らの技術を伝えに行く。
○…和洋菓子店を営む家に長男として生まれた。「建築の仕事をしたかった」と言うが、物心つくころには親から仕事を任され、気づけば菓子職人の道に。22歳の時、周囲の猛反対を押し切って渡欧し、菓子店で働きながら各国を旅した。4年にわたる旅の最後に働いたオーストリア・ウィーンの老舗店。職人が「秘密の部屋で作っていた」物こそ、メレンゲ細工だった。日本では見たことのない菓子。作り方や配合は教えてもらえず帰国後、写真だけを頼りに研究を重ねた。「見本がないから面白かったんだと思う」。以降、メレンゲ細工はライフワークになった。
○…30歳最初の日である12月3日に湘南台に開店した洋菓子店「フレイ延齢堂」を昨年、65歳最初の日に閉めた。多彩なメレンゲ細工がずらりと並ぶ店内。名物のザッハトルテが食べられなくなるとあって、惜しむ声も多かったが「聞いていたらやりたいことができなくなっちゃう」と笑顔。思えば35年間、休みはなかった。身体のメンテナンスに家族との時間、後継の育成―やりたいことが溢れた。「生きてきた証を残したい」
○…2カ月部屋を借り、縁のあったスイスの菓子店でまずは1週間指導する。昔を思い出し「向こうの人と話しながら仕事をするのは楽しい」と胸を弾ませる。手間と時間がかかるメレンゲ細工。「個性を出したいという強い思いがないと続かないが、やってみたいという人に教え、広がれば」。熱い思いを持つ職人との出会いを夢見て今、旅に出る。
鎌倉市交通安全対策協議会初詣に合わせて鎌倉駅周辺の交通規制を行います。鎌倉への初詣は電車・バスをご利用ください。 https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/koutsuu_anzen/nennmatsu.html |
<PR>
|
|
|
|
|
|