農家の人手不足と障害者の仕事創出―。農業と福祉「農福連携」の動きが広がっている。長井の「ブロ雅農園&鈴木浩之農園」には先月末から、シンオー株式会社(横浜市金沢区)の就労支援団体「アイルビー」から数人が訪れ、農作業を手伝っている。同団体では市内の他の農園でも連携事業を始める予定で、担当者は「障害者への理解や働く環境づくりのきっかけになれば」と話している。
担い手の高齢化や人手不足に悩む農家と、障害者らの働く場の確保を求める福祉分野が手を取り合う「農福連携」は近年、厚生労働省・農林水産省、自治体による支援の動きも活発化。全国的な協議会団体も発足している。
「三浦の農園が受け入れていると聞き、良い取り組みだと感じていた」と話すのは、「ブロ雅農園&鈴木浩之農園」の鈴木雅智さん。ソレイユの丘前のほか、長井を中心に18カ所の畑を持っているが、作業に携わっているのは両親と自身夫婦のみ。農薬を減らした栽培方式のため、除草(草取り)に時間がかかっているのが悩みだという。
一方、建築資材の加工や流通加工(タグ付けやラベル貼りなど)を請け負うシンオー株式会社(横浜市金沢区)では、メンバーと呼ばれる障害者約40人が勤務。一般社団法人アイルビーを立ち上げ、施設外での就労を支援する活動も展開している。農業の分野では、今年3月から浦賀の「ファーマシーガーデン」で農作業の手伝いを開始。これに続いて5月から「ブロ雅農園&鈴木浩之農園」での活動を始めた。
生産者の現場学ぶ
2回目の作業となった今月4日は、畑の除草や摘果メロンやニンニクの収穫などを7人のメンバーが約3時間かけて行った。初夏の日差しを浴びながらの農作業に、「疲れたけれど楽しい」「(除草で)きれいになって嬉しい」などの感想が上がった。マンパワーが必要な現場ゆえに、「とても助かっている。メンバーさんができる作業を工夫・調整しながら進めていければ」と鈴木さん。スタッフとして参加する同法人理事長の宮城里美さんは「普段は室内の作業が多く、外で体を動かせるのは良い機会。生産者の現場を学ぶこともできる」と話す。
現状では週1〜2回程度の来訪で、同法人では近々、市内近隣の農園でも作業を始めるという。宮城さんは「障害者が働く環境づくりやそのことへの理解が進めば」と今後の動きに期待を示した。
また、今月6日の市議会定例会で、小幡沙央里議員(無所属みらい)が農福連携について質問。上地克明市長は「積極的に進める意義がある」として、関連事業者と協議を行っていることを明らかにしている。
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