津久井にある茅葺き屋根の公共施設「万代会館」で、ワークショップイベント「万代テラコヤ」が7月21日(土)に企画されている。耐震診断のため今年4月から建物の供用が中止されており、利用者が減ることを危惧した地元有志らによるもの。「庭園の風情を活かした催しで、会館の存在を広く知ってもらいたい」と今後、季節ごとに年4回の開催を計画している。
万代会館は帝国銀行や東京通信工業(現・ソニー)の会長を務めた万代順四郎・トミ夫妻が晩年暮らした日本家屋で、1980年に横須賀市へ寄贈された。2015年に市の計画で廃止の方針が打ち出されたが、地域住民などから存続を求める声が高まったことも受け、一転存続となった。
建物は築60年超で、茅葺きだけでなくガラスや欄間の造作など、昭和の趣が随所に残されている。万代夫妻は当時、野菜や草花を育て、自給自足に近い暮らしぶり。地域の子どもとも交流があり、住民からは「万代先生」と呼ばれていたという。
「”教育や福祉に役立てて”という寄贈の意図を守り継ぎたい」と地元有志らが企画したのが「万代テラコヤ」。現在、会館の建物自体は老朽化による耐震診断で供用中止の状態で、「存続が決まり利活用を協議している中、施設が使えないことで地域の人にも忘れ去られてしまう―と危機感があった」と実行委員のひとり、伊東ひろみさん。庭園は利用の制限がないことから、自然に親しむワークショップを企画した。「植物さんぽと押し花のしおりづくり」「竹細工で水鉄砲づくり」のほか、夫妻が養蜂も手掛けていたこともあり「ハチミツしぼり体験会」を行う(一部有料)。7月21日(土)午前10時から午後1時(雨天時は翌週に順延)。
南西RCも活用模索
横須賀南西ロータリーでは地域活動の一環として、万代会館の「寺子屋」事業を計画しており、今後は地元有志の活動と協働で取り組んでいく方向。また、かつて万代夫妻がバラを育てていたことから、庭園内でのバラの植栽も考えているという。
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