「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた新しい働き方である「ワーケーション」が脚光を浴びている。普段の職場を離れ、風光明媚な環境でリラックスしながらオンとオフを同時に楽しむスタイルだが、長引くコロナ禍で需要が一気に高まった。単なる観光客の誘致ではなく、働き盛りの世代を移住・定住に繋げる狙いもあり、人口減少にあえぐ地方都市を中心に取り組みが進む。こうしたトレンドを追い風に、三浦半島でも事業化に挑む事例が出始めている。
三浦半島でワーケーション
横須賀中央でシェアオフィス「16Startups(イチロクスタートアップス)」を運営する(株)マチノベは、長井にある和田長浜海水浴場前のスペースにコンテナハウスを活用したワーケーション拠点「イチロクウエストコースト ─ナハマベース─」をオープンする。「海と風と青空を感じる仕事スペース」をコンセプトとしており、既存施設のサテライトオフィスとして機能させる。都市の喧騒を逃れた自然環境に身を置くことで、壮大な事業プランや新しいアイデアを生み出してもらう考えだ。
ナハマベースの隣では、別の事業者がトレーラーハウス型の宿泊施設を開設しており、連携を図りながら長期で過ごせるプランもつくる。三浦半島での滞在時間の延長に繋げる狙いだ。
マチノベでは現在、ナハマベースの年間会員を募るクラウドファンディング(【URL】https://camp-fire.jp/projects/view/410304)を実施中。今月17日(土)には内覧会も予定している。
京急グループもワーケーションを意識したプランを用意し、新しいニーズを呼び込もうとアイデアを凝らす。都心から1時間の立地の利便性を前面に打ち出し、「新しい働き方」を提案している。観音崎京急ホテルでは、平日4泊5日の長期滞在プランの販売やホテルの客室をシェアオフィスとして時間単位で利用できるサービスを設けた。観音崎、油壷、城ヶ島の車中泊スポットを拠点にキャンピングカーで過ごすワーケーションプランも売り出している。
定住・企業誘致の呼び水
逗子市では、自治体としてワーケーションの誘致に積極姿勢だ。関係人口だけでなく、関係法人を増やすことで本店の移転や企業誘致を進めることを目論む。ワーケーションで訪れる個人や企業へのアプローチを本格化しており、市内で利用できる施設や実際の過ごし方を紹介する冊子を都内の企業などに送付している。
三浦市の三浦海岸前では、テレワーク、ワーケーションに対応したコワーキングスペース「BAYSIDE SHARE三浦海岸」が近くオープンする。オーナーは一級建築士事務所を営む男性。道路を挟んで砂浜が広がる住環境にクリエイターらを呼び込み、「職遊近接」の働き方を実践するという。昼はカフェ、夜はアルコールも楽しめるバーになるカフェスペースも設け、新しいプロジェクトが生まれる場にしていく。
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