横須賀市は日本語指導が必要な児童生徒を対象にした「支援教育ステーション」を2023年4月に立ち上げる。外国につながりがある子どもが学校生活に適応し、日本語を用いて学習に取り組めるよう支援体制を整える。施設は、諏訪幼稚園の園舎を転用する。
横須賀市教育委員会がまとめた「教育振興基本計画」によると、外国につながりのある日本語指導の必要な児童生徒は約130人ほどで、近年増加傾向にある。日本語が全く分からない状態での編・転入学や学年相当の学習言語不足で「授業が分からない」「コミュニケーションに不安がある」など学校生活の適応に大きな負担がかかっているという。
支援の必要な子どもの母語は英語のほか、タガログ語やスぺイン語、中国語、ポルトガル語など。現在、市教委では週に数回、各学校へ出向いて日本語の初歩的な読み書きや話し方の指導、生活適応や家庭との連絡支援などを行う「日本語指導員」「学校生活適応支援員」を派遣している。対応言語の増加で指導員が配置できないなどの課題も生じていることから、初期に集中した指導を行う拠点としてこのほど、「支援教育ステーション」を設置し体制を拡充する。
対象となる児童生徒は同ステーションで一定期間、集中的に指導が受けられるほか、在籍校への入学前のガイダンスや翻訳・通訳、教材等の紹介も行う。個々のニーズに合わせた支援で、保護者への多言語での相談体制も整える。この調整役となるのが「国際教育コーディネーター」で同拠点に常駐し、児童生徒の在籍校と日本語指導員を対象に、支援プログラム作成のための指導助言を行う。施設は、今年3月末で閉園となる諏訪幼稚園(諏訪小学校に併設)を活用。来年度中に整備を行い、23年4月から稼働する予定。
10年で2倍増
神奈川県全体を見ると、日本語指導が必要な児童生徒は20年度で6182人(外国籍・日本国籍の総計)で、09年度(3100人)と比べて2倍近くに増えている。改正入管法などにより、日本に暮らす在留外国人が増加していることが理由。県教育委員会では「指導・支援の手引き」を作成しているほか、多言語版の小・中学校「入学ガイドブック」を配布するなどして対応。横浜市では、旧中学校跡地に日本語支援拠点施設「ひまわり」を開設し、集中指導や就学前教室を開いているほか、母語支援・学校通訳ボランティアの派遣を行っている。
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