道幅が狭く車の侵入などが出来ない丘陵地帯にある「谷戸」の地域再生に取り組むプロジェクトチーム「Homiiie」(ホミー)は、汐入町2丁目にある約100坪の空き地を「souen」(そうえん)と名付けて、3月24日にオープンさせた。家屋の取り壊しによって生まれた木材やレンガで作成したイスやテーブル、雨水を利用した簡易水道などを設置し、誰もが自由に使える広場として地域住民の憩いの場を目指す。
高台からの眺望や自然の残った風景など優れた景観を持つ一方、狭い道路や階段の上り下りがあり、空き家率の高さが問題となっている谷戸。今回の取り組みは、同エリアの再生および活性化につながる施策を行う法人や個人に補助金を支給する市の「谷戸地域コミュニティ再生提案事業」の補助金を活用している。
未使用だった私有地を昨年の12月頃から整地化。同チームのメンバー5人に加え、汐留町内会や周辺住民などの協力を経て作り上げた。広場入口がある道路沿いにはオリーブや金木犀、柚子など多種多様な植物を植えた。谷戸の住民にとって背の高い草木は、強風から家屋や人を守る「防風林」の役割を担っており、設計を担当した田村聖輝さんは「風を防ぐ役割だけでなく、実の収穫などを通じて『人が関わっていける防風林』にしたい」とコンセプトを話した。
空き家解体古材を活用
空き家を解体する際に生じる古材をイスやテーブルに加工するとともに、一時的な置き場としても機能させる。「空き家を処分するという発想を転換させてプラスの価値に変えたい」とメンバーの藤原香奈さんは話す。
園内には、枯葉を肥料として使用する有機農法の畑もある。これまでは廃棄されていたものを資源として地域内で循環させていく。
自然農法の畑では、住民がそれぞれ好きな作物を育てる事ができ、多世代の交流スペースとしての活用も見据える。また、地震などの災害時には防災空地としても運用していく考えだ。
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