佐原にサッカー場整備 市民待望か、ハコモノか 市議会で論戦、市長「財源は国庫補助」
横須賀市が佐原2丁目にサッカーグラウンドをメインとする公園の整備を進めていることについて、吉田雄人市長は今月3日、「サッカーだけではなく各種イベントを開催できる場であり、災害時には人命救助や災害復旧活動の拠点として複合的な役割を担う」などと述べ、積極的に進めていく考えを示した。同日開かれた市議会第1回定例会で藤野英明議員(無会派)の質問に答えたもの。市は23・24年度の継続事業として、同公園整備に約8億8900万円の予算を計上している。
市が日産自動車佐原工場跡地に平成24年度末のオープンを目指している「(仮称)佐原2丁目公園」は、サッカーを主体としたスポーツができる人工芝のグラウンド。これに加えて、地域住民の憩いの広場や防災拠点としての機能ももたせる。面積は約2・9ヘクタール。このうち約2ヘクタールは日産が市に寄付。残りを市が買い取る形だ。
愛好家などからはこれまで、「市内にサッカー場が無いために、(選手・チームは)十分な実力がありながら上のリーグに昇格できず、地元で試合ができない」などと、新たなサッカー場建設を求める声があがっていた。集まった署名は平成15年度から1万1000人を超えるという。21年度には、市民参加のワークショップが開かれ、夜間照明、放送などの設備や約300人を収容できるスタンドを設置する案があがっていた。
管理運営費市は試算せず
一方で、市の施設では現在、はまゆう公園内(不入斗町)にサッカー専用のコートがある。同2丁目公園を「新たなハコモノ」との認識を示す藤野氏はこの日の市議会個人質問で、「十分な設備が整ったサッカー場がすでに存在しているにもかかわらず、財政危機の中で今、新たにつくることは優先順位が間違っている」と述べた。その上で、土地の購入、建設、毎年の管理運営にかかる費用や、サッカー場建設による効果を吉田市長に質問した。
これに対し市長は、はまゆう公園内のコートを含め、市内にあるサッカー場の多くは土のグラウンドで「雨天の時など数日間大会が開催できず、大会運営に苦慮している」と現在の問題点を指摘。人工芝やナイター設備を完備することによりこうした問題を解消できると建設の効果を述べた。
また答弁によると、土地購入費は約4億6300万円、建設費は21年度に基本設計、22年度に実施設計を行い、23・24年度の2ヵ年継続工事で総額約9億6300万円。そのうち土地購入費の2分の1と、建設費の3分の2は防衛省の国庫補助を受けることを「財源」とした。毎年の管理運営費については「(公園の)運用形態が未確定であるため(管理運営費の)試算はしていない」と答えた。既存施設(はまゆう公園内コート)を人工芝にした場合の費用や、公園の総工費のデータはこの日用意していなかった。
これらの答弁に対し藤野氏は「なぜ管理運営コストを計算しないで新しいことに乗り出すのか」「あらゆる形態を考えて試算していないのか」などと声を荒げると、市長から「運営形態はおそらく指定管理者制度の導入を検討しなければばらない」とした上で、「近隣の類似公園の管理運営費は、おおむね2500万円」との答えを引き出した。
整備事業として予算化され、具体性を増した同公園。今後、ますます議論を呼びそうだ。
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