3千人規模の人口増期待 マンション大規模開発が進む追浜地区
420戸+709戸―。今後2年の間に追浜で竣工するマンションの戸数だ。追浜東町で大規模造成されているマンション用地の面積は、東京ドーム3個分の広さ。今後数年間で3000人規模の人口増が見込まれるが、人口減が続く市北部で、こうした造成は街にどのような変化をもたらすのか。
追浜東町商店会を挟んだ東西の小高い山を、マンション用地として造成が始まったのは2年ほど前。この場所は20年近く前から開発の計画があったが、手付かずのままだったという。現在、高さ50〜70mの山を、それぞれ20mほど地盤を切り下げた造成が進んでおり、東側をルネ追浜(420戸/総合地所(株))、西側はザ・パークハウス追浜(709戸/三菱地所レジデンス(株))によって分譲される。
2つのマンション建設で想定される居住人口は約3000人。人口減が進む横須賀市内で、これほどの大規模開発は「これで最後だと思う」と地元商店街関係者は話す。市の統計によると、追浜地区の人口は昭和60年ごろをピークに減少を辿る。その一方で、開発業者側にとって、追浜は「立地としては良い」という評価にあるという。京急の特急停車駅で横浜などへのアクセスや利便性も高く、商店街や行政施設も充実していることに加え、地域コミュニティの結束も強い。さらに緑に恵まれた歴史ある土地柄ということも住環境の良さにつながっている、と分析する。両マンションとも駅から平面で徒歩約10分。「横浜に近い横須賀」をアピールしており、新たな「ベッドタウン」として販売戦略を練っている。
地元の動きは-
こうした開発でファミリー層の人口流入が予測されるが、地元もこれを契機に活性化を見出したいところだ。町内会では開発計画の段階から、「建設に反対せず、町内会の一員となってもらうための働きかけを行ってきた」と話す。また、従来のマンション開発は「建てて売ったら終わり」という側面が拭えなかったが、今回は業者側からも地元町内会への連携を求める動きがあったという。
例えば『ルネ追浜』では、マンションという新たなコミュニティが生まれる中で、住民と地域の「つなぎ役」としてNPO法人「アクションおっぱま」の活動に注目。地域資源を活用したまちづくりなどに取り組む同NPOと連携することで、コミュニティ活動を活発にし、この場所で暮らす付加価値をつけよう、というものだ。マンション敷地内に、同社負担でNPOのブランチ(活動スペース)を設ける計画もあり、「新住民と一緒に地域を盛り上げ、助け合うきっかけづくりになれば」とアクションおっぱまの昌子理事長は新たな展開に期待を込める。さらに駅前に広がる6つの商店街も、広告フラッグの掲出に協力するなど好意的。今後は、地元で買い物をしてもらうための仕掛けづくりに力を入れていくという。
人口増への期待は、横須賀市も同様だ。実際に両マンションの見学や資料請求で多くを占めるのが、横浜南部の居住者と近隣住民の住み替え。市ではマイホーム取得の応援制度を設け、市外からの人口拡大、市内からの転出抑制を目指しており、「流入人口増の見込める重点エリアとして開発を追い風としたい」と話す。 駅前の市街地再開発事業も昨年再始動し、人口増から定住に向けて期待感が高まる追浜地区。地域連携をキーワードにした「これからのまちづくり」の在り方にも注目だ。
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