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横須賀市立市民病院看護の現場【3】 求められる助産師 「院内助産」開始から現在まで
お産ニーズの多様化などを背景に、公益社団法人地域医療振興協会「横須賀市立市民病院」(長坂)では、経産婦を対象に助産師が分娩を扱う「院内助産」を行っている。助産師は、健診や出産だけでなく、産後に子育てのアドバイスをするなど活躍の場は幅広い。妊婦や家族から求められるその姿を追った。
横須賀市内に雪がぱらついた2012年1月某日。外の寒さとは対照的に、市民病院の女性病棟には温かい笑顔があふれていた。「良いお産をさせていただきました」。数日前に出産を終えた母親がこの日、赤ちゃんを抱いて退院していった。幸せいっぱいの家族を見送るのが、ここの「院内助産」を支える助産師たちだ。
市民病院では一昨年11月、産科医不足から分娩を休止したが、その直後、助産師が分娩を行う「院内助産」システムを開始。出産予約を受付けるようになった。妊娠経過が正常で、出産経験のある経産婦を対象とし、昨年4月からこれまでに9件の分娩を扱ってきた。同院の助産師が、妊婦健診から出産、母乳相談などの産後ケアまでを担当し、母親の幅広いニーズに応えている。
「ここには人生経験が豊富な助産師が多いので、相談しやすいのだと思います」と島崎康子師長は話す。妊婦健診(助産師外来)には60分の時間がとられ、穏やかな音楽が流れる診察室で行われる。助産師はエコーで胎児の動きをチェックし、出産プランを確認。途中で産科医の診察が入る日もあるが、大半は助産師と妊婦との会話の時間だ。
食事や家族のこと、上の子の予防注射のことなど出産以外の母子の生活にまで話題は及ぶ。1人の妊婦につき、全員の助産師が一度は健診を担当するため、妊婦は「知らない人がいない」状態で入院、出産ができるという。
現場復帰もできる
産科医不足だけではなく、バースプランや産後ケアに対するニーズの多様化を背景に、助産師の活躍の場は広がっている。市民病院では資格を持ちながらも働いていない「潜在助産師」が現場復帰しやすいよう支援も行う。ブランクがあり、看護の基礎から学び直したいといった個々の要望に応えられる環境も整えている。
「市民病院で出産をした方がもう一度ここで産みたいと来てくれた時には、私たちは『求められている』のだと強く感じます。それに応えるための一つの手段が院内助産です」と島崎師長。ローリスクの分娩は助産師が行える。その「役割」を果たさなければならないと力強く語る。妊婦に寄り添い、生命誕生の瞬間に立ち会う。それも、助産師にしかできない役割だ。
横須賀市立市民病院
神奈川県横須賀市長坂1-3-2
TEL:046-856-3136
FAX:046-858-1776
http://www.jadecom.or.jp/jadecomhp/yokosuka-shimin/html/index.html
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