タウンレポート 楽器が足りない 教育環境改善に各所で取り組み
市内中学校の吹奏楽部が備品として保有している楽器が長年にわたって不足している。市からの予算はついているが、高額である楽器を買い揃えることは難しく、円滑な活動に支障をきたす問題となっている。部活動の運営状況は各校に委ねられているため、その善後策にそれぞれ知恵を絞っている。
現在、横須賀に23校ある中学校で吹奏楽部が存在するのは17校。昨今、テレビ番組で題材となるなど人気を集めている同部は、部員数100名を擁する学校もある。初めて中学校に吹奏楽用楽器が最低限の備品として支給されたのは昭和50年代。以降、目立った購入はなく、わずかな楽器では思うような活動が行えず、希望する楽器を諦めたり、個人購入額の負担が大きいために部活動自体を断念せざるをえないケースもあるという。
教育現場での対応は?
久里浜中学校は市内屈指の大規模校で、同部には現在83名が所属。楽器は全員に行き渡っているのだが、学校が保有している物はそのうちの半数。残りは、顧問が中古品を自費で購入するなどして生徒に貸与している。顧問の高橋広明先生は「生徒のやる気にはできる限り応えてあげたい」と、20年前から少しずつ買い足している。しかし、一たび人事異動があれば、楽器も全て引き上げなければならず、根本的な解決に至っていない。打開策として、まず部に興味を持ってもらうため地域活動や幼稚園の運動会などへ積極的に参加して演奏を披露している。高橋先生は「部が地域から必要とされる存在になれば、次第に学校の外にも応援団の輪が広がるはず。また、地域活性も担えるのでは」とその相乗効果も期待。先月行われた久里浜商店街のイベントにも参加。商店街関係者も「立派な演奏に驚いた。地元としてもできることがあれば活動を支援したい」と話している。大所帯の浦賀中学校や創部間もない馬堀中学校など、それぞれが抱える部事情によって取り組み方は様々。消耗品のマウスピースなどを個人購入して楽器を複数で共有させたり、学校間で不足楽器の情報交換をしたり、同窓生組織による寄付を受けたりと教育を第一優先に考えて策を練っている。
市の予算、どうついた?
市による補助は毎年10万円の修繕費がある。しかし、古い楽器を使いまわして凌いでいる状態だけでは教育環境の改善には繋がらないとして、吹奏楽部活動奨励事業の一環で「楽器更新費」を設定。補助が受けられるようになった。これは、平成19年から27年の8ヵ年計画として1年に2校ずつ実施、各校の吹奏楽部に150万円ずつ補助がついた。修繕では対応しきれないものの買い替えや、チューバやホルンなど個人購入が比較的難しい大型楽器の購入に使われているが、1個が安価でなく大幅な個体数増加に至っていないのが現状だ。教育委員会も「焼け石に水ではあるが、生徒のために最低限の整備を進めている」と話している。
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