大楠漁協 佐島産養殖アワビ初出荷 事業化に向け整備進む
大楠漁協で養殖試験・研究されているアワビがまもなく初出荷される。平成22年度から横須賀市の補助金助成を受けて養殖設備などを整え、若手漁師の手によって佐島産アワビの安定供給をめざす養殖事業が進められていた。この事業が軌道にのれば、収入増加や雇用拡大など多くのメリットが見込まれる。
佐島では明治頃から天然アワビ漁が行われ、佐島ブランドとして高値で取引されてきた。しかし、昨今ではアワビが生息する海底の環境が一変。餌となる海藻類が食害で消失する「磯焼け」の発生や、温暖化などによる海洋の変化で天然アワビの漁獲量は減少。漁師らにとって深刻な死活問題となっていた。
養殖を進めるメリットは大きい。1つには漁業者の経営の安定がある。陸上での養殖は天候に左右されず、一定の個数・大きさのアワビが獲れるため、不漁や漁閑期の収入源となる。また、天然アワビ漁の解禁は毎年7月〜9月と短く、体長11cm以下は禁漁の規定があるが養殖は規定外で臨機応変に事業者の判断で出荷できる。
2つ目は雇用の創出。高齢で沖に出ることができない・素潜りができない漁師、若手漁業者や女性も養殖業を生業とし、水産業の雇用の拡大が見込まれている。
明日の朝市で販売
今日に至るまではアクシデントもあった。昨年の東日本大震災直後の停電で、養殖水槽のポンプなど設備が半日停止した。アワビ養殖で一番難しく、鍵となるのが徹底した水質管理。少しのストレスが成長を妨げ、死滅の直接原因となるほど神経質なアワビを万全の体制で育てるには自家発電装置も必要視されている。
現在のところ生育は順調で、大きさはおよそ10cm。これらは明日24日(土)、同漁協が主催する佐島朝市で初めて販売される。漁協によるとほどよくしまった身ながら、柔らかな食感が特徴。餌も人工飼料は使わず、佐島の海に育つカジメを与えているため食の安全性も高く、味も大きさも天然と遜色ないという。価格も1kgあたり6千円〜9千円ほどする天然と比べて1個数百円〜千円程度と比較的安価。同漁協参事の藤村幸彦さんは「普段の食卓に自然とのぼるような親しみある食材になれば」と展望を語る。現在は、新規参入者を呼び込むためのノウハウを纏めたガイドを作り、事業者を募る。
活況の佐島朝市
大楠漁協(佐島3の5の1)では、新鮮な魚介類を多くの人に食べてもらおうと、4月から11月までの毎月第4土曜の午前9時から10時(売り切れ次第終了)まで朝市を開催している。
明日24日(土)は今年最後の朝市。当日の天候にもよるが、この時季の定置網にはシラス・アジ・タチウオ・イカ・カマス・サバなどの魚がかかる。また、今回は同漁協が養殖したアワビが初めて販売される。
来場者の半数は市外・県外からの買い物客で、毎月足繁く通う人も多い。その秘密は趣向を凝らした多彩な企画にある。開場前から来場者の目を楽しませてくれるのは、定置網の水揚げ作業。間近で見学できるのは市内唯一。大量の魚が揚がる様子は購買意欲を掻き立てる。そのほか規格外の魚の詰め放題、同漁協女性部・地元飲食店が自慢の料理を提供する朝食コーナーも人気。同漁協では「今後は買って食べるだけではなく、魚の捌き方講座や子ども向けの教室を開くなど、学んで楽しい・買って美味しい朝市をめざしたい」としている。問合せは同漁協【電話】046・856・4116まで。
![]() 新鮮地魚を求める人で大賑わい
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