横須賀市の観光施設として開設されている「長井海の手公園ソレイユの丘」は、来年6月で運営事業者の更新を迎える。次期事業者の選考プレゼンテーションが今月9日に行われ、3団体が名乗りを上げた。市は同園の運営手法のあり方を考える検討委員会と協議を重ね、次年度から他の公園と同様に指定管理者制度の導入を決定。今月30日(木)に開かれる選考会で1団体に絞り、12月議会で議案提出する方針。
「長井海の手公園ソレイユの丘」は旧米軍住宅跡地利用として、平成17年に開園した体験型総合公園。農業や動物とのふれあいなど多彩な体験プログラム、アスレチック遊具などが人気で家族連れを中心に年間来園者は50万人を超える。
同園の整備事業は市内で初めてPFI方式を採用。PFI(Private Finance Initiative)とは、民間事業者の資金・人材・経営ノウハウを活用し、事業の効率化や公共サービスの向上を図る手法をさす。事業者に施設の建設から運営まで一括して長期契約で委ね、竣工後に自治体が施設所有権を買い取る仕組み。横須賀市は年間4億円の運営費の他に、10年をかけて割賦払いで施設を購入する契約を結んでいる。事業者との契約が来年6月で更新を迎えるにあたり、緑地や生態系に詳しい外部有識者や長井地区連合町内会・市観光協会・商議所など8人で構成される「長井海の手公園あり方検討会」を発足。運営手法などを協議してきた。会では市の政策との整合性、住民・利用サービスの向上、地域との連携推進、市の財政面でのメリット、評価と改善の観点から比較検討。その上で、次年度からは荒崎公園と併せて指定管理者制度(8年契約)による運営方式を採用し、今月9日に参入を検討する事業者によるプレゼンが行われた。今月30日には選考会が開かれ、1団体に絞られる。
三者三様の事業案
今回、手を挙げたのは3団体。(株)ファームは開園から10年間、同園の運営管理を行っている既存事業者の親会社。地域イベントへの積極的参加や、物資の備蓄や緊急電源システムの設置といった災害対策で地域防災拠点になるなど長井地区の一員として、10年間にわたり地域に寄与してきた厚い信頼関係を強調。加えて同社は全国に11ある農村型観光施設を管理運営する豊富な実績に基づいた安定経営が可能としている。
残る2団体は複数の異なる企業などで構成される共同事業体が応募し、様々な事業案を提言した。「パークコミュニティよこすか」は、よこすかポートマーケットなどの施設管理を行うシティサポートよこすか、京急サービス、日比谷花壇が手を組み、各分野での強みを活かした独自のアイデアを提案。例えば三浦半島の交通網を担う京急グループが参入することで、臨時バスの運行や早朝・夜間営業が可能となるだけでなく、京急グループの広報力を駆使した宣伝活動で集客促進できるとアピール。契約満了となる8年後には年間80万人の来園者数を見込む。
もう一方は西武造園(株)、長井水産(株)、(株)不二環境サービス、近畿日本ツーリストが一丸となった「長井海の手公園パートナーズ」。「公園と地域が一体となり、”すかっこ”を育てる」を運営方針に、自然・文化体験で子どもの成長を応援する公園づくりをめざす。花の名所として名高いヴェルニー公園やくりはま花の国を管理する西武造園のノウハウ、長井の地元企業・長井水産のネットワークを活用した地域力で魅力を創出。客足が鈍い平日の来園者やリピーターの取り込みで、平成34年度は70万人の利用者目標を掲げる。
市でも10年を過ぎた同園の魅力をさらに高め、子育て世代の集客促進のテコ入れとして来年度には大型遊具など、再来年度にはキャンプができる宿泊施設を新設する方向で検討を進めている。
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