横須賀市公立保育園の再編実施計画によって新設する(仮称)中央こども園が、日の出町の合同庁舎跡地に整備される。2019年の開園を目指しており、これに伴い、上町保育園と鶴が丘保育園は閉園となる。旧庁舎の所有者である国との交渉で、既存建物の解体を市が負担する方向で計画が進んでいる。
今年2月に公表された公立保育園再編計画では、既存の11園のうち、船越・逸見・田浦の3園を民営化、鴨居・津久井・武山の3園を現状維持としている。残る5園のうち、上町・鶴が丘、追浜、森崎・ハイランド保育園は、3地区に分けて公設公営の「幼保連携型・認定こども園」に移行新設される。こども園への移行は、統合・移転・建て替えを前提としており、上町・鶴が丘保育園は「(仮称)中央こども園」として、上町地区から下町地区への移転が決まっていた。
新設場所は、ヴェルクよこすかに隣接する、横須賀地方合同庁舎の跡地一部=写真。同施設に入居していた省庁は、2013年に新港地区へ移転しており、現在は建物が残っている状況。市では今年度中に土地を取得し、2019年度の開所を予定している。
また、追浜保育園は「(仮称)北こども園」、森崎・ハイランド保育園は「(仮称)南こども園」への移行を計画しており、移転候補地が決定次第、整備を進めていくという。
子育て支援の拠点に
幼保連携型の「認定こども園」は、幼稚園と保育所の機能や特徴を併せ持つ施設。0〜5歳児を対象に8時間〜11時間の「保育」を行うとともに、3〜5歳児(年少〜年長)には4〜5時間の幼児教育を提供する。待機児童の解消や未就学児の保育・教育の充実を目指すもの。
市の進める「認定こども園」では、地域の子育て支援拠点も併設。育児相談や一時預かり、愛らんど事業・ファミリーサポート事業など、就学前後の全ての子どもと保護者を支える機能を持たせる考えだ。市内では、既に今年4月から私立幼稚園1園と私立保育園5園が、こども園として生まれ変わった。来年度は幼稚園2園、保育園3園が移行を検討しているという。
「市立幼稚園廃園の説明を」
一方で、市が進める公立幼稚園の廃園に関して、地域の保護者から撤回と説明を求める声が上がっている。市は「市立幼稚園の意義は薄れている」として、施設配置適正化計画に関連し、諏訪・大楠幼稚園の廃園を決めた。市議会第3回定例会での議論の結果、両園の廃園年度は1年延長されている。
諏訪幼稚園に関しては、「定員割れが続いた場合は廃園を検討」と地域との申し合わせが存在していたが、大楠幼稚園においては、「定員の減少があった場合は休園の方向で考えていく」との検討の余地が残されていたという。実際に、同園に関しては入園児の大幅な減少はなく、耐震工事も済んでいるという。また、大楠地区には民間の幼稚園はなく、保育園も1園のみ。市では「諏訪幼稚園が担ってきた役割は、中央こども園に引き継いでいく」としているが、西地区では公設こども園の開設予定はない。廃園後の「受け皿」に不安を抱える地域住民は多い。
先月30日の市議会第4回定例会で、長谷川昇議員(研政)は、地域への説明責任について質問した。「先に結論ありきで、市民不在のファシリティマネジメントだ」「地域の中で、子どもの居場所があるという意味合いは大きい」と指摘。吉田雄人市長は「跡地利用など、地域への配慮は必要」との認識を示したが、廃園に関しては「市として丁寧な説明をしていく」と答えるにとどまっている。
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