安見会・タック心理福祉相談室代表で「フードバンクよこすか」を立ち上げた 北村 光二さん 三春町在勤 52歳
支援の輪でぬくもりを
○…規格外商品などを生活困窮者に橋渡しする「フードバンク」。市内で立ち上げてから約3カ月、支援したい・利用したいという相談も増えた。活動の手ごたえはあるが、シングル世帯の経済状況や子どもの貧困といった”悪循環”は、まだまだ根深い社会問題だと感じている。
○…社会福祉を学ぶため、進学を機に北海道から上京。この分野を選んだ理由を、当時は「なんとなく」だと思っていたが、心理学から紐解くと、自身の家庭環境も大きく影響していた。父親の問題飲酒により、育児放棄など家庭内が機能不全の状態―。「自分は3人兄弟の中間子。カウンセラーの役割にあった」と分析。自然とその道に向かっていた。働きながらカウンセリングを学び、30歳で横浜市内に心理相談室を開業した。名称は「タック」。スウェーデンへ赴いた際に出会った”ありがとう”という言葉だ。「これを気軽に言える文化があったのが印象的だった」と話す。
○…依存症・DV・虐待など、多様なサポートの必要性を感じ、外部団体の『安見会』も立ち上げた。由来は、万葉集にある平和な状態を示す枕詞”安見知し”から。平穏な心を持てる社会への期待も込めた。横須賀からの相談依頼が増え、拠点を移したのが7年ほど前。DVシェルターに続き、「物品だけでなく情報とぬくもりを届けたい」と強い意志で始めたフードバンク。そして今、取り組んでいるのは「子ども食堂」の開設だ。「食は精神的な安心にもつながる。みんなで食べる交流の場所を」。今秋をめどに、この3つの役割を束ねた施設を開く構想だ。
○…「今の私があるのは、この家族に生まれたから。感謝しています」。意外にも、かつての当事者に境遇を憂う言葉はなかった。相談者の逼迫した状況に接してきた自分だから、寄り添って動ける。「多くの子どもに笑顔を届けたい」。支援の先に、明るい未来があることを期待している。
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