三浦半島の先端、生態系の豊かさなどから「奇跡の自然」と呼ばれる小網代の森。押し寄せる開発の波を掻い潜り、太古から脈々と受け継がれる森の様子を描いた舞台「いのち輝く不思議の森〜小網代の森の物語〜」が、9月24日(土)・25日(日)に深田台の横須賀市立青少年会館で上演される。「人間と自然の共生」をテーマに、地元で活動する「演劇集団THE素倶楽夢」が演じる。歌とダンスを織り交ぜながら生命の大切さをステージから問いかける。
自然との共生 実話をもとに
「鬱蒼と生い茂った深い森に、ぬかるんだ道なき道。手つかずの自然を前に、『地元にこのような場所があったのか』と感動で震えた」──。
今作で脚本と演出を担当する「演劇集団THE素倶楽夢」主宰の石渡アキラさんは、かつて三浦市南下浦町金田に居住し、今から30年ほど前に初めて小網代の森を訪れたときの興奮を語る。
横須賀市内を中心に活動し、地域に根ざしたテーマにした作品に定評がある同劇団。石渡さんは、当時受けた大きな感動から、長年温めてきた念願の題材を脚本にしたためた。
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物語は森の精と水の精が、いのちの輝きや生きることへの喜びから、踊り舞うシーンから始まる。そこに出てくるアカテガニの群れ。人間の生活のすぐそばで繰り広げられる求愛行動や放仔、捕食者のタヌキやイタチとの攻防など自然界の営みを描写する。
ストーリーの山場となるのは、1980年代に実際に持ち上がったゴルフ場をはじめとしたリゾート開発のシーン。破壊の危機に脅かされた森を守ろうと「保護保全」を掲げて立ち上がった人々の対立や思惑、葛藤を丁寧に切り取られている。
人間に翻弄されながらもいのちを繋ぐアカテガニ。再びステージ上で、歌い舞って締めくくる。
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劇団メンバー有志は上演にあたり、今年、小網代の森の散策やアカテガニの放仔観察会を見学。実際に体感することで作品のイメージを膨らませてきた。「人間も自然の一部ということ。保護活動や生きる意味を考えなおすきっかけになれば」と石渡さんは語る。
今回、初めて一般公募で同劇団作品に参加する堀口萌子さん(三浦学苑演劇部出身)は、「観劇後、『小網代の森に行ってみたい』と思ってもらえたら嬉しい」と来場を呼びかけた。
開演は24日が午後1時30分と6時の2回、25日は午後1時30分のみ。一般前売り1800円、当日2000円、中高生500円、小学生以下無料。全席自由。
チケットは石渡さん【携帯電話】090・4944・6856
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