貝山地下壕 沈黙の戦跡 保存活用へ 地域と行政の協働で
浦郷町の貝山緑地の地下一帯に広がる「貝山地下壕」の保存活用に向けて、地域と行政が連携して動き出している。静かに眠る戦争遺跡を観光資源として集客につなげる方針だ。以前にもそうした気運が高まったが、東日本大震災で一部崩落があったため中断していた。その後に実施した地盤工学会の調査で地盤の安定が確認できたことから、再開に踏み出した。
2019年度の公開めざす
第2次大戦末期(1943年頃)に海軍が本土決戦に備え、機能移転を目的に築いたのが貝山地下壕。A地区・B地区・C地区の3つのエリアに分かれた多層構造で、緻密な坑道の延長は2000mに及ぶとされている。複数の部屋があり生活の痕跡を見ることができるほか、軍事車両や機器の格納スペース、燃料タンクが残存する。ただ、軍の最高機密であったことから敗戦後に資料や書類は焼却処分されており、正確な情報が残されていないという。
地下壕を目玉とする同エリアの観光地化は、地元の願いだ。付近には東京湾第三海堡遺構の展示もあり、「NPO法人アクションおっぱま」の昌子住江理事長は、戦跡として一体活用することで地域活性につなげる青写真を描いている。
横須賀市も貝山地下壕を市の指定文化財とする将来構想を持っており、軍事施設としての歴史的価値や高度な建築(掘削)技術を重要視している。
追浜地域運営協議会では、行政と連携しながら2019年度にB地区を公開することをめざしている。年明けから壕内の測量調査などを行っており、3カ年計画で安全対策を講じて実現化させる。
これと並行して、ガイドの養成や案内板の設置などソフト面の取り組みも進めていく。
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