横須賀シーガルズ女子チーム 「なでしこ」の先輩に続け 女子サッカーの草分け的クラブチーム
サッカー女子ワールドカップで優勝した「なでしこジャパン」のメンバー3選手を輩出したクラブチームが横須賀市内にある。大野忍、近賀ゆかり、矢野喬子 選手を育てたのが、「横須賀シーガルズ女子チーム」だ。この3人だけではなく、ユニバーシアード日本女子代表には同チーム出身者が2人選出され、また現メ ンバーには、将来のなでしこジャパン育成選手(スーパー女子プロジェクト)に選ばれた中学生もいる。強さの秘密はどこにあるのか。チームの練習を訪ねた。
なでしこジャパンの熱戦から1週間経った今月24日午前。神明小学校のグラウンドに「横須賀シーガルズ」女子チームの姿があった。練習前、日焼け対策としてクリームをぬったり、長袖を身に着けたりと気を使う姿は女性ならでは。
同チームは高校生以上のFC、主に中学2・3年のJOY、中学1・2年のMEGの3チームに分かれている。メンバーは合計で約50人。そのうち横須賀市内在住の選手は10数人で、大半が市外から週3〜4日の練習に通っている。
この日、MEGチームは試合のため不在。FCとYOYはチームごとに分かれ、ドリブルやパスなどの基礎練習から開始した。その後ミニゲームやコーナーキックからのセットプレイなどをこなしていく。亀田勝昭監督(72)はチームの特徴について「まずはサッカーの基礎を体にしみこませて、実戦で対応できる判断力を養います。それから先は、本人の努力と気持ち次第です」と話す。
チーム設立は約30年前。これまで女子サッカーリーグ(Lリーグ・なでしこリーグ)に約25人輩出したというが、特別な練習をしているわけでも、他のチームから選手をスカウトしたわけでもないと強調する。
「なでしこ」の原点
大野選手は小学5・6年(少女チーム)と中学1年の時に同クラブに在籍。当時から得点を狙うストライカーだったが、チームではセンターバックも経験した。
また近賀、矢野両選手は大野選手よりひとつ下の学年で、中学1年から3年間、チームで活躍した。両選手が3年の時にはアメリカに遠征し、現地の大学生チームと対戦。「体格では勝てませんが、2人でボールを奪い小さくパスをつなげば通用すると考えました」と代表の森雅夫さん(68)は振り返る。この戦略でFWだった近賀選手が得点し1─0で勝利した。森さんは、この一貫したスタイルが、今のなでしこジャパンの戦い方にも通じていると話す。
先輩の後を追う後輩たちがシーガルズに入会した理由や思いは様々。鈴木美咲さん(鴨居中3年)は、大野選手に憧れて小学4年の時に少女チームに入ったという。肝付(きもつき)萌さん(追浜中2年)は友人の紹介で入会。なでしこジャパンの活躍を見て「体格の差は関係ないと改めて感じました」と話し、モチベーションも上がったようだ。横浜から通う宮下七海さん(港北高1年)は先輩の勧めで体験練習に参加したのがきっかけ。遠距離の練習通いも苦にならないという。中野来夢さん(湘南学院1年)は、学校の女子サッカー部ではなくこのチームで全国大会出場を目指す。
森さんは「横須賀の選手がもっと集まってくれれば」と期待を込める。チームからなでしこに続く選手が今後も続々と誕生しそうだ。
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