横須賀市 空き家対策に本腰 市内で約2万棟、助成や条例など独自施策
「倒壊などの危険性があるが持ち主が分からない」「不審者が出入りしたり、放火などが怖い」―。市内で増える『空き家』に対して横須賀市では昨年、谷戸地域を中心に実態調査を行った。地域の18・5%が空き家となっている箇所もあったことから、これを踏まえ、市議会が「(仮称)空き家等の適正管理に関する条例」の制定を進めるなど、市では対策に力を入れ始めている。
全国の住宅・土地統計調査に基づく空き家率の推移を見ると、横須賀市はこの20年余りで高い増加率を示している(左表参照)。「空き家」というと、郊外のイメージが強いが、市の調査では、横須賀は土地形状の特徴から比較的市街地に近い谷戸で空き家が増加。その状態についても、修繕や建替を要するものが7割を占め、空き家になってから長期間放置されている傾向があった。
空き家となる理由は、「所有者が高齢となったり、亡くなるなどして退去後、適正に管理されなかった」「相続者や所有者が不明」「解体費用を要するため放置されたまま」などと様々。また、階段や狭あい道路に面し、車が横付けできないなど、「買い手がつかない」というケースも多いという。空き家増加の影響は、近隣住民の防犯・防災面への不安へと繋がる。
モデル地区で解体費助成も
横須賀市では、平成24年度予算で新規事業として『谷戸地域の住環境対策(864万1千円)』を計上。空き家率の高い汐入5丁目2区をモデル地区に、老朽家屋の解体や若年層の住宅建替に対する助成、谷戸に居住する高齢者が市内に転居する際の支援などを行う。さらに、空き家の再生と利活用を図る『空き家リフォームへの助成』も事業化するが、議会内では「交通不便地で不動産価値が低い空き家もあり、これに特化した助成に意味があるのか」「街づくりを考えるのなら、リフォームではなく解体などの支援を積極的に行うべき」との声もあがっている。
条例制定で行政の管理下に
また、著しく危険な建物に関して、建築基準法では自治体が撤去を所有者に命令することもできるが、手続きの規定がないため、独自に「空き家条例」を定める自治体が増えている。横須賀市でも市議会が「(仮称)横須賀市空き家等の適正管理に関する条例」の骨子案を今月12日に発表。行政による実態調査や指導、代執行などの手続きを明確にしたもの。今月末まで市民の意見を募り、条例の参考にしていくという。
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