横浜地裁 遺族側の請求を棄却 谷内氏作品返還訴訟で
画家の故谷内六郎氏の遺族が横須賀市に寄贈し、現在横須賀美術館に展示されている同氏の作品を返還するよう市に求めていた訴訟の判決で、横浜地方裁判所は先月27日、原告の請求を棄却した。遺族側は控訴する方針を示しているという報道もある中、吉田雄人市長は28日に更新した自身のブログで「今後、原告側に動きがあったときは、適切な対応をとっていきます」とコメントしている。
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この問題は吉田市長が3年前、作品の保存管理などを助言する専門委員(のちのアドバイザー)として遺族に支払っていた報酬(月額22万8700円)を、2010年度予算に計上せず、市議会も通過したことがきっかけ。契約が打ち切られたことで遺族は同年、寄贈した作品の返還などを求めて提訴していた。
判決を受けて市長は、同日のブログで「アドバイザー料の支払いと作品の寄贈とは、まったく別物であるという横須賀市の主張が、全面的に認められたものと考えています」と掲載した。
財政難理由に報酬打ち切り
谷内六郎氏は生前、横須賀市内にアトリエを構えるなどのゆかりがあり、遺族は1998年、『週刊新潮』の表紙絵約1300点をはじめとする谷内氏の作品を横須賀市に寄贈。横須賀美術館建設のきっかけにもなった。
この際、市は作品に関する専門委員として遺族に委嘱し、その報酬を支払う「覚書」を交わしていた。委嘱は1年ごとの更新で最長25年。「特段の事情」が無い限り毎年更新するとされ、市長が報酬を打ち切るまでの12年間支払われていた。
市長は、報酬を予算化しなかった「特段の事情」は、横須賀市の厳しい財政状況だと市議会で説明していた。遺族から提訴された後は、「市の財産を守る立場」であるとの考えを示し、作品を返還するという選択はしなかった。
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